見出し画像

好きな人からラブホのシャンプーの匂いがした。


仕事終わり。その日のシフトが早上がりで15時に退勤した僕は、明日の休みに向けてウキウキしていた。

17時から上司とご飯行く予定があるから、一旦家帰ってシャワー浴びるか。
そんなことを考えながら職場から徒歩5分の自宅に帰る途中、

「今日の夜って空いてる?もし空いてたらいつも遊んでる場所らへんで一緒に飲みたいなー」とメッセージが送られてきた。

相手は彼女だった。
彼女と僕はちょくちょくご飯に行ったり、飲みにいったりしている関係で友達だ。

だけど、僕は彼女のことが好きだ。

相手には好意があると伝えてない。
だが、あわよくば付き合えたらな。
と思っている。

「今日なんだけど、夜用事あってそれ終わり次第でよいなら!大体22時頃になるとおもいます。」
と送っておいた。
 
ふぅ………
今回は無しになるだろうな。

というのも、僕たちがいつも会うのは繁華街で、そこから彼女の家は遠く、終電も22時にはなくなってしまうからだ。

くそう!こんな時に上司とご飯なんて!
ただでさえ週休1日で遊べる日が少ないのに……

心の中で地団駄を踏んだ。

しかし、ほどなくして
「嬉しい!全然OKだよ〜」との返信が。

ん?この時間から大丈夫ってことは終電逃すの前提で会うってことだよね?

困惑しつつも、こうして自分は上司とご飯を食べてから彼女と会うことになった。

21時。上司との食事を予定より早く終えた僕は「用事早く終わったよ〜合流する?」とLINEをした。

「そうなの?他の予定あるから集合23時くらいでも大丈夫?」  

誰かとご飯でも食べてるのかな?
じゃあ、しょうがないか。

僕は。早く彼女に会いたいという気持ちを抑え、おっけーじゃあ23時と返信した。


23時、待ち合わせ時間まで時間を潰し、僕はウキウキしながら待ち合わせ場所で彼女を待つ。

すると、前からすらっとした長身に、お洒落な服装、黒のロングブーツを見に纏った女性が。

「今日は急な誘いにも関わらず、ありがとね!」
そう微笑む彼女はまるでモデルのようだ。

「こっ、こちらこそ!
連絡してくれてあっ、ありがとう!」
久しぶりに会った彼女に少し緊張する僕。

「そんな緊張しなくていいのに。どこ行こっか〜」

そんな僕の様子を知ってなのか、彼女はイタズラっぽく笑った。

くそう、かわいいすぎる……

いつから僕はこんなに拗らせた童貞みたいになってしまったんだろう。上手く話せない自分に辟易してくる。

「ご飯はもう食べたよね?軽く飲みに行く?」

街を歩いてるとお気に入りのチェーン店の餃子屋を発見。とりあえず提案してみる。

「餃子とかどう?」

「いいね!」

店に入り、とりあえず彼女に僕はさっきご飯食べてきたからとりあえず、自分が食べれるだけ頼んでとメニューを渡す。

「えーと餃子2人前とラーメンとサラダとハイボール!」

え?めっちゃ頼むじゃん。

「そんな1人で食べれるの?」

「余裕だよ。めっちゃお腹空いてるし。」

「もしかしてまだご飯食べてない?」

僕が驚きながら彼女に聞くと

「そうなんだよねー。実は朝ご飯以来、何も食べてない。

「そうなんだ、昼は何してたの?」

「昼は用事があってそれを済ましてたんだ。」

一体、何をしていたのだろう。気になり少し探りを入れてみると、ちょっとね〜。とはぐらかされてしまった。

ふと、彼女の髪からシャンプーの香りがするのに気づいた。

なるほどね……。

僕は大体の事を察して少し落ち込んだ。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?