世界との境界と皮膚とHSP

「皮膚が弱い人は、世界との境界が曖昧な人です」っていうのは、一体どこから聞いたんだっけ。

幼児の頃からアトピー持ちで、ウイルスも菌もすぐ感染し、すぐ炎症を起こし、すぐ湿疹が出る自分の皮膚にうんざりし、最近よく冒頭の言葉を思い出す。
そしてあながち間違いじゃないのかもと思う。何でもかんでも私の皮膚は無防備に入れすぎる。

体の不調を言い立てると、具合悪い自慢みたいで気が引けていた。「俺/私って身体弱いからさ」という人に出会うと、しゃらくせぇ人だなぁと思ってしまう。冷たい？
でもそれって、自分の弱さをさらけ出せるってことでは？というかそんな風に言えることが、本当は羨ましいのかも。
なら私も今日からしゃらくせぇ人になる。
だって具合悪いし。

今回は酷かった。
顔面と頸部に大量ヘルペス(痛い)→多形紅斑(赤くて痛くて痒い)→ヘルペス(痛い)のループ

10年以上前にカポジ水痘様発疹症(アトピーとヘルペスの合併)になってから、首より上にヘルペスが出る頻度が半端じゃない。2ヶ月に1回とか下手すると毎月。
しかもなぜだか私の場合ヘルペスは繰り返すたびに、典型的な水疱にはならなくて、小さいブツブツが沢山できる。だからただの湿疹と言われることも多数。
でもちゃんとヘルペスと診断してくれるお医者さんもいた。三叉神経痛も出て、抗ウイルス薬飲むと一発で治るんだよ。

さらに困った事に、ヘルペスが出る前後に一面焼け野原のように真っ赤な炎症を起こし、これもアトピーの悪化ですねと何度言われたことか。言われた通りステロイドを塗ってもひかない。何だかいつものアトピーとは違う。

何軒も何軒も皮膚科をはしごして、「ああこれは多形紅斑です。ヘルペスの後に出ることがあるんですよ」と言われ、ものすごくほっとした。違和感は間違いじゃなかったんだなと。
諦めずに皮膚科を探してよかった。だからといってすぐ治るわけじゃないけど。同様にアトピーと誤診されてる人多いんじゃないかと。

聞くところによるとアトピー持ちは生まれつき、フィラグリンという皮膚のバリア機能に大事な物質が少ないらしい。皮膚スカスカってこと。

翻って世界との境界について考えてみると、街中で困っている人を見かけて、助けられなかったと1日中くよくよし、愛想よく近づいてくる人を良い人と思い、天使みたいな子どもは本当に天使と思い(これが酷くて裏で女王様として君臨していた)、
私はなんでも馬鹿みたいに外面を受け入れすぎるし、大した技量もないのに役に立ちたいと思いがち。
精神の保湿が足りなくてスカスカで、良いものも悪いものもすぐ招き入れてしまう。少しの刺激で衝撃を受けて、長く引きずってしまう。

身体と精神が分かち難く結びついているのなら、私の皮膚が丈夫になり、世界との境界がはっきりすれば、私の精神もスカスカじゃなくなるんだろうか。(といっても精神がスカスカなのはあくまで私の話。皮膚が弱い人がみんなそうだと言ってるわけじゃ全くないです、念のため)

こんなとりとめもないことを、つらつらと考えていたが、今回つくづく感じたのは、

1)症状はどんどん移り変わる時がある
ヘルペスかと思いきや多形紅斑になり、またヘルペスになる。ヘルペスの薬を塗っても多形紅斑は治らない(アトピーも)から、症状を注意深く観察しないと。
アトピーを元々持っていると他の皮膚症状も起こしやすいし。

知人はアトピーかと思ったら脂漏性皮膚炎で、マラセチアというカビに効く薬を塗ったら一発で治ったらしい。ステロイドはむしろNGだったっぽい。
だからきちんと診断してくれる皮膚科医に出会うことが大事。

2)皮膚科医と闘っても無駄
プロに素人があれこれ言うと、嫌がられる事が多いです。それでも違和感を感じるなら紙にまとめてさっと見せたりすると、見てもらえることも。
それでも聞き入れてもらえなければ、皮膚科はたくさんあるのだから他へgo！
合う医師は自分でみつけると覚悟を決めると、不思議と見つかることがある。

3)良い皮膚科医は顕微鏡検査を嫌がらない
皮膚科医でもぱっと見、アトピーかそれ以外か悩む時があるらしい。そういう時手間を惜しまず、菌などに感染してないか検査してくれる医者は良い医者が多い。

同じように苦しんでいる人が、的確な治療を提供してくれる医師に出会えますように。