ライターだけを続けるか、他の仕事もするか迷ったとき
私がライターになったのは、
「自宅から出歩けなくてもできる仕事」
「介護や通院のための時間を確保できる仕事」
であることが大きかったです。
ただ、そのような仕事はライター以外にもあります。もしも私にイラストの心得があったらその方面の仕事をしていたかもしれないし、写真やウェブデザインなどの技術があれば、その仕事についてたかもしれません。
とはいえ、ライターになったからには
・引き受けた仕事は必ずする、言い換えればできない仕事は引き受けない
・自宅でも習得できる知識はあるので、仕事のために役立つ知識は積極的に取り入れる
・どんな経験も執筆に活かせるときがくるので、前向きに受け止める
この3つを心がけてきました。執筆以外の仕事を単発で頼まれたときは「こういう経験をしておけば、何かの機会に執筆に活かせるだろう」という発想で、引き受けていました。
執筆以外にも仕事を始めた理由
メインの仕事は執筆という状態を10年続けたころから
「いったん、自分の進みたい方向を整理しよう」
という思いが強くなりました。
理由の1つは、信頼してきた取引先から支払いがなく、問合せても「まともに相手にされていない」と感じることが何度もあり、取引先との関係が崩壊する危機に陥ったこと。結論としては取引先担当者の思い違いが判明し、丁重に謝罪もいただいたのですが、結論が出るまでの精神的な疲労がすさまじかったです。
今思えば、私も大げさに物事を受け止め過ぎていたのですが、当時は「ライターとして仕事を続けても、また同じことになるんじゃないか」という観念ができ上って、新規の取引先を開拓する元気が出なかったです。
理由の2つめは「ライターになる方法をレクチャーしてほしい」「ウェブサイトの改善に力を貸してほしい」という打診をいただいたことです。このようなご相談があっても、1つめに書いた理由がなければ、単発のご相談に乗るだけにとどめていたでしょう。
でも、執筆の仕事以外に自分が必要とされる場があることが嬉しく、いつになく熱心にご相談に乗るようになりました。すると、継続してのご依頼が来るようになりました。
様々なご相談を受けるのはいいのですが、「目の前の問題に対処する」「対処が済んだら反省することなく次へ向かう」ことばかりを繰り返すと、疲労がたまってしまいます。
どこかで「こういう仕事をしていこう」と、方向性を決めたほうがいいなと、感じ始めました。
「今はどの時期か?」を意識して
色々な仕事を経験して、その中から自分に合った仕事、成果が出やすく人に喜んでもらえる仕事を見つけるのは、大事なことです。そのため「色々な仕事に挑戦する時期」があってもいいと私は思います。
また「自分のやりたいことが見つからない」と感じるとき、その心の奥に「失敗したらかっこわるいから動きたくない」「何かに決めることで、他の可能性を失いたくない」のような気持ちが潜んでいることも。
人生経験は、成功か失敗かの2つに1つというはかり方ができるものばかりではないし、失敗したとしてもやり直しがきく場合も多いです。
とりあえず動き出し、いろいろなことに挑戦してみる時期。
経験の中から「自分に合う仕事、人に喜んでもらえる仕事」を選ぶ時期。
1つの道に決めて、迷いなく進んでいく時期。
「今はどの時期か?」を意識して、その時期に合わせた生き方をすればいいと私は思います。
ライターだった私が選んだ道
私は「ライターを続けながら、セミナー講師やコンサルタントとして他の人の相談に乗る」というスタイルをしばらく続けました。収入源を確保しながら「人に何かを教える、人の悩みを解決する」ことの勉強を積んだのです。
その上で「執筆の仕事が9割、その他の仕事1割」という状態から「執筆5割、コンサルティング3割、講師1割、その他1割」という状態へシフトしていきました。
執筆の仕事は、ある程度の時間と労力を割かねばならず、体力勝負・時間の切り売りという側面が、どうしてもあります。でも、コンサルティングやセミナー講師の仕事は、短時間で利益を上げる方法もあります。やがて高齢になり、体力や気力が下がってくる時期も見据えて、仕事のやり方を考えていくことが大切です。
たとえライターとしての実績が長くても、他の仕事を始める場合、新しい世界では新参者です。ライターとしてはうまくいったビジネスモデルや集客・広告の方法が役立たないこともあり得ます。「自分にはできるはずだ」という思い込みを時には捨てて、1つ1つ学んでいきましょう。
河野陽炎の本とコンサルティング
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