「1カウント」【詩】

もし
ここから
今すぐに
消えてしまえたなら

名前も
国籍も
血、肉、骨
においさえ

この世に存在したという
あらゆる
痕跡を
すべて消し去り

スマホ操作のごとく
ワンクリックで
簡単に
なかったことに
してしまえたら

宇宙にも行ける
この時代
それぐらいのこと
できてしまうんじゃないか?

ふとそんな幻想を
抱いてみるけど

曲がりなりに生きてきた
経験が
不可能であることを
私にわからせる

たった1秒でも
この世に
存在してしまった以上
0に戻ることは
決してなく

1カウントがなされた時点で
すべてはもう手遅れとなる

もし
今すぐに
私という存在の
痕跡を
すべて
消し去って

はじめから
なにもなかったことのように
してしまえたなら

私にとって
それ以上
楽なことなど
他になく

1番の望みと言っても
過言ではない

だがしかし
今は未だ
この言葉を1つ
最後に・・
そっとつけ加えて

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