『酒虫』 芥川龍之介 感想

酒虫とは何か。
答えは示されない。

幸福そのもの象徴のことなのか。
人性の幸せを取るか、
物的な実入りと取るかということか。

あるいは、
酒虫に栄枯盛衰の根本原因があると
考えてしまいがちだが、
酒虫それ自体は物事の直接原因ではなく、
間接的なもの、
複合的なもの、
ただの目に見える結果、
つまりモニターのようなものではないか。

酒を飲めなくなったのは暗示による効果。
没落したのは、
人を信じて
健康を求めようとしたからこその結果。

それと引き換えに、
ビジネス上の辣腕が鳴りを潜めたのではないか。

杜子春と逆現象といえるかもしれない。

はたまた、
元より食の細い男だったが、
酒虫の効果により、
食も太くなった。

しかし、
酒虫がいなくなることで、
食べられなくなり、
健康は害されていった、とか。

いろいろ想像をすることができ、
これも面白い物語。

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