デジカメUI入門:7 カスタマイズ
カスタマイズをする目的は、良い写真を撮るためや使い勝手を上げるためですが、カスタマイズをすること自体にUXとして価値があります。
撮影前にカスタマイズするときが楽しく、それを使って撮影するときが楽しく、写真を見てそれが効果的だと嬉しく、他の人に褒められると嬉しい。
それが「カスタマイズUX」です。
カスタマイズのシーンの一例はこんな感じです。
撮影にいく前日に愛機をメンテナンスし、去年の撮影した写真を見ながら次の日の撮影をイメージする。
去年撮影した写真は、買ったばかりのカメラを持ち出して夢中で撮影した記憶はあるが、まるでカタログに載っている作例写真のようで、自分の写真だと心から思うことはできなかった。
そしてこの一年、何度となく撮影する中で、少しづつ自分の色を作り上げてきた。
彩度は少し抑え目で色を感じることは少ないが、コントラストを高くして光と影を強く感じるそんな方向が気に入っている。
そこに強い赤や緑を見つけて入れると、色が深みを増し陰影の中で存在感を増すのだ。
明日はもっと強い個性で勝負してみようと、もう一つ目盛りを動かした。
もちろん、新しいレンズを買うことも、革のケースを付けることもカスタマイズと言えますが、この記事では、撮影設定セットを作るカスタマイズと、カメラの使い勝手を変える操作性カスタマイズについて書きます。
操作性のカスタマイズ
カメラにはいくつかのボタンやダイヤルが装備されており、それに良く使う機能を割り当てることで使い勝手を向上させるのができます。
こちらも画調カスタマイズと同様に、カスタマイズをおこなうとカメラが急に自分の相棒になったような気持ちになります。
LUMIX G9のファンクションボタンは19個もあり、100個近い機能から選択することができる
撮影設定セットのカスタマイズ
自分の作風として全ての撮影で使うように画調を調整するものと、特別なシーンに使うためのスペシャル設定の2つの使い方があります。
作風用の設定は主に前の記事で書いた「画調」のカスタマイズを指します。
それに対してスペシャル設定の方は、ドライブ(連写)設定やフォーカス設定を含んだシーンモードに近いものになります。
ダイヤル/レバーUIはカスタムの敵
モードダイヤルやドライブモードダイヤルなど、物理的に操作するUIは、カメラらしさを演出する上で人気がありますが、カスタム設定で切り替えることができないため、撮影設定をまとめて切り替えることができなくなります。
そのような理由から、撮影モードも含めて全ての操作をボタンと電子ダイヤルでおこなう機種もあります。
プロ機であるキヤノン EOS-1Dはモードダイヤルを持たないことで、カスタム設定で必要な設定をまとめられるだけでなく、完全な設定リセットを実現している。
カスタマイズを育てよう
主に2種類あります。
一つは、現在の設定状態をそのまま記録するタイプです。
もう一つは、メニューのような設定一覧で作り上げるタイプです。
作り方よりも重要なのが、上書き保存できるタイプかどうかです。
カメラの中には、PASMモードからしかカスタム登録できないものがありますが、それでは呼び出したカスタム設定を少し変更して上書き保存することができません。
カスタムモード上で設定を変更して、そのままカスタム登録できる機種を選ぶことで、カスタム設定を少しづつ育てていくことができます。
LUMIX G9は現在の設定を記録する方式をとっており、カスタムモード内で少しづつ編集しながら上書き保存することで、カスタムを育てていくことができる。
カスタム設定は大切な資産
カスタム設定はユーザーの資産で、ファームウェアのバージョンアップやカメラの故障などで失われることがあってはなりません。
これからAIの登場で、カメラがよりパーソナル化していきますので、それらの情報保全も合わせて考える必要があります。
既にいくつかのカメラでは、SDカードへの書出し、スマホへのバックアップ、さらにネットサービスで保存してくれます。
素晴らしいカスタマイズはシェアしよう
時間と手間を掛けて作り上げたカスタム設定は、本人にとって価値があるだけでなく、同じようなシーンを撮影する人や表現を目指している人にとっても価値があります。
カスタム設定をシェアして、尊敬やお礼を含む対価が受け取れるなら、シェアをしても良いと思う人もいるでしょう。
クックパッドや食べログに記事を書く感覚に近いかもしれません。
自分の撮影した写真にイイネを付けてくれた人に、カスタム設定をシェアし、その設定で撮影した写真をコミュニティの中にアップしてくれたら、弟子ができたみたいできっと気持ちが良いと思います。
でも実際にカスタマイズしている人は少ない
カスタマイズすると楽しいよ。良いことがあるよ。と言っているが、実際にカスタマイズを楽しんでいる人はほとんどいないと思います。
なぜななら、カスタマイズするUIが楽しくないからです。
情報は少ないし、だれとも共有できないし、カスタムの内容を自慢してイイネがもらえるSNSもありません。
ここに書いてあることは、ある意味UIデザイナーとしての夢です。
近い将来、スマホでカスタマイズでき、いくつものカスタム設定を管理でき、SNSで仲間とシェアできるようになれば、状況は少しづつ変わってくると思います。
記事内の画像は各メーカーのホームページから引用しています。
画像にはリンクが貼ってあります。
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