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すぐに結果が出なくても

「わぁ、綺麗な夕焼けだ。」
「空一面オレンジ色だね。」

こざる達は、今日も皆で一緒に賑やかに おしゃべりしながら夕飯の仕度をしています。

「えーっ! 187cm!!」
「ぼく達よりも、遥かに上の方だよ!!」

ラジオからは、ベネチアの浸水のニュースが流れてきて、
こざる達は聞いています。

「187cmは、観測史上2番目に高い潮位なんだ!」
「何もかも水没しちゃうよ。」

こざる達は心配そうです。

「ずっと前に、りこちゃんとテレビでベネチアの街並の様子を見たことがあったよね。」
「うん、とっても綺麗で、車が通っていなくて、代わりに水路を船が往来しているんだよね。」
「救急車や消防車も船だったよ。」
「道は歩行者のみで、ちょっと迷路みたいで、行きたいなぁって思ったよ。」
「とっても美しい、他にはない街だったよね。」
皆、うんうん頷きます。

「ベネチアは、海の上に出来ている街だから、高潮で水入り込むことは
珍しくはないんだけど、こんなに水位が高くなるのは、やっぱり温暖化の影響なんだよね。」
「きっと そうだよ。」
「こうして水位が高くなっていくと、海に沈む島も出てくるだろうし…。」

以前、見た番組では、潮位が上がって、ベネチアの街に海水が入ってきても、
街の人達は、わりと呑気にしていて、慣れた様子で過ごしているように見えました。

「古くからある本屋さんも、ニコニコしながら、本を高い場所に移動していたんだよね。」
「そうだったよねー、手作業で、よっこいしょってね。」

けれども、今回のように潮位があまりにも高くなりすぎることは、
とても危険です。

「温暖化対策をしたからって、すぐに結果が出るわけではないけれど、
それでも 対策を実行していかないとね。」
「うん、そうしないと、あちこち住めなくなるところが出てくるよ。」
皆、うんうん頷きます。

ラジオから テンポのいい歌が聴こえてきます。

「今朝窓を開けたら 息が白くなった
あなたのいないはじめての冬が空を覆った
眠っているあいだに」

松任谷由実の『木枯らしのダイアリー』です。

こざる達は リズムに乗ってテーブルにお皿や箸を並べていきます。

「電車を乗り越して 休みにしてしまった
オーバーを着て 一日きままに街を歩く 想い出と腕をくみ
火よう日 曇り 午後のデパート 消えそうな西日」

夕飯の仕度が出来ました。

「りこちゃんに、夕飯が出来たよって言ってくるね!」

こざるちゃんが歌いながら、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「ねえ 元気でいるの 変わってゆくの
悲しくて すすめなくなるの
木枯らしよ めくって ダイアリー」

「りこちゃーん、夕飯、出来たよ。今日は牡蠣鍋だよ!
皆で一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
温暖化対策のように、すぐに結果がでなくても、やらないとならないことが沢山あるのだと思います。
よい毎日でありますように (^_^)

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