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「シン・トセイ」はどこまで進んだ?都民、職員の満足度を定点調査し、数値化しています

都政の構造改革を着実に進めていくためには、「ユーザー」である都民、職員の声を正確に把握し、都民のQOS(クオリティ・オブ・サービス)の向上のため、アジャイルに改革の取組を修正していくことが必要です。

そのため、東京都では都民、職員のデジタル環境に関する満足度定点調査することで、改革の現在地を数値化して把握しています。今回、その2回目となる調査を実施しましたので、その結果をご紹介します。

都民、職員の総合満足度はどうなってる?


調査結果の概要は、先般バージョンアップした「シン・トセイ2」巻頭(5ページ)巻末(113~116ぺージ)でもご紹介しています。

デジタル化された行政手続きの総合満足度は、東京が25%、海外5都市は63%で、昨年度調査から引き続き、東京では海外都市と比べて大きく遅れていることが分かりました。一方、職員のデジタル環境に対する満足度は、依然として32%が不満と感じているものの、満足している職員の割合は前回の2021年調査の11%から25%に上昇しています。

なお、都民の満足度調査の結果については、昨年度から大きな差は見られませんでした。昨年度の調査結果はこちらからご覧ください。

これらの調査結果について掘り下げてご紹介します。


①海外と比較したデジタル化に関する都民満足度調査


海外都市と比べた東京都のデジタル化の立ち位置を確認するため、住民のデジタル利用の実態や満足度などについて、今回は比較対象を海外3都市(昨年度調査)から5都市に拡大し、調査しました。

【調査概要】
東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール及びソウル在住者を対象にウェブアンケート調査を実施 
期間:2021年11月30日~2021年12月20日
回答者数:3,000人(各都市500人)

■デジタル化された行政手続の利用率・満足度は、海外と比較して総じて低い

○分野別にみたデジタル化された行政手続の利用率・満足度

東京都のデジタル化された行政手続の利用率・満足度は、全ての分野において、海外5都市と比べて利用率・満足度ともに低い結果になりました。今年度、「仕事上の手続」に関する行政手続のデジタル化について新たに調査しましたが、やはり海外都市と比較して利用率、満足度ともに低くなっています。

この結果を参考として、多くの都民に利用していただき、そして満足していただける行政手続のデジタル化につなげてまいります。


■認知度はホームページで高く、満足度はSNSが高い

○行政が提供するSNSなどの広報に関するデジタルツールの認知度・満足度

SNSなどの広報に関するデジタルツールに関する調査結果をみると、東京・海外5都市共通で、認知度については「公式HP」、「Twitter」、「YouTube」は60%以上で、広く知られている傾向にあります。

広報ツールの満足度については、東京では「Twitter」「YouTube」「LINE」「note」などのSNSが60%~70%と総じて高い傾向にある一方、公式ホームページは満足度が低いということも明らかになりました。

この結果を参考として、都政の構造改革として「伝わる広報」を進めてまいります。


■都民のキャッシュレス決済手段は、①クレジットカード②交通系電子マネー③QRコード決済の順に多い

○週1回以上利用するキャッシュレス決済手段

日常的に(週1回以上)使われているキャッシュレス決済手段として、東京では「クレジットカード」、「交通系電子マネー」、「QRコード決済」が多いことがわかりました。

東京都の施設においてもキャッシュレス決済の導入を順次進めていますが、都民の利便性をより高めていくために、これら利用頻度の高い3種類の決済手段の導入を原則としていく方針を掲げています。

このほか、デジタル化を望む行政分野や、インターネット利用に当たっての不安などの項目についても調査いたしました。全ての調査項目と調査結果は「東京都オープンデータカタログサイト」で公開しています


②都庁のデジタル環境に関する職員満足度調査


シン・トセイでは、都民だけでなく職員もユーザーと捉え、都庁のデジタル環境等に関する意識を調査しています。ここでは、昨年度の調査結果からの動きを中心にご紹介します。

【調査概要】
個人メールアドレスを付与された54,046人を対象に庁内ネットワークで調査実施
期間:2021年12月1日から14日まで
回答者数:14,780人
回答率:27.3%

■総合評価は満足とする回答が11%から25%へ増加

都庁のデジタル環境への総合評価は、「大いに満足」「やや満足」が25%、 「大いに不満」「やや不満」が32%という結果になりました。

ネガティブな回答の方が依然として多いものの、昨年度と比べて「満足」とするポジティブな回答が11%から25%へ14ポイント増加しており、デジタル環境整備の効果が出始めています。


■Web会議の使用は6%から28%へ大幅に上昇したが、依然として60%には浸透していない

Web会議(ビデオ会議)機能の使用頻度は、「よく使用する」「比較的使用する」が28%、「全く使用していない」 「あまり使用していない」が60%という結果になりました。

Web会議を使用する頻度の高い職員は、昨年度の6%から28%に大幅に上昇しており、オンラインでの仕事の進め方がこの1年間でかなり進んでいることが分かりました。一方、依然として60%の職員にはWeb会議が浸透していないこともわかりました。


■「都政の構造改革」58%の職員が改革の効果を実感

今回、2020年8月からスタートした都政の構造改革(シン・トセイ)の取組の効果の実感についても調査しました。その結果、58%の職員が都政は変わった(「とても変わった」「多少は変わった」)と回答しています。

一方、42%の職員は特に変わっていないと評価しており、改革の「成功体験」を職員一人一人の実感として蓄積していくことが必要です。


■構造改革noteを「知らなかった」職員は39%

職員との双方向コミュニケーションツールとして、「職員向けポータルサイト」や提案を受け付ける「デジタル提案箱+(プラス)」、今まさにご覧いただいている「note」といったツールを運用しています。これらが職員にどれくらい認知されているかについても、調査しました。

月1回以上見ている職員は、職員向けポータルサイトが20%、デジタル提案箱+(プラス)が10%、noteは12%でした。特に気になるのが、このnoteを「知らなかった」と回答した職員が39%にものぼった点です。職員による改革の輪を広げるためにも、認知度向上に向けて取り組んでいきます。

調査の結果、コロナ禍におけるテレワークの浸透、ペーパーレスでの仕事の仕方など新たな業務スタイルが都庁においても急速に広まりつつあり、職員の感じる利便性などは全体として改善傾向にあるものの、依然として更なる改革が必要であることが明らかになりました。

* * *

今回は、都政の構造改革の現在地を数値化して把握するための2つの定点調査の結果をご紹介しました。

シン・トセイの目的は、QOSの向上であり、ユーザーである都民や事業者の皆さまの満足度の向上です。「シン・トセイ2」でもご紹介しているとおり、ペーパーレス50%削減・FAXレス98%削減・行政手続のデジタル化など、この1年半で都政の構造改革が進展しているところですが、「デジタル化によってかえって不便になった」では本末転倒だと考えています。

着実に改革を進めるためにも、今回の調査結果を改革に活用していくとともに、今後も定点調査を続け、到達度のメルクマールとしていきます。

都民、職員の満足度向上に向けた取組は以下をご覧ください。

【ご意見募集中】
都政の構造改革(#シン・トセイ)やnoteに関するご意見・ご感想をこちらのフォームから受け付けております。ぜひ、ご意見をお寄せください。