グレイトフル・デッドが似合う陽気
夏至が過ぎ去り、昼の時間が短くなる一日目。梅雨のあいだの貴重な晴れ間。本気の夏を先取りするかのような暑さ、焦げつくような日の強さ、まだ控えめ気味の湿気。風が吹き抜ければ、その涼しさは心地よく清々しい。
そんな陽気のなかで海沿いの田舎道を延々と車で走る。横目に見える青々とした海。水平線は目の高さより上。並走する鉄道の電線と同じ高さ。前方を気にしつつ、「たけぇ、たけぇ」と横目でチラチラ水平線を見る。運転席の窓を全開にして海からやってくる風を受ける。車の速度と比例するように強弱つけた風が車内へと入ってくる。激しく乱される髪。たまに片手で前髪を抑える。それでもいったん手を離せば髪はまたまた激しく乱れる。抑えては乱れ、抑えては乱れの繰り返し。
1時間ほどずっと道なりで進むその道路は「のどか」以外のなにものでもない。見渡す限り広がった路地栽培の畑、少ない民家が立ち並ぶ集落、時折やってくる小さな川、そしてまた広がる畑。そして集落、川、小さなJRの駅。そんな光景が繰り返し現れる。たまに現れる車は軽トラや大型トラックばかり。喧騒もなく延々と自分の車の走る音、風を切っていく音しか聞こえない。
あたりはひたすらグリーンかブルーの景色。仕事で遠出とはいえ気分は休日のドライブのようだ。チルしながら目的地へ向かっているようなもの。
この緩さ、この時間がゆったりと流れていく感じ。そして夏前のこの暑さと吹き抜けていく風。これはもうグレイトフル・デッドの登場でしょう。ゆったりと流れるバンドサウンドがたまらない。最高に雰囲気にマッチする。外の音に負けじと音量を上げる。
取材仕事も気分よく終えることができた。遅めのお昼ごはんをいただきに、丘の上にあるベーカリーへ行く。車が坂を登っていくにつれ、眼下には広大な海が姿を見せる。油断しそうになる運転。そんな魔力を持つ自然。
ベーカリーから見える町と海と山。そのバランスの良さときたら。遠くに見える高速道路。太陽に反射して光る車。その動きがよくわかる。高い位置からいろんなものを見下ろす。眺める。鳥瞰ってこんな感じなんだろか。
終始ゆったりとした空気が漂っていた今日。もちろん帰りの車内もグレイトフル・デッド。やっぱり、その時々のシーンに合う音楽というものはあるもんだ。
グレイトフル・デッド、やっぱいいな。
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