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<読書>スピノザの診察室

本屋大賞ノミネート作品のうち、4冊を既に読んでいましたが
スピノザの診察室は、手に取ろうと思わなかったタイトルでした。

今回、本屋大賞にかなりのめり込むことになり
他のノミネート作品も読もうと思いました。


手に取ろうと思わなかった理由

本を読もうと思うかどうかの基準の一つにタイトルがあります。
大哲学者スピノザを冠したタイトル、それも診察室ということは
医師である著者が、ご自分をスピノザ気取りなのかと思ったためでした。

スピノザはデカルト、ライプニッツと並ぶ17世紀の合理主義哲学者であり
その代表作「エチカ」はとても難しいので
スピノザの思想がベースにある本を読んでも理解できないだろうと
思っていました。

読んでみようと思った理由


昨年までは、本屋大賞ノミネート作品の中から数冊を読んでいましたが
今年は、ノミネートが発表された時点で4冊読んでいたので
今まで以上に関心を持ち、他のノミネート作品についても
いろいろな方の書評を見て、読んでみたいと思いました。

感想

とてもいい小説だったと思います。
小説はある意味、著者のエッセイ、思想を反映していると思います。
著者の考えを登場人物に語らせています。

政治家になりたいけれど・・・と迷う甥に
政治家が悪いことをするというイメージを持つのは日本だけだ
他国では、国の未来の為に働く崇高な仕事、そこを目指せと。

終末医療への考えも、医師である著者の考えが述べられてるのだろうと思えます。

タイトルにスピノザを冠した訳は
確かに、甥とスピノザのエチカについて話題にしています。

不遇な人生でありながら彼の著作からは悲壮感や絶望感がほとんど無く
理知的で静謐な空気が漂っており、難解で不可解な哲学者の著書から
ある時ふと自分の知りたいことに答えを与えてくれる一文に出会うことがある。

主人公は、エチカを繰り返し読みながら答えを探している、としたら
数多の哲学者からスピノザを師と仰ぎ、彼の言葉に導かれて
医療や人生の岐路を選んできたのでしょう。

スピノザのエチカについて学ぶ(YouTubeで手軽に)

難解だと手を出さなかったエチカについて
今更、読む知力も体力もないので、YouTubeで探してみました。

今は本当に便利な時代だなあと思います。
YouTubeやnetが無い時代なら、学びたいことは
書籍を繰り返し読むしかなかったけれど、今なら
しっかりと読み込んだ人がわかりやすく解説してくれています。

この方の解説がわかりやすく

https://youtu.be/LjozByyuSqA?si=vUjXhMimhaZzU-pT

難しいと言われている「エチカ」をスピノザ自身が
後の著作「国家論」で2ページほどにまとめているものを紹介しています。

小説のタイトルをスピノザにしたわけがやっとわかりました。
優しい想いに溢れたとても良い小説だったと思います。


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