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わくわくする夢とは何なのか:コーチングを体験したときの話

オンラインのコーチングを受けてみた


「なぜ『やりたいこと』の話をしているのに、そんなに楽しそうじゃないんですか?普通はもっとわくわくしながら話しますよ」。

先日、何を思ってかオンラインのコーチングを受けてみた。30歳くらいまでに編集者として10万部のベストセラーを出したいと思いながらも、なかなか結果が出ず、悶々としていたからだと思う。「『達成したい目標』を実現するプロのコーチング」というコピーを見かけ、半分は「本当に目標を達成させてくれるのか」と藁にもすがる気持ち、半分は「コーチングなんてナンボのもんじゃい」という冷やかしの気持ちで、ついつい申し込んでしまった。

紹介されたコーチは、30代前半くらいの男性で、”イケてる”ベンチャーにいそうだな、というカジュアルな服装ながらパリッとした感じの人だった。コーチが私に質問を投げかけて、私がそれに答えるという形式で進んでいく。

コーチは、現在の仕事から、幼少期の体験、両親の性格まで、根掘り葉掘り質問を投げかける。私は、時々言葉につまりながらも、それでも淡々と質問に答えていく。そして、「将来どんなことを成し遂げたいですか?」というようなことを聞かれたので、「10万部のベストセラーを出せる編集者になりたいです」と答えた。その後、何ターンか「成し遂げたいこと」「やりたいこと」についての問答があり、その末にコーチは戸惑ったように先述のセリフを言い放ったのだ。

なぜ、「やりたいこと」の話をしているのに楽しそうではないのか。自分でもわからないので、ふわふわとした回答を続けていたところ、コーチは「正直に答えられないなら、率直に言って時間の無駄なので、コーチングをやめませんか?」と言う。こちらはお客様だというのに、そんな言い方するなんて失礼すぎないか?と、かっとなって、「そうですね。時間の無駄なのでもうやめましょう」と半ば喧嘩腰に言ってセッションを終えた。

コーチングは満足のいくものでは到底なかったが、この問いはズシンと私にのしかかる。「なぜ『やりたいこと』の話をしているのに、そんなに楽しそうじゃないんですか?」。

わくわくする夢について考える

「10万部以上のベストセラーをつくりたい」。
これは、3年ほど前に、いまの会社で編集者になったときから抱いていた目標である。欲を言えば100万部でも1000万部でも目指したいところだが、一般的に、ビジネス書は10万部を超えたらベストセラーと呼ばれるようになるので、まずはこのラインを超えるのが目標としては妥当かなと思っている。

では、そもそも、なぜベストセラーをつくりたいのか。目標として当たり前のことになりすぎてあまり考えてこなかったが、端的にいうと「人と心を通わせたいから」だと思う。

本を出すと、色んな人に声を聞けられるようになる。社内の人、顔も知らない読者、憧れの人……。「この本、読んだよ!」というベースの話題があるので、会話には困らない。しかも、どの部分が刺さったかで、相手の人柄も少しわかるので、話がしやすい。コミュニケーションがとにかく苦手な自分にとってこんなありがたい現象はない。

これが、10万部以上のベストセラーだったらどうなるのだろう。誰が読んでくれるのだろう。そんなことを考えるとわくわくする。

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