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嵌るまで0センチ




視界の隅に写った優しそうな笑顔
それは私の前でも変わらず繰り出されて
さりげなく触れるあたたかい手が
私を狂わせて いくのに
時間なんてかからなかった

ほら 触れた手に光る 壁
大きな手に 感じる 心
気持ちいいのは 身体だけ
いや 心まで 満たした

その人に嵌るまで0センチ
暗がりで嗚呼 周りは敵が味方か
考える余裕なんてない 必要ない
ただ 今は 目の前の
大きな頂(いただき)に全て預け
大きな声で鳴くだけ

其処を出れば他人
わかっていても寂しがる 心に
不本意に 身体は正直だ
疼いて止まらない心臓に
満たされない空虚 嗚呼、返して、あの頃に

瞼に映るのは 私に溺れた顔
忘れられない優しく撫でられた頭に
あたたかみをもつは
脚の内(うち)、手のひら、胸のナカ
忘れ切る前に思い出させて
舌先の痺れと心と唇の柔らかさ

忘れられず開くノートに
名前探して 肩を落とす
振り払おうとするも
抱きしめてくる 感覚に
月光る夜そっと手をかざす

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