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【書評】『博多学』(新潮文庫) 岩中祥史 著


0.はじめに

岩中祥史『博多学』を読みました。福岡県の博多について書かれた本です。
・博多と福岡の違い
・屋台文化
・祇園山笠
など博多の様々な情報を得ることができます。


1.感想

最も興味深く感じたのが、冒頭の
「博多は日本でありながら、外国のような雰囲気」
という趣旨の記述でした。

博多は昔からアジアの国々と交流があり、様々な文化・生活様式が生まれました。そのせいか、日本でありながら外国のような風情があるようです。しかも、あくまで日本国内なのでパスポートもいりません。
日本の最大都市といえば東京ですが、国際感覚という点においてはより歴史のある博多の方が優れているのではないか、という筆者の主張に、「なるほど」と思わされました。実際、韓国方面に船も出ていますからね。
また、古くから港町として海外の文化を取り入れてきたことから、伝統に執着しすぎず、新進気鋭な気風が育っている、とも評しています。これは神戸や横須賀にも言えることかもしれませんね。港は海外との交流が生まれる場所。衝突もあるでしょうが、その中で新しい文化や生活様式が生まれることもあります。博多はどちらかというと開放的な街のようです。

後は美人が多いとも言われています。昔から様々な国の人と混血を繰り返してきたことが理由なんだとか。
その他おいしい食べ物の紹介や博多のこれからについても書いてあります。
筆者がかなりの博多好きらしく、そのせいで若干博多を持ち上げすぎている感じは否めないものの、市民への聞き取りも行っており、楽しく読める県民誌としては充分の出来と言えるでしょう。


2.おわりに

福岡・博多は九州で一番大きい街で、週末は近隣の県から多くの若者が遊びに来るようです(そのせいで宿が取りにくいんだとか)。長い歴史から培った食文化や気風が人々を惹き付けるのでしょう。本書を読んで興味が湧いたら現地に行くのも良いですし、既に行ったことのある人がより深く知るために読むのも良いと思います。
それでは!

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