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ferm LIVING Stories vol.28 Ellinor と Annetta の家

今回ご紹介するのは、ドイツ・ベルリンで起業した二人組のインテリアスタイリスト、Ellinor と Annetta のストーリー。


ベルリンに恋をして、会社を立ち上げ活躍する彼女たち。
そんな二人のアパートメントに ferm LIVING がお邪魔したようですよ。

〜 二人のベルリン 〜


ベルリンはこの10年、活気に満ちた大都市であり続けている。
志をもち、この場所に腰を据えたデザイナーやアーティストたち、特に北欧諸国からやってきた人々は、街のもつありのままの美しさや天井の高いアパートメント、大都市の賑やかな雰囲気に心奪われる。

Ellinor Belven, Annetta Kristjansdottir / インテリアスタイリスト

Salty Interiors の二人組、Ellinor Belven と Annetta Kristjansdottir は
スウェーデンとアイスランドでそれぞれ育った。

二人の出会いはベルリン。
北欧デザインへの愛や心地よい笑いという共通点が、彼女たちを結びつけたのだ。最近二人は北欧の雰囲気とデザインの風をドイツに吹き込むために、スタイリングのコンサルタント会社を設立。


私たち ferm LIVING は新たにスタイリングしたお宅を訪問し、光と自然、そして素晴らしいデザインについて二人に話を伺った。

この新たにリノベーションされたアパートメントの5階に足を踏み入れれば、
なぜ彼女たちが以前までの1階の部屋から、ここを選んだのかよくわかる。

ベルリンの冬の日差しの助けもあってか、緑のある小さな広場を見下ろすこのアパートメントは、信じられないほどの光が差し込んでいる。
どこを見てもこの光が、彫刻的なデザインや花をいけたフラワーベース、ダイニングテーブルの上のグラスに影を生み、このリビングルームにドラマティックでうっとりするほどのダイナミックさをつくり出している。



テーブルはセッティング済み。もちろん、ホームメイドのものだ。
コーヒーとケーキを楽しみながらのおしゃべりタイム。
スウェーデンの伝統、 “fika” の始まりだ。

寒い北欧の地からベルリンへの道のりはどのようなものでしたか?


(Annetta)
私はロンドンに住んでいて、ドイツ人のボーイフレンドと出会いました。
彼と一緒にベルリンに引っ越すよう説得されたんですよ。

(Ellinor)
私は最終的に引越しを決めるまで、何年もベルリンを行き来していました。
この街そのものに惚れ込んでしまって。
それで、完全にここに移り住もうと決めました。
私たちの出会いは偶然。……というか、実際に出会ったのは Annettea の彼氏で。彼は自分の彼女と私が絶対に気があうと思ったようで、彼女に会うように私に言い続けたんです。
その結果が、こう。
あれから何年も経って、私たちは今ここにいるんですよ。

(Annetta)
可笑しなものですよね。
だってそれ以来、お互い仕事から仕事へとフォローし合ってきたんですから。二人とも教育を受けたバイヤーで、様々な事業でともに働いた後、2年前にようやく自分たちのビジネスを立ち上げました。

(Ellinor)
すごくラッキーでした。
ドイツはビジネスを始めるには素晴らしい国ですが、タイミングにも恵まれていました。スカンジナビアのテイストをドイツに広めるのに、ちょうどいい時期にスタートしたと思っています。
今やすっかりメジャーになりましたよね。

この部屋の光は、本当に素敵ですね。
どうやってこの素晴らしいアパートメントを手にしたんですか?



(Annetta)
実は私、彼とこの建物の別の部屋に5年ほど住んでいたんです。
でもそこは1階の部屋。
引越しも考えていたのですが、このエリアが本当に大好きで……。
幸運なことに同じ建物に空いている部屋を偶然見つけ、すぐさまこの驚くほど明るい部屋へと引っ越すチャンスに飛びつきました。

(Ellinor)
私たちは、光について強いこだわりを持っています。
Neukölln に仕事用の新しいスタジオを持つことができたのは、ラッキーでした。その場所にはものすごく大きな窓があって、太陽の光を思う存分浴びています。

住まいをデコレーションするときに大切なことはなんですか?


