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【随筆】裁判員裁判について

なぜ、この時期に、この内容?と、私の創作物を読んでくださっている方は感じるかもしれません。決して短編のネタがないからではないですよ~。

で、今回はタイトルの通り、裁判員裁判の件です。
私は、5年くらい前に、裁判員裁判の補充裁判員になりました。あまりない経験かと思うので、noteにまとめてみようかと思い至りました。

ただ、既に5年は経過していることと、私の特性上、過去の自分の経験や感情を覚えていられないので、細かいことは書けません。資料類はしっかり残っていたので、それを元にして書きます。ただし、5年前のことなので、今は違うということもあるかもしれません。

守秘義務について

まず始めに、裁判員には守秘義務があります。
裁判員は、「評議の秘密」、「評議以外の裁判員としての職務を行うに際して知った秘密」、を漏らしてはいけないことになっています。

「評議の秘密」は、どのような過程を経て結論に達したのか、裁判員や裁判官がどのような意見を述べたのか、その意見を支持した意見の数、反対した意見の数、評決の際の多数決の人数などのことを言います。

「評議以外の裁判員としての職務を行うに際して知った秘密」は、事件関係者のプライバシーに関する事項、裁判員の名前などのことを言います。

ここでは、私が参加した裁判について書きますが、正直詳しい内容は覚えていないので、裁判内容には詳しく触れません。その際使用した記録も、裁判が終わったと同時に回収されていますので、手元にもないのです。

裁判員候補者名簿への記載

裁判所より、「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」が届きます。
選挙権を持った人の中から、翌年裁判員候補者となる人を毎年くじで選び、名簿を作ります。これが「裁判員候補者名簿」です。そちらに名前が載ると、先ほどのお手紙が届きます。

1年間を通じ、裁判員になることを辞退できる事由(以下、箇条書き)に当てはまる人は、調査票を返送すると、これ以降裁判所に呼ばれることがなくなります。

・70歳以上
・近年で裁判員または補充裁判員に選ばれたことがある
・近年で選任予定裁判員に選ばれたことがある
・近年で検察審査員または補充員の職に就いたことがある
・学校の学生又は生徒
・自分の重い病気または怪我により参加が難しい
・裁判員になれない特定の職業についている
・裁判員になることが特に難しい特定の月がある→候補に選ばれた時に、担当裁判官の判断による

私は、辞退できる事由がなかったので、調査票を返送しませんでした。なお、名簿に載ったからといって、何かしなければならないことは、調査票の返送以外はないです。

裁判員候補者に選ばれる

先ほどお話した名簿から、裁判の度に裁判員候補者がまたまたくじで選出されます。選出されると、裁判所から「裁判員等選任手続期日のお知らせ(呼出状)」が送られてきます。呼び出しの日は、手紙が送られてきた日の1ヵ月以上先です。

なお、「呼出状」には呼び出される日と時間、場所、もし裁判員に選ばれた場合に、参加する予定の日が記載されています。私の場合は6日間でした。多少長め。3~4日が多いそうです。

候補者に選ばれると、またいくつかの書類を返送しなくてはなりません。

・質問状:名簿に記載された時に送られてきた調査票をより詳しくしたような内容。裁判の日時が決まっているので、それを元に辞退するかどうか問う。
・旅費等の振込先の届出:裁判員候補者として地方裁判所に行った時も交通費や宿泊費、日当が出るので、その振込先を記載する。
・お身体の不自由な方へ:手話通訳者や要約筆記者、点字翻訳、ガイドヘルパーの利用を希望するかどうか、地方裁判所に行った時のサポートの参考にする。

「質問状」の内容から、辞退が認められると、呼出を取り消す旨の通知が来ます。来ない場合は、「呼出状」記載の日時に、地方裁判所に行かないといけません。

私は、辞退する事由がなかったので、仕事を休んで、呼出日に地方裁判所に行きました。なお、正当な理由なく呼出しに応じないと、10万円以下の過料に処せられることがあるそうです。

裁判員等選任手続期日

裁判員候補者として、地方裁判所へ。私の場合は電車を乗り継いで。地方裁判所に行くのは、これが人生初。
集まったのは何人いたかな。数十人?

呼出状を元に受付して、流れの説明を受け、何人か個別に呼び出しを受けて質問されていたような気がします。この質問は、辞退の希望があるかどうか、公平な裁判をすることができないような特別な事情があるかを確認するものです。当日辞退が認められる人は、そのまま帰れたと思います。私はもちろん、辞退する事由がないので、椅子に座って待ちました。

その後、残った方の中から、またまたくじによって、裁判員と補充裁判員が選ばれます。受付時に渡された番号札で呼ばれたと思います。結果、私は補充裁判員に選ばれたわけです。

補充裁判員って?

