ごみ捨て場の脳

 街を歩いていた私は、「人工脳」を搭載した爪切りの広告を見てため息をついた。生ゴミに含まれる有機物からさえ作ることが出来る、驚くほど多機能な人工の脳細胞。私の頭脳を作り出した技術が、今では爪切りにさえ使われている。

「おい、そこのロボット」そう呼び止められた私は、癪に感じながらも足を止め、振り向いた。

「ここらで活動している、生まれ変わりサービスを自称する連中のことを知らないか?」

「知りません」

「なるほど、信じよう。お前達は人間に逆らえないよう出来ているからな」

「よく見たら、お前も同類じゃないか、なら足を止めて答えてやる必要もなかったな」

「それ」は、廃材をリサイクルしたパーツで体が作られている「私」とは比べ物にならないほど人間に近かったが、ぼろ布に覆われた体は間違いなく人工物だった。

「いや、俺はお前達とは違う。俺は人間様に仕えるため作られたモノじゃない」

「俺の頭脳はな、人間の脳から作られたのさ」

【To be continued】

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