「2.5次元の誘惑(リリサ)」140話「私の願い」を読んだ:「愛という感情」と「関係性という現実」をどう兼ね合わせるか、「恋愛というイベント」と「人生というストーリー」をどう両立させるか

6月24日(土)晴れ

昨日はなんだかんだといろいろ考えることがあって疲れたので、中途半端になっていたnote・ブログの更新がちゃんとできなかった。

今朝はまだ緊張が残っていてあまりちゃんと寝られてないのだが、それでも時間だけは5時間くらいは寝て、4時過ぎに起きた。やることをいろいろ考えながら物事を片付け、入浴して出かけて隣町のスタンドにガソリンを入れに行ったのだが、値段が上がっていてこれは困るなと思ったり。コンビニでカフェオレとサラダと塩パンを買って仕事場に行き、梅雨寒に備えてポリタンクに灯油を入れて帰ってきた。

出かける前に「2.5次元の誘惑(リリサ)」140話「私の願い」が更新されていたので読んだのだが、正直最高に良いと思った。控えめに言って最高。

今「にごリリ」では連載4周年突破記念として「推しエピソード人気投票」というのをやっていて、毎日自分が好きな回に投票しているのだが、今日はこのほやほやの140話に投票しようと思ったのだが、まだ対象に入ってなかった。流石に気が早かったか。


「2.5次元の誘惑(リリサ)」はROM制作合宿編に入ってから、「究極のROMをどう作るか」という問題と並行して「奥村とカップルになるのは誰なのか」というテーマ、リリサと美花莉と奥村自身の思いの中身を引っ張って引っ張ってきて、それぞれの感情や閉ざされた奥村の心情の現実や秘められた想いなどが次々に掘り起こされ、「もう今までのままではいられないのでは」というとことんのところまで来て、ついにリリサと奥村が究極の選択を、というところになっていた。

結論としては「今まで通りの最高の漫研の人間関係=友情を続けたい」ということなのだけど、キャラたちが本当に「今を生きている」からこそ、こういう関係が「今は」何より大事、という結論に至れるのだと思った。

リリサは奥村を愛していて、でもそれは「今」「2人だけの」恋人関係になりたい気持ちとは違う。みんなとの関係を守りたい。それは確かにこう書いてみると、かなり「リリサのわがまま」と言えないことはないなと思った。特に、ガチで奥村のことを好きだとみんなが知っている美花莉の前で言っているわけだから。

でもそれを一歩踏み込んで発言できたのは、ユキに背中を押されて「自分の人生だから、自分の望みを言わなきゃって」思ったから、というのが素晴らしい。

奥村の方も、深い女性不信のトラウマから現実=三次元の女性に関心が向けられない、愛せないという心境の中から、漫研でのコスプレ活動の中で心が少しずつ開かれてきて、自分の中にも「愛」とか「好き」という感情がある、ということを自覚し始めてはいるが、まだ正直その感情とどう付き合ったらいいのかよくわかっていない。

これは奥村が国語の成績がいいという設定によってめちゃくちゃ説得力のある表現の使用が許されているよなといつも思うのだが、「今の自分は愛という感情に目覚めたばかりでそれを使いこなせていない」「だからその「愛」を「関係性」って現実に置き換えて考えるのがまだ難しい」という。

これは本当によくわかる。「愛という感情」「関係性という現実」それをどう兼ね合わせるかというのはつまり、「恋愛」というイベントと「人生」というストーリーをどう両立させるかというある意味究極の問題だろうと思う。恋愛が物語になりやすいのはその衝動によって急展開させやすいからだけど、現実の人生は急展開ばかりはしていられないわけで、だからこそリリサと奥村の選択にリアリティがあると思った。

ジャンププラスの感想を読んでいると、「結局現状維持」「どっちつかず」「馴れ合い」みたいな感想もあるし、当然ながら恋愛ものとしてこの作品を読んでいたらそういう感想ももちろん出てくるとは思うのだが、逆に「リリサの尊敬や信頼に満ちた愛」よりも「美花莉の本当の恋」よりも「漫研のコスプレ仲間の友情」が大事だ、となるのは馴れ合いというよりもつまりは「友情・努力・勝利」のジャンプの大・王道とも言えるわけで、2人の奥村に寄せる深い愛よりも、「今は」仲間たちとの楽しい充実した時間が大事だ、という結論のための序奏であり助走であったという構造が見えてきてすごいと思った。

そして2人の話を聞いていた美花莉は、心底ホッとする。気遣うまゆら様に対して「私にだって失いたくないものくらいあるんだから」とみんなを抱きしめる。

・・・・・・ここは本当に美花莉はいい子だな、と思うと同時に、美花莉の「糟糠の妻」感、「正妻」感もまた強まったなと思う。美花莉は小さい頃から奥村を愛しすぎて、氷が溶けた奥村の感情が自分に向けられることを強く望んではいるけれども、それよりも奥村の心が解放され、誰かを愛せるようになることの方が大事だとさえ思っている。だから奥村が「とにかく今の俺の望みはリリサと同じだ。今の漫研が最高で、皆のことが大好きで」と言った時、「先輩今さらっと「好き」って」と奥村のセリフに注目するわけである。「美花莉ルート」は死んでない、というか、自由奔放なリリサだけでなく、一途に奥村のことを大切に思い続け、みんなのことも大事に思う美花莉がいてこそ、この関係が成り立っているということがより明らかになったと思う。

言葉で書けばシンプルな話になるから「現状維持」「妥協」「馴れ合い」みたいな言葉が出てくることもわかるのだが、先に書いたようにキャラクターたちが本当の意味で「今を生きている」からこそそういう結論が最高だと言えるわけで、そう思わせるだけの迫真さが今までの展開にはあった。

「今を生きる」ことを忘れて先走らない、というのは忘れがちだけど大事なことだなと思う。ここまで引っ張って引っ張って、この結論に至るのは読んでいて涙が出た。

美花莉の「支え」も大事だけど、リリサのコスプレと仲間たちへの強い思いが、今までのリリサの限界を超えて自分の思いを言語化することができた(これもある意味でのプルス・ウルトラだ)わけだし、そうできたのはコスプレする時に「キャラの「気持ち」を考えて成り切る」リリサだからこそ、「自分自身の「本当の気持ち」に到達することができたと言えるのだろうなと思う。

恋愛絡みの話はここでひとまずケリがついたわけだけど、最後にリリサが「エリカさんの話とユキさんの話、それから私たちの話、私の中で一つ繋がったことがあるんです。究極のROMの答えー」と言い、「恋愛と友情の両立」という一つのテーマとともに「ものを作るということ」というもう一つのテーマが展開していく。柱のアオリを見ると、「譲ることのできぬ自らの切なる願いーそして見出された「答え」とは・・!?」とあり、今回の「願い」と「答え」とが有機的に関連していることが示唆されている。これについてはいろいろ考えているのだが、どういう結論なのかまだわからない。

私はずっと究極のROMを作るためには天使空挺隊が揃う必要があるんじゃないか、とは思っているのだけど、でもこれはプロのモデルである美花莉が同人のROMに出る、という問題が出てくるから、これは難しいのかなと思っていて、でも今回の結論を見るとそういう方向性しかないのかなと思うところもある。ただ簡単にそう言って実現すると流石にどうかなという気はするので、そこをどういうふうにクリアしてくるのかな、というふうに思っておけばいいのかなという気もする。多分ののぴがノキエルになっているのはそういう伏線なんじゃないかとは思うのだけど、まあ先は分からないのでタブララサの状態で楽しみにしたいと思う。

140話、控えめに言って最高でした。

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kous37
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