見出し画像

新宿の庭さがし

 新宿で一串150円からっていう焼き鳥がメインの居酒屋に入り、安い安いと喜んでハイボールを二杯三杯呑んでおりますと、なんやかんやで結局お会計が三千円近くになり、こんなはずじゃなかったと後悔することになるわけでして、何度も何度も同じことを繰り返しており、ようやく気づいたのですが、どうやら居酒屋というのは一人で呑みにいくと、いくら安くてもある程度満足するまで呑んでいるとお会計は三千円近くになり、後悔が押し寄せるのです。ついに理解した。後悔先に立たずというけれど、今日、僕は後悔を先に立てました。東京へ行くたび、一人居酒屋へ入り、金を使いすぎたことを悔やんでおりましたが、次回からはもう同じ過ちは繰り返しません。
 
 JR新宿駅の東口を出たらそこは私の庭と思っておりましたが、まだまだ自分のものにはできていない大遊戯場歌舞伎町。
 紀伊國屋書店はもう庭みたいなものですけど、居酒屋との決別を決めたいま、空腹を満たしてくれるご飯やさんの庭が欲しい、というわけで東口周辺を歩くのですが、庭にするのはチェーン店ではダメなわけで、そりゃあもちろん富士そばも日高屋も好きですけど、どうせなら新宿にしかないお店を庭にしておきたいじゃないですか。

 実はけっこう好きな博多ラーメンのお店があるんですが、このお店については生粋の博多っ子たる僕の後輩が「あんなものは博多ラーメンじゃありません」と怒っていたので、そんなお店を庭にしたくはないし、もう一軒、昔から大好きなラーメン屋さんがあるのですが、こっちはこっちで「何が美味しいかわからん、涌井くん絶対舌がおかしい」とまで友人たちに言われる始末。

 そんなわけで僕の「庭」を探すべく、東口界隈をぶらぶら歩いておりましたら、昭和の香りがむんむんとする汚い中華料理店があり、店頭に掲げられてある、これいつ撮ったやつや?っていうくらい年季の入った写真付きメニューを眺めておりますと、価格帯も居酒屋と決別した僕に優しい。このお店となら末永くお付き合いできるかもしれない。僕の庭足り得るかもしれない。中華菜房達磨っていう店、皆さんご存知?醤油ラーメンとミニ麻婆豆腐丼、それに生ビールで1400円也。居酒屋の半分のお値段でお腹いっぱいになれました。生ビールを呑まなければ900円です。麻婆豆腐が思いのほか、本格的な味わいで、愛すべき昭和テイストの醤油ラーメンのチープさとのギャップに僕はやられてしまいました。中華料理店にもギャップ萌えは存在するらしい。

 これから僕は町ごとに庭を見つける旅に出よう。決別したとは書いたけど、たまには居酒屋にも行こう。

蠱惑暇
こわくいとま

#note日記 #日記 #コラム #エッセイ
#蠱惑暇 #こわくいとま
#新宿 #新宿駅東口 #中華料理
#達磨 #私の庭

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?