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なんか怖い話 極短6編

短すぎる怖い話6編をお届けします。短くても個性の光る、楽しい子たちです。

男尊女卑の激しかった時代、ある一家が話題となった。生まれた子供8人全員が男の子だったのだ。大変に珍しがられ、跡継ぎのいない家では羨む者もあったという。やがて両親が亡くなると兄弟8人で土地を分割したのだが、その一角から白骨化した遺体が出てきた。その数8体。いずれも、生まれて間もない赤ん坊のものだったという。(No.01 全員女の子)

スーパーで養殖うなぎの大安売りをしていた。あまりに安いので、なんとなく手を出さなかった。近所の魚屋でも養殖うなぎがやたらと安い。店主にどうしてこんなに安いのか尋ねると、そりゃあ出血大サービスですよ、というだけで詳細は教えてくれない。夜ご飯を食べに回転ずしに行くと、うなぎ祭りをやっていた。うなぎ二貫で40円らしい。(No.02 怪しい安売り)

仕事で地方に行っていたときの話。尿意を催していたため、電車を降りるなり便所を探した。ところがなかなか見つからない。駅の裏手に便所があるのをやっと見つけたところ、入口から立て続けに男性が2人出てきた。中に入ると立ち便器はなく、汚い個室トイレがひとつあるだけだった。……あれ?(No.03 汚いトイレ)

目覚ましに叩き起こされ、通勤電車で太った男に舌打ちされ、会社で嫌味な上司になじられ、それでも溜まった仕事をひとつひとつ片づけ、疲労こんぱいで家にたどり着き、値引きされたコンビニ弁当を食べて、テレビを見ながらいつの間にか眠りにつく……というところで、夢から目覚めた。(No.04 現実的な夢)

隣の部屋からギコギコ音がしてうるさい。大家さんに相談すると、隣人は趣味でDIYをやっているとのことだった。本業が大工の親方。歳は先週の日曜で42になったらしい。仕事も趣味もやってること変わらんよね、と大家さんは笑った。「ごみの分別もしっかりしてる真面目な方ですよ。一回言えば気をつけてくれると思います」というので安心した。ところであなた、と大家さんが続ける。「お酒とコンビニ弁当はほどほどにね。体に障りますから」適当に返事をしたが、部屋に戻ってから首を捻る。コンビニ弁当をツマミに晩酌していること話したことあったっけ。(No.05 おしゃべり大家さん)

「なんかこわい」で変換したら、一発目に「軟化こわい」が出てきた。(No.06 なんかこわい)

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