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ほとんど「知ったかぶり」で生きているのかもしれない(宮崎の片隅のランニング日記 10)

第10回 11.04km Running(2022/03/13)

気持ちのいい週末だった。日中、日の当たる場所は暖かいを通り越してもはや暑かったが、それでも吹き抜ける風は涼しく、コンクリートで覆われた建物の内部はひんやりとしていて気持ち良かった。

久しぶりに真昼間に走った。
どうも頭がゴチャゴチャしてしょうがない。天気もいいし、気持ちのいい陽気だ。自宅から走りはじめるのでなく、どうせなら遠くへ行きたい。そこで車を走らせて、古巣の青島へ行く。

やはりと言うべきか、週末の青島は老若男女問わず人が多かった。半袖でもいい陽気だし、春だし、まん防も開けたしで、みんな海を感じに来たのだろう。僕だってそんなうちの一人だ。久しぶりに観光地らしい青島の姿を見た。

宮崎へ帰ってきてから何度も何年も青島をランニングしてきた。だからか、実家を出てまだ2ヶ月経たないというのに青島ランをしたい欲がウズウズしていた。あんなに走りやすい土地はない、とくに海沿いは。青島を起点にして北へ走れば宮崎県の総合運動公園へ行くこともできるし、南へ行けば人がほとんど通ることのない道を経て内海へ行くこともできる。人通りも車通りも少なく、信号もほとんどない場所だからランニングしやすい。そして、走れば走った分だけ違う景色を楽しむことができるから、緩く走るときもガチで走るときも、ふと目にした自然の壮大な光景に心がはずむ。それがリラックスになることもあるし、「まだまだイケる!」と励みになることもある。

そんな恋しい青島。とはいえまだまだ未開拓な道も多い。車をJR青島駅に置いたあと、住宅街を抜けて走ったことのない道を進む。

前から気になっていたバイパスを走ってみる。歩道はあるけれど人が歩いているところなんて見たことがない。車が高速で走り抜けていく横を、こちらは自分の足で駆けていく(日記をつけるようになって気づいたけれど、僕こういう場所走るのが好きよね)。バイパスの周りは森。高台から下を覗くと、普段車を走らせているときには気づかない光景がたくさんあった。山道や池や畑に家。何度となく通っている場所でも、知らないことは多い。僕らはほとんど知ったかで生きているのかもしれないと思えるほどだ。

そんな道中でおもしろい出会いがあった。っていうかこんなところで遭遇するなんて。

僕がいるバイパスの歩道のすぐそばに、お猿さんの一群がいるではないか。顔とお尻が真っ赤っか。体の大きいボスらしき猿を筆頭に、幼い猿も含めて10匹はそこにいた。ビビるよりも物珍しさに見入ってしまった。何かを頬張っていた彼らは僕を見るなり、一目散に逃げていった。距離の取れたところで僕の様子をじっと見ていた。そっか、人間の生活圏とはいえ、ビュンビュン車が走っているだけで生身の人間は一人としていない。むしろ彼らにとっては安全な場所なのか、ここは。

バイパスの合流地点が見えてきて「え、歩道サイドはどこに行けばいいの?」と思っているところで隠れトンネルのような場所が現れる。薄暗いそこを通ると案の定スプレーアートの姿が。こういうの直感で描いているのかなあ。出来がすごいよなあと毎回感心している。

そこを通り抜けると一面はまた海へ。そのまま総合運動公園をぐるぐると周り、海沿いの道を抜けて青島へ戻ってくる。信号といっさい出会うことなくストレスフリー。そよ風が気持ち良過ぎてストレスフリー。

子どもの国から青島のビーチまでの一本道にはランニングやウォーキングをしている人がたくさんいた。そして海を見に訪れている人たちも。あ、そういえば学生服姿の子たちも見た。そっか、そういう季節か。

もう春だなあって感じだった。もう1ヶ月も経てば宮崎は常夏になっていく。あっという間に大きく季節は変化していってる。ビーチパークのお隣ではビーチビレッジの準備が着々と進んでいた。4月末にオープンするんだっけ。季節だけじゃなくて、まちの姿だって変わってきている。

しっかり汗をかいたランだった。周りが涼しそうにしているなかを自分だけ汗だく。ラン中ほとんど曇りだったとはいえ、しっかりと日焼けしていた。さすが宮崎の紫外線。日焼け止め、買わなきゃなあ。

事前にパンカフェaoで買っておいたパンや焼き菓子を瞬殺し、水筒に入れてきた水を一気に飲み干す。もう、夏は目の前だ at MIYAZAKI。

鯨型の雲が漂っていた



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