見出し画像

ひろのぶと株式会社の株主総会で、小株主の権利を行使してきた。

なんか面白そ!
そんな気持ちでワクワクしながらPCを操作して。
ウェブを通した株式購入手続きに戸惑いながら
ちょっとだけ株を購入をしたのが昨年6月。

幸いなことになんとか一次募集で購入することができ、昨年、ひとのぶと株式会社の株主ミーティングに参加した。
はじめての株主ミーティングは訳がわからなかったけど、面白かった。
だいたい、あの、社長がミーティングに遅れてくるという演出はなんだったんだろう(たぶんバナナで滑る、というやつをやりたかったんだと思う)。


そんなミーティングに出る前のこと。
つい、株の購入にいたる「なんか面白そうだ」という昂りには、2つのワケがあった。


ひろのぶと株式会社の代表取締役を務める泰延さんのおすすめの本で、まず挙げられるのがマルクス・エンゲルスの「資本論」だ。
もちろん名称は知っていたが、
彼に勧められるまで読んだことはなかった。
しかたなく手に取ったのが3年前。
それから順当に読み進め、いま第1巻の45ページを読んでいるところ。

なにかおかしい。読んでも読んでも残りのページが減っていかないんだ。

さすが「『聖書』と『資本論』は(以下自粛)」と言われるだけのことはある。


泰延さんはそんな本を読んだ上で、資本主義の権化である広告会社で長年コピーライターをやってきた。
長年最前線で戦ってきた。
長年最前線で…。
(紙幅の関係もあり多くは語れない)

ご自身はあまり名前を売ろうとされなかったのか、いわゆるスターコピーライターやスタークリエーティブディレクターとして世に出たという感じはない。

ただ、泰延さんと知り合ったあと、僕がむかし見てとても気に入っていたCMが泰延さんの作品だったことを知った。
あれは名作だった。

先日、熊本市立五福小学校の広告ワークショップでこのCMを児童たちに見せてみた。

五福小学校といえば昨年ティム・クック氏がやって来たことで有名だ。
ついに僕も彼と同じステージに立つところまで来たと、児童たちのつぶらな瞳を前にしたときは感慨無量であった。

その瞳たちが食い入るようにモニターを見つめる。

だが。

反応はいまひとつだった。
というか、なかった。

後から考えると、そりゃそうだ。
肝心の「岩下志麻」さんを今の小学6年生は誰も知らない。
「極道の妻たち」も、誰も知らない。

「わてらの惚れた腫れたはタマの取り合いやで!極道の女やったら、ハラ括ってモノいいや!」
とか
「虫ケラやと思てナメてたら、その首跳ぶかもしれまへんで!」
とか、
「極道は、なあ、筋を通すためには惚れた男も殺すのや」
とか、
知らないワケですよ。

小学生向けのネタではなかった。
僕のネタ選びが少しズレていた。大いに反省すべきである。
ただ、周りで参観していた校長先生以下年嵩の先生がたにはしっかりとウケていたことを付記しておく。


話がそれた。

泰延さんはコピーライターとして、あるいはクリエーティブディレクターとしての実績を自ら誇ることはあまりないけれど、底ヂカラがあるクリエーターであり、しっかりと成果を出してきた。

繰り返すけど、資本主義の最先端を走ってきたのだ。


共産主義の書籍を読み込んで知識として持ちつつも資本主義の先端を走る。
そんな人をほかにも知っている。

僕が「すごい人に関わってしまった」とコウベを垂れた堤清二さんもそうだった。
大学時代は共産主義に傾倒し、そのあと父の後を継ぎ、企業グループの総帥となった。

そしてできたのが「セゾングループ」。

総帥として腕を振るった堤清二さんは、資本主義のなかで独自の道を見出し、世の中に「面白いこと」を作ってしまう、そういうチカラを持った人だった。


大事なのは「試みること」。
堤さんの事業は失敗だったと知らない人はいう。
だが。
気がついていないだけだ。
堤清二さんとセゾングループの皆さんの功績はめちゃくちゃ大きい。

無印良品も、PARCOもSEIYUも、FamilyMartも、Loftも、SAISONカードも、彼がいなかったらこの世にないものばかりである。
いまや社会のファンダメントとなっているそれらのブランドは、登場した当時エポックメイキングな現象だった。
SAISONカードで一般的になったクレジットカードのVISA、MASTER提携。
その提携契約は、クレディセゾンの20代の社員(当時)がそれぞれとまとめたという。
セゾングループは時代の空気をよく取り込んだ企業体だったし、「これがあればいいな」というインサイトをよく見出し事業に作り上げる能力に長けた組織だった。
(もちろん失敗も数多くあったサね。)


セゾングループのような世の中を変え新しいスタンダードを造っていくチカラが、「累進印税」「著者が食べられる印税を」と泰延さんが立ち上げたひろのぶと株式会社にもある。

事業構想で「著者のことを考えた」というのは最初の動機であって、僕らが手に取るひろのぶと株式会社の書籍には、すべて僕らが手に取るべき理由が散りばめられている。
セゾンと同じだ。
僕らのインサイトを見透かしている。

