(交通事故)高次脳機能障害の「日常生活状況報告書」書き方の注意点
交通事故や労災事故で脳損傷があり、高次脳機能障害と診断がされた場合に、被害者の家族に対して保険会社が「日常生活状況報告書」を書いて欲しいと頼まれる場合があります。この「日常生活状況報告書」は高次脳機能障害の判定にあたりとても重要な意味を持ちますので、日常生活状況報告書作成の際の注意点をお伝えします。
また、書式のダウンロードも用意しておりますのでご活用ください。
「日常生活状況報告書」書式ダウンロードはこちら
本記事は交通事故の被害者のご家族で「日常生活状況報告書」を書かれる方、そして弁護士の方で依頼者さんに対してアドバイスをされる場合に当事務所の経験をお伝えする記事となっております。
前半の無料部分で「日常生活状況報告書」作成に必要な十分な記事となっておりますが、後半の有料部分では当事務所が行う「日常生活状況報告書」の面談におけるアドバイスの内容などさらに踏み込んだ記事となっております。
日常生活状況報告書とは
私どもの事務所でも交通事故や労災事故で高次脳機能障害と診断された方の依頼を受けて後遺障害の立証や保険会社との交渉を行うことが多くあります。
この「日常生活状況報告書」は、高次脳機能障害の後遺障害の立証の際に必要とされる場合が多いといえます。中には治療の途中に保険会社が状況を知るために「日常生活状況報告書」を書いて欲しいと家族にお願いをするという事例もあります。
日常生活支障報告書の重要性
この日常生活状況報告書は「後遺障害の立証」において非常に重要な意味を持ってきますので、作成の際には慎重に記載されることをお勧めします。
なぜ重要かというと、後遺障害は1級(重い)~14級(軽い)まで14段階に分かれていますが、基本的に13級以上の後遺障害は、医学的な画像、医学所見、医学的な検査を重視して判断され、被害者や家族がどれだけ重い症状があると訴えてもほとんど考慮されません。
しかし、高次脳機能障害で「被害者の方本人にどのような症状が残存しているか」については、この「日常生活状況報告書」の内容がかなり重視されて判断されています。
高次脳機能障害では①そもそも高次脳機能障害か、②どの程度の高次脳機能障害の症状が残存しているか、の2つの問題があります。
①については高次脳機能障害の3つの要件【(ⅰ)脳損傷があること、(ⅱ)意識障害があること、(ⅲ)高次脳機能障害の確定診断があること】という「客観的」な所見が重視されますが
②については、家族の「日常生活状況報告書」の記載内容はかなり重視されています。
読み手の方に分かりやすいように簡単にまとめると、①の高次脳機能障害の3つの要件というのを満たした場合、基本的に後遺障害9級以上になることが確定し、②「日常生活状況報告書」によって、後遺障害9級、7級、5級、3級、2級、1級のどれにするかが決まるとすらいえるのです。
この「日常生活状況報告書」は「受傷前」と「受傷後」を比べる形で0~4という点数評価で記載をする形がとられています(該当なしの「N」もあります)。
まず、「受傷前」についてはほとんどの方が「0」になると思います。
そして、重要なのは「受傷後」の項目でしょう。受傷後の0~4の項目を記載する場合、日常生活支障報告書に書いてある「能力程度」をしっかり頭にいれてから書いてください。
また、4、5、7の項目など「自由記載欄」については、書式の記載欄はスペースが少ないですので、書式には「別紙1のとおり」、「別紙2のとおり」などと記載を行い、ワードなどで作成した別の用紙にまとめることをお勧めしております。
小括
どうでしょうか。上記のとおり、「日常生活状況報告書」は高次脳機能障害で何級の後遺障害が認定されるかの分水嶺にもなりますので、慎重に作成されることをお勧めします。
また「能力程度」をしっかりと事前に頭に入れてかくこと、「自由記載欄」についてはワードでボリュームのあるものを作成して添付するということをお勧めします。
実際に私が依頼を受けている依頼者さんに対しては、一度、①ご自身で「日常生活状況報告書」を書いてもらい、②弁護士と一緒に内容を確認するという手順を踏みます。
このような手順を踏むと、①の自身で書いてもらった場合と②弁護士と一緒に確認をした場合で、0~4の5段階評価について平均して1~2点程度点数が高くなる傾向があります。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか?
「日常生活支障報告書の書き方の注意点」について
「能力程度」をしっかり事前に読んで書いてもらうことの重要性を説明させていただきました。実際に私が依頼を受けている依頼者さんに対しては、一度、①ご自身で「日常生活状況報告書」を書いてもらい、②弁護士と一緒に内容を確認するという手順を踏みます。
このような手順を踏むと、①の自身で書いてもらった場合と②弁護士と一緒に確認をした場合で、0~4の5段階評価について平均して1~2点程度点数が高くなる傾向があります。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか?
1.日常活動の「能力程度」についてみていきます。
0 問題がない
1 多少問題はあるがあらかじめ準備をしておいたり、環境を整えておけば一人で安定して行える。
2 確実に行うためには周囲からの確認や声かけが必要(確認声掛けが何回かに1回で済むのであれば「1」とする)
3 周囲の人が行動を共にしたり、具体的なやり方を示すなど、言葉以外の直接的な手助けが必要
4 準備、声掛け、手助けなどを行っても、指示を守れなかったりするために、周囲の人が後始末をしなければならない場合
私が被害者の方の家族と、日常生活状況報告書の下書きを書いてもらった場合、家族の方は当然、このような書式を書くことは初めてのケースが負いですので、悩まれながら書いています。
上記の「能力程度」については、太字にした部分をしっかり意識しながら書いてもらうことで、受傷後の0~4の評価内容は大きく変わってくることがあります。
例えば、下書き段階では「1」だったものが「3」になったり、「2」としていたものが「4」が正しいとなることもよくあります。
上記でお伝えをしたとおり、「日常生活状況報告書」は後遺障害の等級を決定する分水嶺になる文書です。
高次脳機能障害の等級は重要で、例えば9級が7級になるだけで(1つ重い等級が認定されるだけで)、賠償として500~1000万円程度変わってくることもありますし、9級が5級になると1000万円~3000万円程度賠償が変わってくる可能性もあります。
この「日常生活状況報告書」はそれほど重要な書面なのです。
そして、本当は「4」であるものが「2」として書かれたり、「3」であるものが「1」として書かれたりすると、5級が7級になったり、はては9級になったりするという過小評価を受けるという可能性もあります。
繰り返しになりますが、等級に影響が出るばかりか、賠償金としては何千万円も変わってくる影響する程度に「日常生活状況報告書」は重要な書類なのです。
まず、作成にあたってはその意識をしっかり持っていただくことが第一歩です。
では、具体的に当法律事務所が「日常生活支障報告書」について依頼者さんと相談を行いながら作成をしていく際のアドバイスについて以下に具体的に記事にまとめています。
ここまでは無料記事になります。以下は有料記事になりますが、「日常生活支障報告書」の作成の仕方について当事務所の面談方法などより踏み込んだ内容を書いています。
※弁護士の方が依頼者さんに「日常生活状況報告書」についてどのようにアドバイスをしたらいいかについての当法律事務所の面談方法についても具体的に書いていますので、高次脳機能障害の事件を扱われる弁護士の先生にも参考になる記事になっていると思います。
弁護士法人アジア総合法律事務所 福岡交通事故弁護士相談窓口 福岡の弁護士による後遺障害・等級認定サポート 福岡の弁護士による労災事故
~ここから有料記事となります~
ここから先は
¥ 1,980
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?