(Annetta)
自分の心に耳を傾けることだと思います。
私はモノが自分に向かって叫んでいて、何か特別な気持ちにしてくれることができるのだと強く信じています。これが私にとって重要。
それに、私たちはただ見栄えが良いだけのスタイリングをすることは絶対にありません。
二人にとって、家にある全てモノはみな、機能的であるべきだからです。

(Ellinor)
素材についてもそうだと思います。
私の自宅は植物やテキスタイルを必要としているので、そういう観点でいうと私はミニマリストではないですね。
例えば、ここにあるラタンのセットは、この家をよりナチュラルなものにしてくれています。私たちはいつもこういったメインのアイテムから始めて、その周りに美しいアイテムを追加していくのです。

(Annetta)
デザインの仕事をしている私たちは、常に新しいものを求めていますが、かといって衝動買いはしません。それよりも住まいへのアイディアやビジョン持って、まさにぴったりのものを見つけるまであらゆる場所を探しますよ。

(Ellinor)
一日中こうやって仕事をしているので、違うのかもしれませんね。
本当にたくさんの家のスタイリングについて考え、プランを練っているので、もちろんそれは私たちの住まいでも同じことです。

一日中家のスタイリングをするとき、自分の家との関係性はどうなっていきますか?


(Annetta)
私たちは常に周囲の環境を変えています。
仕事だけではなくて、家もそうです。
よく彼が家に帰ってきて、「ここにラグが無かったっけ?」なんて言っていますが、多くのものが変わることは、私たちにとってはとても自然なこと。
だからこそ、私たちのスタイリングには決して思入れのあるものは使用しません。

(Ellinor)
ベルリンに引っ越してきてからは、それほど多くのものは持っていないのではないでしょうか。
この家の中に「これなしでは暮らせない」というものがあるという気持ちはありませんね。

(Annetta)
二人とも、ものに対して執着しないんです。
使わなくなったのであれば、誰か他の人にあげるようにしています。

(Ellinor)
ここにあるヴィンテージのダイニングテーブルは、私がスウェーデンから持ってきたもの。今は Annetta と一緒にいて、半年後には別の場所にあるかもしれない。
私たちのスタジオでは、何軒分もの家具が収められた倉庫があります。
多分、6、7台のソファがあるんじゃないかしら。よく入れ替えたりしますね。

お二人にとっての「HOME」とは?


(Annetta)
「快適さ」の全てですね。
そこは盾を下ろす場所であり、何者でもなく、何かをなす必要のない場所のこと。

(Ellinor)
HOMEとは、本当に、何よりも気持ちですね。

(Annetta)
本当にそう。
私は自分の毎日のルーティンをとても気に入っているし、もし私と仲の良い人がいれば、嬉しいもの。それはカップとかお布団とかそういったものとは関係なくて、安心感をもたらす、ということなんですよね。

どこからインスピレーションを得ているのですか?


(Ellinor)
外にいるだけでたくさんのインスピレーションを得ています。
個人的にも、私たちの仕事でも、自然の感性は多くのものを与えます。だからこそ、私たちのスタイリングや家にはいつも自然でフレッシュな素材があるのでしょう。
木、わら、コンクリート、コットンは私たちのお気に入りの素材。
そしてもちろん、植物や花々も欠かすことのできないでしょ?

(Annetta)
どのプロジェクトも、いつも膨大なリサーチから始まります。
事実、私たちは四六時中リサーチしているわよね。
インスタグラムやピンタレストなどでインスピレーションを求めて多くの時間を費やすのもそのためなんです。

(Ellinor)
私たちの仕事では、すべての行動でストーリーを伝えたいと思っていますし、多くのインスピレーションはどこへ行っても見つけますよ。
けれども最終的には、ものづくりへの愛情に落ち着きます。
真っ白な状態のキャンバスからスタートして、何が巻き起こるのか見ていくことへのシンプルな喜びがあるんです。


***


いかがでしたでしょうか。


おそらく今までで一番長い質疑応答の回でした。
その分もちろん内容も濃いと思います。


家のスタイリングに対しての Annetta さんの言葉に、

——自分の心に耳を傾けることだと思います。
私はモノが自分に向かって叫んでいて、
何か特別な気持ちにしてくれることが
できるのだと強く信じています。——


というものがありましたが、モノに気持ちが突き動かされる、ということは私にも確かに経験があるかもな……なんて、しみじみ思ってしまいました。
そういったモノから発せられている小さな声に耳をすます心の余裕が、スタイリングにはもしかしたら最も重要なのかもしれませんね。


それでは、次回もお楽しみに♪



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