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汝の隣人を愛せよ。

言葉は凶器
一瞬の狂気ではなく永続する狂気。


貫通もしない
終わりも無い。
どんな刃物よりも鋭く尖って一番の弱点を迷いなく突き刺す。
そして抜けない・・・
悪意ではなく善意で刺して抉るの。
「あなたの事を思っていったのに」
無意識から産まれた悪魔。
原産:人間
添加物:善度100%
割と沢山いて困ってる。

忘れられない言葉はずっと忘れられないものだ。
私がこれまで忘れられない言葉を4つ紹介しよう


「あなた、接客業に向いてない」


接客業経験者なら大体わかるはずだ。いまではカスハラなんて言葉があるけど、都会ほど田舎にはあまり浸透していない。
これは、お客様から言われた言葉でまだ接客経験も浅く仕事に就いたばかりの私はちょっとしたクレームと作業者の板挟みにあっていた。
まず何故こんな事になっているのか分からず言われたことを伝える伝書鳩みたいな事をしていた。上司も店長も自分の事に精一杯、作業場のスタッフは昔から新人をいじる癖のあるやつばかりだった。
あまりいうと言い訳がましいので、ただこの言葉のおかげで私の接客スキルは向上したのだ。人をとことん観察し雰囲気、見た目、話し方、態度から言葉を選択するようになった。勿論、店内の先輩スタッフのも注意良く観察した。マニュアル通りの丁寧な接客は田舎では通用しない。返って冷たい店員だと言われることがる。馴れ馴れしすぎるのも良くない。結構大変な仕事なんだ接客業って。理不尽な言いがかりみたいな言葉に神経がとことんすり減る。最期にこのお客様は「さっきは言いすぎてごめん」謝罪された。
たまたま機嫌が悪かったのかもしれない、私の態度も悪かったのだと思う。言われたときは不甲斐なさと、悔しさでいっぱいだったけど・・・今では感謝している。でも同じく接客業をするスタッフに向けるべき言葉ではないけどね。

「捨てられた子の癖に」


これは、家族に言われた言葉だ。両親と暮らしたこともない、母親の顔も声もほとんど覚えていない。父親はどちらかといえば歳の離れた兄みたいな存在で、施設に入れられそうになった私達は祖父母に育てられた。
そして私達はそう思ったことは一度も無かった。
この言葉以外をあまり覚えてはい。あまりにも衝撃的過ぎた言葉だったのかこの言葉以外の映像は何一つ残ってない。どこかに封印してしまったのかもしれない。弟としょっちゅう喧嘩していたので相当怒らせたんだろうしか思っていない。言葉だけが奥深く刺さって決して抜けない言葉に変わりはない。こうして思い出せるのだからね。なにより悲しいのはそう思われていた事。でもよく考えたらまぎれもない事実なんだ。弟も私も誰一人恨んではいない。言われたことは辛いけど、やはり祖父母は大切で大好きだったから。今では祖父も他界し一人残された祖母を見ながら暮らしている。祖母も高齢でいろいろ自由は制限されるけど、最後まで見ると私は誓ったのだ、育ててもらった分まで。誰に強制されたわけでもない私が決めた事。

「完璧主義者は病気だよ」


職場の社長に言われた言葉だ。半分笑いながら・・・
いきさつを話すととことん長いし、結論からいうとこの言葉のせいで私は少し狂ったように思う。そして新しい自分を作る動機になった言葉である。
結構なパワーワードだと私は思う。
まず、私はこういわれるまで自分が完璧主義者だと思ったことは一度たりともなっかたからだ。商品を扱う仕事であれば管理は重要だろう。その管理を一人でこなさきゃいけないことに責任が発生するのは当たり前だ。
私がこの言葉をどうして言われたのか理解に苦しんだ。
言われた業務だったり、自分でやろうと決めた事を必死でやり遂げようとするのは病気なのか?

