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【海事代理士試験】先取特権の読み方が分からなかった素人が参考書を利用せずに合格した方法

毎年9月下旬に行われる海事代理士試験・筆記試験のことが気になる方へ、法律の勉強をしたことがなく、先取特権の読み方すら分からなかった素人が参考書を利用せずに試験合格した方法を紹介します。


試験範囲を必ず確認する

筆記試験の範囲は時代に応じて少しずつ変化します。必ず国土交通省の「海事代理士になるには?」ページを確認しましょう。新しく対象となる法令について、参考となる出題例が公開される場合もあります。

入手できる過去問題をすべてプリントアウトする

2023年7月20日に確認したところ、平成28年から令和4年までの過去問題が公開されています。筆記試験対策においても、口述試験の出題内容は参考になるので、まとめてプリントアウトしておきましょう。

できれば問題と解答は別のファイルに綴じておきます。こうすると、問題を解きながら解答を確認するのが楽になります。

e-Govポータルの条文検索で試験範囲の条文をプリントアウトする

ご自身で必要と思う範囲だけをプリントアウトするのでもかまいません。また、必要なときにその都度、条文を確認するという方法でもいいのかもしれません。ただ、私のような素人には「条文のどこが勉強に必要で、どこが必要でないか」を判断する力がありません。判断に時間をかけるより、多くの範囲をプリントアウトすることにしました。

2年前と3年前の過去問を解いてみる

もし自分が試験問題を作成する立場だったら、昨年の出題内容を今年も出題することは、たぶん考えないでしょう。そのため、2年前と3年前の過去問を解いて「自分がどのくらいできないのか」を確かめました。

2回分の過去問を解くと「どの分野が理解できそうか?」「さっぱりわからないのはどの分野か?」がはっきりします。まずは「理解できそうな分野」から勉強を進めます。

問題を解くために必要な知識をノートに書きだす

持ち歩きやすいサイズのノートを100均で用意します。そして、過去問1問ずつについて「この問題に正解するためには、どのような知識が必要か」を考え、ノートに書きだしていきます。自分さえ理解でればよいので、自分にとって分かりやすい書き方、改行の仕方、空白の取り方でかまいません。

なお、国土交通省のページで公開されている過去問と解答は、旧い法令に基づいている場合があるので、必ず最新の法令について確認しましょう。

この作業を、過去問をどんどん解きながら進めていきます。

用語の理解を深める機会を作る

分かりにくい用語は、国土交通省、運輸局、日本海事広報協会、造船会社、海運会社などのWEBサイトで分かりやすく解説されていることがあるため、検索して理解しました。

例:トン数

船員の方や海運会社のTwitterアカウントをフォローし、船員の方の生活について知ることが、船員法、船員職業安定法、船舶職員及び小型船舶操縦者法などの勉強に役立ちました。

実際にフェリーに乗ったり、港湾エリアに出かけて貨物船や旅客船を見たり、遊覧船に乗ったりすることも、船舶法や海上運送法、港湾運送事業法、内航海運業法、港則法の理解につながります。たとえば「船舶に標示すべき事項」について、実際に船を見ることでイメージが湧きやすくなるでしょう。

得点が伸びない分野への対策を考える

海事代理試験の合格基準は次の通りです。

筆記試験の合格基準は 20 科目の総得点 240 点の 60 パーセント以上の得点 をあげた者としており、全科目受験者の平均正答率が 60 パーセントを上回 る場合には、平均正答率以上の得点をあげた者を合格とすることとしており ます。

https://www.mlit.go.jp/about/content/001579534.pdf

総得点のみが合否に影響するため、うまく得点できない科目があっても、ほかの科目でカバーできれば合格の可能性があります。

どうしても得点が伸びない科目がある場合、次のような対策が考えられます。

1.その科目は捨てる
2.低い得点であっても、一定レベルの得点はできるようにして、あとは諦める
3.苦手意識を克服できるように頑張り得点を伸ばす

私は次のように分類をしました。

1.捨てようと決めた科目
領海等における外国船舶の航行に関する法律、船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律及びこれらの法律に基づく命令

