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「好きなこと」と、「好きということにしていること」の話

初対面の人と会話するとき、会話を弾ませるための話題として、自分の「好きなこと」をあげることが多い。
例えば私は漫画が好きなので、自分の好きな漫画を好きだと言っている人と出会うと嬉しいし、好きなことを聞いた時に「漫画」と返ってくると「あ、仲良くなれそう」と思う。
当然ながら、「好きなこと」が共通しているほど、その人との親密度は上がっていくし、話も盛り上がるのだ。

それは逆も然りで、全くもって相手と「好きなこと」が合わないと、その後の人間関係の構築も難しくなる。
それゆえに私は、自分が大して好きでもない事柄についても、話を合わせるためにしばしば「好きということにしておく」ことがある。

例えばお酒。私はお酒自体嫌いなわけではないが、飲まなくてもいい場であれば別に飲まなくていいと思っているし、1人でいる時や家にいる時はほぼお酒を飲むことはない。
だが、飲み会という場ではお酒が好きということにしておいた方がその場が盛り上がるし、何よりそういう飲み会で楽しく盛り上がれる人はお酒が好きな人が多いので、好きと言っておいて損はない。
「お酒飲むの好きなんですよ〜!」と言っていれば、また飲み会に誘ってもらえたり、そこから新しい人間関係が広がったり、と結構今後プラスになる気がする。
そこで正直に「お酒はそんなに飲むの好きでも嫌いでもないですね…」というよりも、お酒が好きだということにしておいた方が、あらゆる面でうまく作用するように感じる。

お酒に限らず、出会う人ごとにそれぞれの「好きなこと」があり、その好きなことについてある程度自分も知っていればそこから話を盛り上げて仲良くなることができる。
人それぞれに好きなことがあるがゆえに、誰かと好きなことの話をするたびに、自分の中の「好きということにしていること」はどんどん増えていく。

「好きなこと」も「好きということにしていること」も、会話を盛り上げるための着火剤のような役割を果たす。
「好きなこと」の方が自分の熱量も高いのでより純度も高くて燃えやすい良い着火剤だが、世の中自分の好きなことばかりではない。
それでも火をつける必要があるから、純度が低くて安い着火剤である「好きということにしていること」を使うしかないのだ。

もちろん「好きということにしていること」の中にも自分の中でランクはあって、そんなに強く好きなわけではないけどちょっと興味はあることもあれば、本当に興味はないけど話題は提供できるかなくらいのこともある。
自分は大して好きではなかったけど、好きということにして話してみると意外と面白くて、そこから「好きなこと」になるようなケースもある。
それはそれでいいが、世の中そう甘くはなく、本当に興味はないけど話を盛り上げるために仕方なく好きにしていることの方が大半である…。

本当はもっとうまく人間関係を構築することができる方法があるのだと思うが、自分の知識を活かして「好きということ」にしてしまった方が手っ取り早く相手との会話を盛り上げられてしまう気がする。
「好きということにしていること」が多いほど、「雑談力」の高さにつながっているのではないかなと思う。(もちろんそれは雑談力の1要素にすぎないが。)

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