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withIBDCD|寄生虫なき病の先に

高橋広野です.

先日退院してからは,しばらくうどん生活をしています.いまのところ体調もよく過ごせていますが,いつまで続くか…

勤務している建築設計事務所のボスに「クローン病」になった旨を伝えたとき,貸してもらった本をようやく読んでみました.机の上で1年近く放置したままでした.

もちろんこれが「クローン病」の全てであるわけではないのだけれど,本書では,ひとつの見方として「細菌・ウイルス・寄生虫」にさらされる機会が激減したことで,現代に生きる人類が,クローン病の発症を抑制していたはずの「なにか」を失っていったという,人間の進化の弊害?とも言える内容が綴られている.もちろんクローン病(炎症性腸疾患)に限らず,喘息・アレルギー・心疾患・ガンなども同様である.

だからといって,「非衛生的な生活が必要だ」というわけではないのだけれど,過度に清潔で,土に触れることなく生きることができる現代の暮らしには疑問も感じる.

環境中の微生物に人間の健康を左右する働きがあること、さらに、我々が一日の大半を屋内で過ごすことを考えれば、健康促進効果のある微生物を自然に培養し、炎症促進作用のある有毒細菌を排除してくれる建物が設計できればそれが理想だろう。そんな建物を「設計する」としたら、最も簡単でコスト効率の良い方法は、家の中に家畜を連れてくることかもしれない。しかし、そこまでしなくてもきっと妥協案があるはずである。

大学で「建築」を学び,実際に「建築・都市」をつくりあげていく身としては,生活のどこかに,何かしらの手段で,失われた生態系の多様性を回復する方法を考えていけたらなと思う.むしろそのほうが,きっと生活も豊かで楽しいものになる気がする.

これからは寄生虫建築(微生物共生建築,あるいは生物多様性建築?)が必要なのかもしれない.


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