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学校運営連絡協議会って? 

ほとんどの自治体の教育委員会は校則見直しの際に児童生徒のみならず保護者や地域の意見も取り入れることが望ましいとしています。
学校ごとに、年に3回以上の開催義務を課されている、校長、学校教職員、保護者、地域の代表などが集まって学校の諸課題について話し合う会議体、学校運営連絡協議会の存在をご存知でしょうか。 2000年代に入り学校運営協議会、いわゆるコミュニティースクール(以下CS)の導入が全国の学校で始まりましたが、同じ時期に東京都独自の類似制度として、この学校運営協議会の導入も開始されました。 
現在ほとんどの学校ではPTAという組織が設置されていますが、この組織は基本的には先生と保護者による任意団体であって、「子供達のためにみんなで協力してより良い学習環境を作りましょう」というのがおよその設置目的です。
他方この学校運営連絡協議会というのは自治体による行政事業です。 校則の見直しをしているという場合に必ずと言って良いほど出てくるのがこの連絡協議会であることから、この制度を使って学校が保護者や地域住民の意見を集約しているものと思われます。 
校長から推薦を受けたこの連絡協議会参加者はCS参加者のように学校に対しての権限などは付与されない為、若干影響力は薄いものの直接学校運営に助言、意見できる貴重な制度となっています。 
そのような重要な任務を負った会議体であるにも関わらず、例えばPTAなどのように誰が幹部役員なのか、何をしているのかなど基本的な情報すら、多くの場合学校HPにも掲載されていない為、おそらくほとんどの保護者はその存在すら知らないのではないでしょうか。

本来的な意味でこの協議会が機能していることが望ましいのですが、それを知る術が乏しく、残念ながら実態がやや不明瞭である為、一体その場ではどのくらい校則見直しが議題にされ、問題意識を持って話し合いがなされているかを知りたくて、区内中学校で行われた同協議会の議事録を区に情報開示請求しました。
後日、各校において議事録の作成義務はない為、資料としては不存在との連絡を区教育委員会指導課からもらいました。 今後も議事録を各校に作成させて会議の内容などを教育委員会として把握する予定もないとのことでしたので、一旦今回の開示請求はキャンセルとしました。 
この学校運営連絡協議会制度は台東区としては平成14年から実施されている行政計画事業で、毎年度その取り組みは行政評価の対象になっています。
下に掲載したものは区のHPでも閲覧可能ですが平成26年度から令和元年度まで(平成27年度は無し)の学校運営連絡協議会の事業評価シートです。 学校個別の内容は出ていませんが台東区として事業評価を公表しているものになります。 
これらを見比べて思ったのは、「これらの評価は誰が何を基にして評価したのだろうか?」ということでした。
上述の通り、区教委はこの連絡協議会の個別の内容は把握していない為、この制度が学校運営に効果的だったかどうかを評価するための材料を持ち合わせていません。
シートの一番下、評価の視点欄や総合評価欄を見ても各年度ほとんど同じ記述しか見られません。 区教委や各学校がこの連絡協議会の開催をもって校則見直しに向けた意見聴取ができた、話し合いができたとしていますが、実態がオープンにされていない以上、形だけのアリバイ作りに使われてはいないだろうか、との疑問はどうしても抱いてしまいます。
どうかこれをご覧になった皆さんはお子さんの通う学校の学校運営連絡協議会について学校に尋ねてみてください。



上述のように区教委から議事録不存在の連絡をいただきました。 最近頻繁に区教委へ校則などについて質問や問い合わせメールしたり、校則の見直し状況などを把握するために各校の校則を情報開示請求したりしていたので、先方もこちらがどのような考えで興味を持っているのかを知りたかったらしく、先の資料の不存在を伝えるついでにお考えをお聞きたいとの申し入れがあったので、こちらとしてもいい機会だと思い、結局50分ほど教育委員会指導課のUさんという方と直接電話で話ができました。
区内の校則見直し状況や問題点、遅々として進まない印象や、先に公開した各校の改訂ポイントにもあったように、改訂したとしても文言のみの変更に終始している学校もあり、上辺だけ書き換えたような変更で実質は何も変わっていないのではないかというようなことまで、話ができたのは良かったけれど、教育委員会としては各校の内面まで測ることは実際には難しく、校長会や生徒指導部会などでの話し合いや、提出してきた文書の文言などを通して進捗や考えを判断する以外にないとのことでした。 
隣の墨田区などでは区が独自の校則見直しガイドラインを作成し、それに沿った形で各校に見直しをさせているが、生徒指導提要や文科省からの通知と重なることから台東区としては独自のガイドライン作成はしないとのこと。 これは以前にも得ていた回答だったが、その立場は変わっていないようでした。
よく誤解されがちですが教育委員会は校長会や生活指導部会などを通して各校の取り組みに対して助言やアドバイスなどを行って区全体の方向付けは行っているものの、最終的な判断はあくまでも各学校であり、強制はできません。 それぞれ学校の置かれた地域の実情に配慮した形で、校則は最終的に学校長が決定しています。 しかしながらほとんどが数年で移動してしまう校長が、何か変革を起こそうとしてもそもそも時間が足りないし、前任の校長を否定するようなことをわざわざ行うモチベーションは通常起き難いため、安に現状を追認してしまうということが往々にして起きてしまいます。 積極的に改善してもらうためには何が必要なのだろうか? その時々の校長のキャラクターにもよりますが、もし何か行動を起こそうとしている校長が動きやすくする為にも、問題意識を持つ持たざるに関わらず広く情報共有し現状を認識する為にも、もっともっとオープンな議論の場、意見交換の場を仕組みとして作る必要性を区教委のUさんには強く要望しました。
近年開かれた学校づくりということで、学校は今までになくPTAや保護者アンケート、学校運営連絡協議会などを通じて多方面からの意見集約を試みてはいるものの、実際には真に多様な意見交換の場としては機能していません。 多くの場合、意見や情報は学校への一方通行で、そこで得られた意見や情報は広く保護者や地域で共有すべきなのが本来ですが、一部のPTA幹部や馴染みの町会長などから意見聴取したことをもって良しとしている向きもあり、残念ながら今般の校則見直しは半ば形骸化していると言わざるを得ないのが現状です。  
意見交換が大事なのは教育委員会としても否定はしないものの、これ以上新たな仕事を学校に求めるのは現状では難しいとの認識で、昨今特に問題になっている教員の働き方改革問題などの兼ね合いもあり、これ以上現場教員の仕事は増やせそうにない。 結局何か約束したり、今後に繋がるような話が聞けた訳では全くありませんでしたが、たとえ鬱陶しい保護者のガス抜き目的だったとしても、割としっかり話をしてくれた印象で、その点では良かったです。 しかしやはり何か具体的な次に繋がる「何か」が欲しかった。 これは長くかかる。 長くかかりすぎて、皆疲れて、結局ほとんど何も変わらないかもしれない。 おそらく今までもずっとずっとその繰り返しだったのではないのか。   

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