補充裁判員は、裁判の途中で裁判員の人数が不足した場合に備えて選任されます。補充と名がついていますが、公判の途中から(つまり裁判員の人数が不足した時から)審理に立ち会っても、その前の部分が分からず、裁判員の代わりが務められず評決できなくなるので、裁判員と同様に全ての審理に立ち会います。裁判官から意見を求められることはありますが、評決には加われません。

裁判員は6人選任されるのが普通ですが、6人もいたっけ?4人だったような。補充裁判員は私を含めて2人だったのは確かです。
途中で、裁判員になることも、補充裁判員を解任されることもありませんでした。

なお、裁判員等に選ばれる確率は、この時点では、全国で1年あたり、全有権者の約8500人に一人程度(約0.01%)です。同僚には、交通事故に遭うより低い確率だと聞いたような気もします。

私はかなりの運を使い果たしました。

審理への立ち会い

法廷の隣に、裁判員の待合室としても使われる評議室があります。その評議室に審理日の決められた時刻に行かないとなりません。

私の場合は、先ほどお話した選任手続期日が月曜で、その翌日から審理が始まりました。火曜、水曜、金曜日、そして翌週の火曜、水曜、金曜日、計6日間です。時間は全て9時半始まり。

評議室には、ロッカーもありました。お昼は外に食べにも行けますが、時間があまりないので、私は全て仕出し弁当を注文してもらいました。当日朝に希望を出すと、お昼に評議室まで持って来てくれます。

補充裁判員に決まった後、会社に連絡を入れ、審理の日は全て休みにしてもらうようお願いをしました。一応、選任手続期日に裁判所に行く時点で、もし選ばれたらの話はしてあったので、スムーズでした。

私は地方裁判所まで、電車で行きましたが、人によっては遠方から車で来ている人もいたようです。多分宿泊者はいなかった。

私は他の裁判員の人と私的な話はしなかったし、帰りも一緒に帰るということもなかったので、それぞれの人が住んでいる所とか仕事とかも全く知らず。名前も覚えていないです。どこかで再会したとしても分からないんじゃないかと。

基本は、法廷と評議室の往復です。法廷は午前中だけとか、午後だけもあったかな。5~6時間は拘束されました。早く帰れる日はあまりなかった。
必要な書類は始めにファイルで渡されます。記入はしてもいいが、持ち帰りは不可。そして、最後にファイルごと回収されました。

法廷では、証人尋問、被告人質問、弁論手続きを聞いたり、証拠の映像・画像を見たりしました。見るに堪えない映像・画像は、表示される前に必ず忠告があります。最初は特定箇所にモザイクがかかっていて、予告後取り外されたりとかします。血や傷跡など見るのが苦手な人は辛いと思います。私も目を細めて凝視しないようにしましたし。

法廷内では、裁判官が座る席の後ろに、裁判員の方の席が並び、補充裁判員は、左右斜め後ろの一人席に座りました。

私は補充裁判員なので、法廷の右隅の席に座って、声を出すこともなく、じっとしています。裁判員の方は、直接質問したりとかもしてました。法廷に裁判官や裁判員の方が入ってくる扉があると思うのですが、その扉の先は評議室です。裁判員は評議室から出ることはほとんどありません。裁判官は、他のフロアで仕事をしているので、法廷がある時は事前に評議室に来ます。

法廷が終わった後は、評議室で、裁判官・裁判員の方で、法廷での内容を確認し、その後法廷がない場合は解散となります。

私は、補充裁判員をしている際に、別の事件の「呼出状」を受け取りました。その場で裁判官の方に申し出て、後日、選任手続期日に裁判所に来なくていいですよ。と通知を受けました。
補充裁判員に選ばれなかったら、そちらの事件で裁判員に選ばれていたかもしれませんね。

関わった事件について

私が関わった事件は、母親と内縁の夫が、しつけと表して子どもを虐待し、その結果死なせてしまったというもの。その内の夫側の裁判でした。
傷害致死罪と保護責任者遺棄致死罪を問うていたはずです。なお、ネット検索で当時の件探してみましたが、見つかりませんでした。当時は新聞の地方欄にも出ていました。

評議・判決

全ての審理が終わると、裁判官・裁判員が、評議室で評決を行います。以前書きました通り、私は補充裁判員だったので、評決に参加はできません。
評決結果を、判決として裁判長が法廷で述べて、終了となります。


その後、今まで裁判員候補者名簿に記載されることもなく、今に至っています。周りで裁判員になったという話も聞かないので、やはりまだまだ経験者は少ないのでしょう。なお、知識など無くても裁判員は十分務められます。経験する機会があって、私は良かったと思っています。皆様も機会があれば、臆せず経験してみていただくことをお勧めします。

説那せつな

あと4日。

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