理由:私が受験したとき、上記科目が出題範囲に含まれるようになってまだ日が浅かったので、過去問の量が少なく対策の打ちようがなかったから

2.低い得点であっても、一定レベルの得点はできるようにして、あとは諦めると決めた科目
憲法、民法、商法

理由:法律の勉強が初めての人間には、出題範囲が広すぎて何から手をつけていいか分からないから。一方で、過去問を分析すると出題されやすい内容に一定の傾向があることが分かり、過去問で出題された範囲は答えられるようにできたから

3.苦手意識を克服できるように頑張り得点を伸ばそうと決めた科目
国土交通省設置法、船舶職員及び小型船舶操縦者法

理由:覚えることがたくさんあって大変ではあるが、出題内容に一定のパターンがあり得点を伸ばしやすいと分かったから。また船舶職員及び小型船舶操縦者法は配点が高いから

週に1度は模擬試験のつもりで過去問1年分を時間を計って解く

説明の必要はないでしょう。

素読に近い要領で条文を声に出して読む

条文をそのまま記憶しても、試験の得点が劇的に伸びることはありません。それでも、少しでも条文に親しみを感じられるよう、意味がわからない文章でもどんどん声に出して読んでみました。意味が分からないなりに、条文の持つリズム感を味わうことができ、繰り返し登場する単語はなんとなく覚えやすくなったように思います。また、声を出して読むことは、口述試験の練習としても役に立ちます。

がっつり「勉強」というイメージで取り組むのではなく、あくまでも時間があるとき、頭の疲れを癒すつもりで読んでいました。

【重要】8月には必ず出願する

当たり前のことですが、出願しないと受験できません。出願できる期間が1か月と長めなので、つい先延ばしにしたくなりますが、忘れずに必ず絶対に出願しましょう。

口述試験対策で重要なことは「即答」「声だし」

口述試験は筆記試験に比べて出題範囲が狭く、過去問に基づいた対策を打ちやすいことが特徴です。

口述試験は、試験室で受験者を待つ面接官がどんどん繰り出す質問に、受験生が口頭で解答する方法で行われます。

口述試験の具体的な流れ

受験者は、筆記試験に合格した旨の通知が自宅に届く段階で、何時何分から口述試験が行われるが指示されます。

指定の時間前になると、受験者は4人1組で廊下で待機します。

試験室には4名の面接官が、それぞれ大きな机の前に座っています。机の前には「船舶法」、「船舶安全法」、「船員法」、「船舶職員及び小型船舶操縦者法」のいずれかの紙が貼られています。受験者は入室したらどの机の前に座るかを指示されるため、指示された机に座ります。

全員が着席すると試験開始の合図があります。所定の時間内に、面接官が繰り出す質問に、どんどん答える必要があります。答えを考えることができる時間はわずかなので、問われたことに即答できることが大切です。また、面接官に聞こえる声ではっきり答えることも大切です。

所定の時間が経過すると、受験者は4名とも立ち上がり、隣の面接官と机の前に移動します。別の科目の紙が貼られた机に移動することになります。全員が着席すると、試験開始の合図があり、面接官の質問に答えます。

この流れを4人の面接官全員の試験を受け終わるまで繰り返します。

以上のことから、口述試験の対策としては「問われたら即答できるようにする」「はっきりした聞こえやすい声を10分以上出し続ける練習をする」ことが重要です。

面接官は味方

口述試験を担当する面接官は、受験者に何とか答えさせよう、答えを引き出そうとしてくれます。受験者の答えが不完全だったときは、足りない部分を補えるような問い方をしてくれる人もいます。また、受験者が答えられずに時間が経ってしまいそうなときは「次の問題へ行ってみましょう」と促してくれます。

決してあら捜しをしたり、受験者を不合格にするための試験を行う人ではありません。

おわりに

法律関係の勉強が初めてだった私には、分からないことだらけの試験でしたが、毎日1つ1つ、解ける問題と新しい知識が増えていくうちに、勉強するのが楽しくて仕方なくなりました。仕事の息抜きが勉強、ヨットの疲れを癒すのが勉強、プライベートで嫌なことがあったら忘れるために勉強、という日々にだんだんと変わっていったのです。
1時間、2時間とまとまった時間を確保して机に向かう時間が取れないこともありました。でも、仕事の合間に5~10分くらいかけて1つの問題を解き、必要な知識をノートに書きだすことの積み重ねでも、やがて成果につながっていきました。
皆様も無理せず1つ1つ知識を積み重ねて、ぜひ合格を勝ち取ってください。

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