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【The Marshall Tucker Band】(1973) アメリカの雄大さを思わせる牧歌的サザンロック

オールマン・ブラザーズ・バンドが所属したキャプリコーン・レコードは、70年代サザンロックの宝庫です。
1979年の閉鎖まで有名、無名、数多くのサザンロッカーを輩出しましたが、オールマンに次ぐ人気だったのがこのマーシャル・タッカー・バンド。

アメリカの広大な大地を思わす彼らの音楽はおおらかで清々しい南部サウンド。
オールマン・ブラザーズとは違った意味でサザンロックというジャンルの懐の深さを感じさせてくれるバンドです(^^)

マーシャル・タッカー・バンドはサウス・キャロライナ州出身のグループ。
サウス・キャロライナって何処だろう?と調べてみたらアメリカ合衆国の南東部に位置していました。

その西隣ジョージア州には、キャプリコーンレコードのあるメイコンがあり、ずっと南下して行くとオールマン、レーナード・スキナードの地元であるフロリダ州ジャクソンヴィルに突き当たります。
地図で見ると合衆国の右下端部分、この辺り一帯がサザンロックのメッカとなる地域なんですね〜。

バンドはダグ・グレイ(Vo)、トイ・コールドウェル(Lead Gt)とトミー・コールドウェル(B)のコールドウェル兄弟を中心に、ドラム、ベース、リズムギターを加えた6人構成。
サザンロックらしくこちらも兄弟が組んでおります。南部は血縁の絆が強い!

オールマンがブルース色、レーナードはハードロック色といった各々に特徴がありましたが、マーシャル・タッカーの場合はカントリーミュージックが主体。
そこにジャズやR&B、時にブルースの要素も混ぜ合わせた、素朴ながらもスケールの大きいサウンドが特徴です。そこはかとなく漂う土臭さも爽やかで、特にこの1stはストレートな魅力に満ちてます(^^)

私は初めて聴いた時、このバンドのフルートの音に抵抗があったのですが、これが慣れると不思議。牧歌的なアレンジが際立って結構気持ちのいいものです(笑)。

曲作り、サウンドの要はリードをブイブイ弾きまくるトイ・コールドウェル。
同じギブソン・レスポール使いでも、オールマンのディッキー・ベッツよりも若干歪ませた音で、ブルースっぽいフレーズも得意としてる印象です。

昔DVDで彼等のステージを観たところ、トイはサムピック(親指にはめるピック)を装着して、親指だけを使って高速フレーズを弾きまくるのです!驚きました〜。
またスティールギターも弾きこなし、バンドのカントリー志向を先導しています。

米国盤ジャケット。当時のパイオニア盤の邦題【キャロライナの朝焼け】そのもののデザインです。
米国キャプリコーン・レコードの初期盤。ベージュ色レーベルは72~74年のプレス。この時期からワーナー・ブラザースの配給になります。        
73年頃までのキャプリコーン盤は、どの作品も中低音をとくに強調してる気がします。これも音抜けは悪く、ドッシリした南部!といった感じの音です。          


All songs written by Toy Caldwell

Side-A
① "Take the Highway" 6:15
冒頭2曲はバンド初期の代表曲です。
まず何よりギターとフルートの絡みが新鮮!牧歌的メロディと相まって、目の前に思い浮かぶのは雄大なアメリカ大地!ダグ・グレイの歌も伸びやかで気持ちがいいです。
レズリーに繋いだギターやオルガン、ムーグシンセの音も入っているので、ちょっとプログレっぽくもありますね。
途中にフルートとギターの長いソロも有り。でも緊迫したムードは一切なし。こんな長閑で優しいサザンロックも良いものです〜。


② "Can't You See" 6:05
本作からのシングル曲。ボーカルはリードギターのトイ・コールドウェル。なかなかブルージーで味のある喉です。南部らしく雄々しいメロディですが、アレンジはシンプル。
バンドには鍵盤奏者が居らず、本作では全てプロデューサーのポール・ホーンズビーが演奏。いいアクセントになってます。


③ "Losing You" 5:10


Side-B
① "Hillbilly Band" 2:35

② "See You Later, I'm Gone" 3:08
冒頭のスティール・ギターからモロに直球のカントリーロック。田舎臭プンプンです。
歌メロとスティールギターの旋律が何とも切なくて郷愁を誘います。あぁ、昔に戻りたいなぁ、なんて気分に陥りそうです…💦。
個人的にマーシャルタッカーとの出会いの曲として大好きな一曲なのです(^^)


③ "Ramblin'" 5:07
一転してアップテンポなモダンブルース調。ショウアップされた雰囲気に心躍ります。
トイ・コールドウェルの押しまくるブルースギターが絶品!ダグ・グレイの声は黒さが全く無いので、ブルースをやってもカラッとしてます。彼らの特徴ですね。
3作目【Where We All Belong(アメリカン・ロックの鼓動)】(74年)では2枚組のライブサイドで更に熱のこもった名演を披露してます。


④ "My Jesus Told Me So" 5:32

⑤ "Ab's Song" 1:15

バンドはその後も堅実な作品とヒットを重ねて、名実ともにサザンロックの一角として君臨していきます。本作は彼等のエッセンスが詰まったデビュー作です。
1980年にトミー・コールドウェル(B)が交通事故で死去。以降、失速してしまったのは残念ですが、ボーカルのダグ・グレイはいまも健在。メンバーは違えど現在も活動を続けているようです(^^)


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