見出し画像

一貫性の前に多様性 今こそルールを再構築

ユーザビリティを上げようとする時に、従来の使い方に合わせることで迷い無く使えるようになる。これはユーザーが既に持っている「概念モデル」に合わせるという事である。

製品のモデルチェンジの時でもこの考え方は根強く、新規の設計項目を減らしリスクを下げる手段にも用いられる。新規仕様の根拠となるユーザー要求調査、各段階での評価の実施がISO9001(品質マネジメントシステム)で求められることからより大きな変更がやりにくくなっている。

そこで都合の良い言葉が「一貫性」だ。上記のユーザビリティに繋がることから過去(現行)の製品に合わせようという発想に繋がりやすい。一貫した設計思想のような響きの良い言葉ともつながり、先輩たちが設計したものを否定しなため可愛がられ出世するのにも良い選択となる。


本当にそれがベストなのか?

もちろんシステムとして製品をユーザーに提供する場合には一貫性は重要であるが、その共通ルールが本当にベストなものなのかしっかり考えなければならない。

多くのアイデアの中から、正しい評価によって選び抜かれたものは、パフォーマンスが高かったり論理的であったりして、中長期的に見ればこれまでの慣習を捨てて変更する価値のある。

特に世の中が、社会的にも技術的にも変化点にきている時には過去との一貫性よりも優先されるべきかもしれない。

単に慣れているから、一貫性が大事だからと言うのでは無く、一度それを疑ってみてベストなものを再構築してからシステム全体に展開した方が良いと思う。


多様性のための異質な人材と行動を評価

最終的にはきちんと評価して選択すれば良い事なので、最初はいかに多様な視点や価値観、課題設定から多くのアイデアが出せるかが大事になってくる。その為には異質な考え方や行動ができる人材を大切にすることが必要である。

スゴイ人材を見つけて来なくても、一定数の人が集まれば正規分布として中心に近い人だけでなくそこから外れている人がいるものである。そう言う人を大切にしていると自然と多様性の輪は大きくなっていき、大きな発見につながるアイデアに出会う可能性が高まる。

逆に平均的で、たぶん過去の習慣を基準にしている人ばかりを評価していると正規分布以上に多様性を失う企業文化が育ってしまう。


未来に向けてルールを再構築しよう

System of Systemsという視点があり、Society5.0のように空間、人、モノがつながることを指す。各システム(製品やサービス)が組み合わせたときにも技術的な共存性や接続性の保障だけでなく、ユーザー体験として統合されたものに感じられなくてはならない。

そのような視点からも、従来製品の固有の使い勝手(UI)を一度分解し、ユーザー体験の視点からSystem of Systemsのための新しいUIを構築するタイミングにきていると言える。

新しいルールを作るタイミングはそれほど多くないが、現在持っているデザインガイドラインを見直し再構築することをお勧めする。何年か前からWeb/アプリ開発ではデザインシステムという「思想+ルール+素材」を一体化した開発環境を作る動きが活発化してきているのも、単に業務の効率化だけでなくサービスを拡張していくときにSystem of Systemsの視点が求められているのだろう。

社会や生活の中で起きていることに目を向け、他分野や他社を含めたさまざまなシステムと統合されたときに、シームレスなユーザー体験を実現できるのかしっかり見極める多様な視点とアイデアを起点としたプロセスによってルール作りがおこなわれることを大切にしたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?