そんなひろのぶと株式会社の存在は、これからの時代を切り開いていく一つのエポックだと思うのだ。


もうひとつ、会社が立ち上がってしばらくして行われた小株主募集が僕の「なんか面白そう」にブーストをかけた。

大株主が会社を左右する。
基本的な資本主義のカタチだ。
資本の論理によってプロダクトが恣意的に作られていく。
神の見えざる手により最大多数最適な社会はそうして作られる(はず)。
それを僕らは当たり前だと思ってこれまで暮らしてきた。

しかし。

生存欲求から消費欲求を経て、ものと情報が飽和した新たな社会が来たとき、従来の仕組みでは社会と経済と欲求が回らない。

ひろのぶと株式会社の株式構成は、巨大株主(泰延さん)と大株主(加藤取締役以下数名の皆さん)と我々みたいな小株主で構成されている。

これが上下関係ではなくチームであることが、この会社の株主構成のキモだ。

しかも株は上場しない。
株の値上がりを期待しない。
配当金?まあ出ればいいね、な感じ。

そういう割り切りで、こんなに自由な「株式会社というチーム」を創れるということに驚いてしまう。

もちろん仕組みがあればできるというわけではない。
ひろのぶと株式会社の皆さんとご関係の皆さんは、小株主が楽しみながらチームに参加できる空気作り・場づくりに大変腐心されている。

泰延さんや取締役以下社員スタッフの皆さんまで、そういう配慮やご尽力をされる姿に、僕たち小株主は感謝しつつ、笑い、質問し、意見するのである。

そんな株式会社がこれまであっただろうか。
そんな株主総会がこれまであっただろうか。
そんな資本と事業と出資者の関係がこれまであっただろうか。


株主として参加することが面白く、
アウトプットされるプロダクトが底抜けに楽しい。
すべてに滋味がある。

ものあまりと言われる時代に、買って手元に置きたくなる。
これを新しい資本主義といわずして、なにが新しい資本主義なんだろうか。


先日(2023年5月27日の13:00から)、東京ミッドタウンで行われたひろのぶと株式会社の株主総会と株主ミーティングに参加してきた。

受付では同社の阿佐ヶ谷姉妹にお出迎えいただいた。

ひろのぶと株式会社の阿佐ヶ谷姉妹。加納さんと廣瀬さん。

ひろのぶと株式会社は上場企業ではないし、派閥をつくろうにも三人しかいない会社である(いまはもう少し増えた)。
政治社会学的には三人いると派閥的政治が始まるが、始皇帝の権力が強すぎるからそれはあり得ない。

激しくお話しになる始皇帝。玉すだれがぶんぶん揺れる。


この総会やミーティングの中身については何人もの方が「へーそーだったのかー株主総会」とか「はじめてのおつ(もとい)株主総会」を書いておられるので、そちらをご参照されたい。

とはいえ、ここからは僕が感じ入ったことを少し。

初めて僕ら小株主を交えた株主総会を迎えた泰延さんの姿。

…と、という「&」のシンボルの横で緊張されている泰延さん。

僕らも緊張して議決に参加した。
そして。
株主総会から一転して、始皇帝による株主ミーティング

ゾウリムシが打ち上げるのか、ゾウリムシの何かで打ち上げるのか、ワケがわからない。


専務取締役の加藤さんはピンクで大阪感あふれている。

むかし日広という会社がむくむく興ってきた様子を「なにごと?」と見ていた覚えがあって、ここでその会社を起業した加藤さんにお会いできるとは。運命って面白いよね。

昨年の株主ミーティングで予定されていた講演を(単なる)発熱でぶっ飛ばした高井宏章さんの、改めての経済講演もあった。

頭脳明晰しかもこんな爽やかな感じの人を目の前にすると、ズルいという感情が湧き起こるのは自然なことなのだろうか。

今年、ひろのぶと株式会社から落語の本を出される立川談笑さん、泰延さんと、編集を担当する廣瀬翼さん。

早稲の田んぼ的なおじさんたちを向こうに回して、廣瀬さんには爽やかなSt.Paulな感じでバリバリやってほしい。

そして『スローシャッター』の著者の田所さん。

今回は今野さんとご挨拶できたし、上田豪さんとも少し印刷物のお話ができた。
敬意を覚えた方とお会いでき言葉を交わせるのは嬉しいことだ。


こんなシーンや出会いがあって、
僕は最初から最後まで笑い通しだった。


全体的に感想を申し述べるとすれば、Twitter上でお会いする人(UGの皆さま)、これまでいずれかのイベントでお会いした人、(僕の場合は広告関係の)仕事で敬意を覚えざるをを得ない方、談笑師匠、そんな方々とお会いできて僕はイチ小株主として最高に幸せでした!

ほんとうに、ありがとうございました!
(と、そっとマイクを置き、聴衆に一礼をしたところで照明が落ちる。)


PS) トップの画像は参加者特典としていただいたステッカーのなかの1枚。
  もうほんとにワケがわからない。

もし、もしもですよ、もしも記事に投げ銭いただける場合は、若い後進の方々のために使わせていただきますね。