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Material Youは「愛着」UXプラットフォームへ進化する

Googleがマルチプラットフォームのデザインフレームワークとして育ててきたMaterial Designが、5/19から開催された「Google I/O 2021」において、大幅なコンセプトのアップデートをしてきたので、それにつてい触れたいとおもいます。


Material Designといえば「アニメーションするUI」「大胆なオブジェクト構成と配色」という印象が大きいと思います。

これまでのアニメーションの使い方としてはマイクロインタラクションをオブジェクトに与えることでオブジェクトの振る舞いや情報の構造を分かりやすく伝えるUI手段として使われてきました。

また配色などもアプリの個性やブランドとしてデザイナー(企業側)のメッセージとして使われ、ユーザーから見ると与えられたUIに過ぎなかったわけです。(もちろんそれ自体素晴らしいことではあるのですが)

ところが今回の「Material You」というコンセプトは、ユーザーがよりデバイスに愛着を持てるようにしたり、さまざなユーザーの利用コンテキストを背景にしたUIを提供することによって、ユーザー一人一人に最適化したものへと引き上げ「パーソナルUXのためのフレームワーク」に大きく変えてきたのです。

素晴らしいUIを皆に提供するという考え方から、一人一人に寄り添ったUIの提供に進化し、人とモノとの関係性をより深く洞察していこうという試みにも読み取れます。


サービスのパーソナライズ

スマホの本質は、アプリをインストールすることでどんなものにも成れるカスタマイズ性にあります。メタメディアと言われる所以です。

ところが、タブレットが登場し、ウォッチが登場し、さらにクルマへと扱うスマートデバイスがどんどん増えていく中で、これまでユーザーが手を掛けてカスタマイズをおこなうことが限界となっています。

ユーザーの利用状況や体調、気分といったパーソナライズのための情報をベースにどのような個性を作り出し、それが愛着に繋がるかはこれから発展していく部分ではありますが、本格的なAI時代を前にして「私の分身。私の友達。私のスマホ。」と思えるようなマルチデバイスUIサービスへとMaterial Designが進化していくことが重要です。

例えば、Material Youの周辺機器としてデジタルカメラや自動車を購入し接続したとしたら、GUIが一瞬でパーソナライズされ「私のカメラ。私のクルマ」と愛着を感じる存在になる世界が実現するわけです。


パーソナルカラー抽出から始めよう

そのためのシグニチャーとして「パーソナルカラー抽出」という機能を提案してきた。ユーザーが好きな壁紙を設定するとそこから色相要素を抽出し、そこに輝度バリエーションを展開した上で適切なバランスになるようにカラーパレットを作る仕組みのようです。


数年前からダークモードが一気に広がり白組黒組に分かれている状況ですが、その上にさらに個性を作り出すことで事務機器の様な存在から、もっと身近な手帳やスニーカーのような自己表現のためのツールになっていくのかもしれません。

昨年末にPixelを購入しているので、いち早くこの新しいユーザー体験を味わうことができるはずです。それまでに沢山のお気に入りの写真を撮ってそこから壁紙を選択できるようにしておきたいと思います。


モーションに個性がでてくる未来

スマホの扱い方は内蔵されている加速度センターで簡単に取得することができます。キーボードやボタンの操作スピードなど、ユーザーの普段の行動は性格の表層でありバイオリズムの一つと言えます。

例えば、普段よりも早く操作したりミスが多い場合は何か急いでいる状況にいたり心が安定していないと推測できる分けです。

そのようなユーザーの状況に適切なUIを提供するためにMaterial Designが自動的にモーションの動きを調整し、操作リズムを心地良くコントロールさせてくれるようになるかもしれません。

その他にも購読している雑誌、好きなファッションブランド、音楽やアートの嗜好など、個性を反映するデータは沢山あります。それらとUIを結び付け多くのユーザーが「Yes or No」を繰り返していくことで面白いレコメンドができたりサービスがより個人を理解できるようになります。

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行動から取得したデータを使って、実際にユーザーが心地よいと感じるUIを作成する技術には多くの試行錯誤が必要ですし、その上でパーソナルな存在として愛着を持つUXを実現するまでにはさらに多くの時間が必要だと思いますが、2021年にMaterial Youコンセプトが出てきたことは重要な変化点になるはずです。

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