「仕事が出来ないふりをしろ」


上記した言葉と共に言われた。
全く意味が分からなかった・・・。誰もが出入り可能な事務所で他のスタッフが見て見ぬふりをしてる中、何時間言われ続けたことだろう。
最初はそれなりにこちらの言い分も言ってはいたが、途中からそれすら許されず業務内容からも話は離脱し、私という人格否定の公開処刑場だった。
悔しさから幾度となく溢れそうになる涙を必死で抑える、人前で泣くなんて行為は丸裸にされるほど私にとっては羞恥だ。ひたすら時間をカウントして涙をこらえてるうちに絶え間ない頭痛に襲われた。
帰宅してからも、頭痛は収まらずあの光景と言われた言葉が延々とリピートしていたのだ・・・・そしてあっさり眠った。
私は本当に図太い神経の持ち主だった。
ただ仕事に行きたくは無かった。悲しさより悔しさより腹ただしさが残った。
たまたま知人で昔のバイト先の先輩が今は別の店の店長をしていることもあり、何となく聞いて見ようとしただけだったけれど、
「完璧主義者は病気ってなに?私病気なの?」
「仕事が出来ないふりってどうやってすればいいの?」
質問を繰り返した、だって本当に分からなかったから。
昨日散々我慢したからか起きても頭痛はずっと残っていた。知人は何故か病院に連れていくと言い出し突然やってきた。連れていかれた病院は“心療内科”だった。
着いた瞬間非常に困ったのだ。何故なら・・・
朝起きた瞬間にもうあまり悩んでいなかった自分がいたからだ。
知人に話したのも、聞いてもらって笑って済ませてくれたらそれで良かったのに。
初めての心療内科・・・かなり困惑した。
もう涙なんかとっくに枯れ果てていたのか、何も感じていなかった。
心療内科の先生は優しい先生だった。一通り話しを聞いた後家族構成を聞かれたり色々話しているうちに涙が出た。
だって・・・先生がどうしてそうなったのか悲しそうな涙をためた目で私を見たから、もらい泣きしてしまった。
私は自然とお得意の演技を披露していたのかもしれない・・本当に先生に謝っても謝り切れない事をしました。
休職届が出され、薬が渡され、仕事は辞めるように言われた。
心療内科に行ったことは私の家族は誰一人知らない。
薬は1つも飲んでいない。いまでも袋の中にある。
休職中は転職しようと全く違う業種の資格試験の勉強に励んだ。
職場復帰した私は何食わぬ顔で仕事に行った。社長から何一つ言われもせず、あれから約3年仕事したのだ。
試験は無事合格したけどその職には就いていない。
ある暑い夏の日だった。
向かいの家の洗濯物が風に揺れていたのを、ソファに寝転んで眺めていた。
青い夏の空に白いシャツが良く映えた。
気持ちよさそうに風に吹かれながらユラユラ揺れていた…
「仕事辞めよ」
その時そう決意しあっさりと長く勤めた会社を退職した。

できることは出来ないと誤魔化して、知ってることは知らないといった。
これが意外と役に立つのだ。悪くいえば人に取り入る武器になった。
完璧主義者は病気、これを病気と診断するのはどうかと思う。
失敗することが怖い、失敗したことで周りに迷惑をかけてしまうことを何よりも恐れる臆病者だから。
「〇〇さんでも間違えることあるんですね」
あの事をきっかけによく言われた言葉だった。
ちょっとだけ傷ついた、それは多分私の糞みたいなプライドのせいだろう。
やっぱり私完璧主義者だったのか??
誰だって失敗するんだ。完璧を装わなくてもいいんだ。
壁を作っていた後輩たちもこんな私を見てきさくに話しかけるようになってきた。
完璧という壁を作っていたのかもしれない、見えない壁。
1つのミスも許されないと自分で自分を縛り付けて苦しめていたのかもしれない。
取り壊したことでこんなに開放されるなんて。
社長は見抜いていたのかもしれない、真意は分からないけど。
完璧主義者はしっかりもので責任感が強いとか言われるけど、きっとすごく優しい人なんだと思う。
自分で優しい人はすごく語弊がある、なんせ私は適当な人間なんですから。

「結果=答えじゃない」

言われた言葉で私自身が成長できたのかもしれない。
私はどれに対しても今では恨んではいない。
今だから言える、見えない答えを探し続けることは楽じゃないけどね。
言われた言葉はすごく深いところに刺さってずっと抜けることは無い。
これから先の人生でどれだけの言葉に攻撃されるのか分からない、私自身も誰かを攻撃してしまうことも充分あり得る。言葉で受けた傷はカサブタになって治ることは無い。
人間に心の傷の修復方法を創造主は授けなかった。
心に深い傷を負って生きていく人間を楽しそうに傍観しているのかもしれない。でも、人間が人間に出会わなければ心に傷を負うなんてことは無い。
右をみても左をみても人間という生き物は存在している。
人間という種族に産まれた運命だから受け入れるしかない。
私が傷を負ってボロボロになって、誰かに傷を与えてボロボロにして生きていく人生を私の遥か上空で笑っている創造主よ
私は抗う。
見よ、私という人の生き様を。
貴方が授けなった、いや作ることすらできなかった心の修復方法を
私は見つけて作って創造していこう。
完璧なんてものはきっとこの世のどこにも無い。       

長い文をここまでお読み下ったあなたに、心から感謝します。                                             古城零音
















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