見出し画像

モデルチェンジは「売れている」ときにやれ!

かつては高い収益を上げ、栄華を誇った企業が時代の変化に乗り遅れ、衰退していくという例は枚挙にいとまがありません。
というよりむしろ、私の経験から企業が衰退していくほとんどのケースが、この「自ら変化を起こすことができなかった」ことが原因だったといっても過言ではありません。

なぜコダックは倒産してしまったのか

まだ写真がプロだけが使用するものだった時代に、一般家庭でも気軽に使えるようにと写真フィルムを開発して大成功を納めた企業がコダックでした。一時はフィルム市場の90%以上を占め、売上も100憶ドルを超えていました。
ところがその後のデジタルカメラの出現により経営は行き詰り、2012年に倒産を申し立てるに至ってしまったことは、まだ記憶に新しいかもしれません。

実はコダックはデジカメの開発に成功していた

 では、コダックはデジカメの技術開発に乗り遅れてしまったかというと、実はそうではなかったのです。むしろソニーに先駆けてデジカメの試作機を開発していたのです!
ところがデジカメを普及するということは、自ら既存のビジネスモデルを否定するということです。「とりあえず今はフィルム事業で食えているし、無理に自分からそれを手放す必要はないだろう」そう経営陣は考えたのでしょう。
そうこうしているうちに、デジカメに市場を侵食されていったのです。そのデジカメもいまやスマートフォンに市場を奪われることになりました。

自動車業界はどう変わるか

このようなパラダイムシフト(価値観が劇的に変化すること)の最中にある業界をもし挙げるとしたら、おそらく多くの方が自動車業界と言うでしょう。
これまでの内燃機関のエンジンから電気自動車にどうシフトしていくかによっては、自動車業界は大きく様変わりしてしまうかもしれません。もちろんその選択肢は電気だけに限りません。

これまでうまくいっていたビジネスモデル自ら手放し、新たなビジネスモデルを構築していかなくてはいけないのです。

自らの知識を捨て再学習する(アンラーニング)

このように、これまで学んできた知識を捨て、新しく学び直すことを専門用語で「アンラーニング(学習棄却)」といいます。
新しいことを学び直すということには、様々な心理的抵抗や誘惑が伴います。なぜなら、これまでの延長線上でビジネスを行っている方がはるかに簡単だからです。そしてほとんどの人がその誘惑に打ち勝つことができないのです。

しかし自ら既存のやり方を否定し、新たに学び直し、成長し続けなくてはいけないのです。同じ場所に安住していること、それは「維持」ではなく「減退」なのです。

モデルチェンジは「売れているとき」にやれ

かつてホンダ自動車の創業者の本田宗一郎は、「モデルチェンジは売れているときやる」と言いました。「売れているのにわざわざそこに新車を発売するなんてなんてばかげているんだ」そう思われるかもしれません。しかしそこには常に新しいことを学び続けるという、本田宗一郎の強い姿勢が表れているのです。

もしあなたのビジネスがいま順調であるならば、それはひょっとすると変化しなくてはけないサインかもしれません。現状を維持したいという誘惑に打ち勝って、自らをアップデートし続けるのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?