J・D・ヴァンスについて(続き)

7月17日(水)梅雨空一時晴れ

昨日は午前中支払いに行ったり買い物をしたりした以外はあまり外に出なかったが、雨が強まったり弱まったり、止んだりまた降ったりしていた。その時その時でその時やろうと思ったことをやっていると、何をやったのか後であまり思い出せないことになるなと思う。午後は仕事の前にホームセンターに行って整理用の紙製ボックスを買ってきたが、どんどんボックスだけが増えて行く感じがあり、なかなか思い通りに整理するのは難しい。整理しようとした時にボックスやファイルがないと、結局そのままになってしまうことが多く、整理が中途半端になって後で余計わからなくなったりする。

アメリカ大統領選、共和党副大統領候補に選ばれたJ・D・ヴァンスに注目しているのだが、今回は思ったより彼に対する報道も多いしツイートも多い。言われていることは2点あって、いわば底辺=貧困白人層(彼の表現によればヒルビリー)から脱出してここに至った異色の経歴、そしてそれについて買いた著作、「ヒルビリー・エレジー」の著者であること、当初はトランプを強く否定していた人物であったこと、そしてそれを180度姿勢を転換させてトランプの支援を受けてオハイオ州から連邦上院議員に当選し、今では最も主張が近い政治家とされていること、そして39歳という若さ、というあたり、さまざま日本でも注目される要素があるということだろう。

彼の政治信条はパレオコンサバティブ、古典的保守主義者(介入主義を取るネオコンとは違う)とされているが、彼らが普通は否定するイスラエルに対しては熱心な擁護者であり、ウクライナ戦争に対してはバイデン政権に批判的だが、それは東アジアに備えるため、という理路を主張している。

しかしそれ以外にも、奥さんがインド系(南インドからの移民の娘でイェール大学で知り合い、現在は弁護士)であるとか、本人はスコットランド系アイルランド人の家系だという。スコットランド系アイルランド人は現在もイギリス領の北部アルスター地方の出身で、南部アイルランド共和国のアイルランド人と違い、プロテスタントである。彼もプロテスタントの信仰を持っていたようだが、近年カトリックに改宗している。奥さんはヒンドゥー教徒とされていて、異宗派間結婚であったわけである。これらをみても彼はそんなに簡単にカテゴライズできる人間ではないと思うのだが、政治報道の常として何らかの枠組みに彼を押し込めようとしているのだけど、そこからはみ出すものが絶対にある政治家だろうと思う。

もちろんトランプ政権が復活したらその副大統領としてトランプをサポートする方向でやろうとするだろうし、単純に言って彼はかなり有能ではあるようだ。ただ今まで彼のラストベルトのプアホワイトを再生させるNGOなどの試みはうまく行ってないようであるのだが、政権に入ればやりたいことはいろいろとあるだろうと思う。

こういう貧困層の立て直しというとリンドン・ジョンソンの「偉大な社会」政策を思い出すわけだが、彼の黒人スラムを再生させる試みは、彼らをスラムから追い出して建造した高層アパートが「横のスラムを縦にした」と批判されたように、そんなに簡単にはうまくは行っていない。ただ、この政策の恩恵を受けて貧困を脱出した黒人も多いと思われるので、その辺の記録なども読めるといいなとは思った。

貧困な黒人の問題は、差別問題が一つのポイントになるわけだけど、貧困な白人の問題は彼らの自意識や社会からの批判、あるいは「見捨てられ方」に問題があるわけで、その辺りは黒人に比べてもこじれている部分がある。その辺りを描いたのが「ヒルビリー・エレジー」だと思うので、とりあえずこの本を読んでからまたヴァンスについては考えてみたいと思う。著書はその人間の人間性を本質を反映している部分があるだろう。今見えているのとはまた別の側面が、そこには見えるように思う。まだ第1章を読み終えたところである。

ヴァンスが注目されてありがたいことの一つは、「トランプ前大統領に副大統領候補として指名された」という枕詞をつけないで済むことである。特にnoteやSNSでは枕詞が長いと本質を簡潔に表示しにくい。彼の存在は合衆国の将来と世界の将来にも関わってくると多くの人たちが考えているという点では、私も見解を同じくしている。


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