見出し画像

阿呆がいい

 今日は私が参加している月一開催のネット句会の投句締切日です。20時までに最低四句捻り出さなければなりません。また、いくら湯水のごとく俳句が湧いてきても十一句以上投句することはできません。いまは六月で俳句の世界では夏なので夏の季語を使った俳句を投句します。加えて毎月、お題が出題されるので、そのお題を使った俳句を必ず一句以上作らねばなりません。あらかじめ出題されるお題のことを「兼題」といいます。今月の兼題は「入梅」「梅雨」など。なので、「入梅」「梅雨」などの季語の入った俳句を一句以上作ることになります。

 四句作ればオッケーなので四句作ればよいのですが、私はこのネット句会に参加して以降、毎月必ず十一句作っておりますので(涌井大宴会開催前で余裕がなく句会自体欠席したことはありましたが、それ以外は確か毎月十一句作っているはず)今月もなんとか十一句捻り出したいのですが、考えてみれば私は他のところにおいても、こうやって誰に頼まれているわけでもないのに自らに重めのハードルを課して勝手に苦しんでいるということがよくあります。このnoteも「毎日更新する」という縛りを設けているがゆえに別に本来必要のない苦労があるし、毎日必ず新聞をチェックするというのも、別に気が向いたときにやればいいだけの話なのに、毎日やらないと落ち着かないからチェックします。新聞が好きだからやってることなのに月に一度の休刊日がやってくると割と心の底から嬉しかったりします。なんの負荷やねん!

 とはいえ、私はこの負荷自体を楽しんでいるのですが、なかには私と似たような「癖」があるうえ、その負荷に苦しめられ、その負荷から解き放たれている他人のことを軽蔑する人もいます。自分はこんなに苦しい思いをしているのにどうしてあの人は楽ばかりしているのか、いい大人なんだからちゃんとしようよ、と怒っているのですが、苦しい思いをしているのはあなたの勝手であり、楽ばかりしている人がだからといって大人としてちゃんとしていないわけではない。自分が好きで苦しんでいるということがわからないのであれば、むしろ、そっちのほうが大人としてちゃんとしていない。

 さて。
 こんなことを書いているうちにネット句会の締切の20時が刻一刻近づいている。早く捻り出さなければ。もう四句はできているからもう捻り出す必要はないのに苦しんでいる私は阿呆なのかもしれないけど、それが阿呆であるなら阿呆のままでいたいし、阿呆なんだからむしろ軽蔑されていたい。世の中は見下ろすより見上げたほうが広いし面白い。

というわけで、先月のネット句会に出したお気に入りの一句をここに置いておきます。

偶然に街で見た妻風薫る

#日記 #コラム #エッセイ #俳句 #句会
#ネット句会 #涌井慎 #蠱惑暇 #こわくいとま


蠱惑暇(こわくいとま)こと涌井慎です。
著書『1人目の客』と1人目の客Tシャツはネットショップ「暇書房」でお買い求めいただけます。1人目の客Tシャツは推し活の必須アイテムとしてバズりつつあります。よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?