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広告振り返り:~4月総括編~


・4月の広告のあらすじ

・総計179タイトルが目新しい広告をリリース

 2023年4月は年度始めという事もあってか、総勢179タイトルにも及ぶ新作広告が立ち並ぶ広告大戦争の様相を呈していた。この179タイトルは自分が見ていて気になったタイトルの数なので本当はもっとたくさんあるのは確かなんだけども、それにしたってここまで気合の入った広告が並ぶ月は中々無い。
 特にライト級に関しては88タイトルもあり、さすがに各企業一番のかき入れ時に気合の入ったコラボ、映像、アイデアをぶつけてきたなあという印象です。逆にマスター級の古参勢は最強でんでんで35本以上の広告、モリノファンタジーで23本以上の広告をリリースしており、広告の質、量的にこれほど充実していた月は中々無いと思われる。
 やはり日本でも明確にコロナ禍明け感がある初の年度始めという事で、相当に気合を入れて広告を打っていたのではないだろうか。

・ショッピング広告の本格的登場

 これまではYoutubeでやせ薬の広告を見るくらいだったショッピング広告ジャンルが4月からにわかに増え始めた事は注目すべきポイントであると言える。電気シェーバー広告で話題を集めたnonnotooを筆頭に、Tiktok、Twitter、Youtubeでも怪しげなショッピング広告が増加した。
 怪しげな日本語、怪しげな商品、怪しげで安っぽい映像……こんな広告を見て商品を購入しようという人間はYoutuberか変な広告に惹かれる物書きくらいだと思われるが、もし買いたくなった場合は普通にお近くの電気屋で電気シェーバーを購入する事をお勧めします。
 相変わらずAmazonでも怪しげな商品が多すぎるので、実店舗に足を運ぶメリットが大きくなってきたなあと思います。人間なら徒歩でビックカメラに行って現金払いでカミソリを買え!

・Youtube広告の複垢投稿が表層化

 自分が2023年4月に知っただけかもしれないけども、Youtube広告では複数の異なるアカウントから似たような広告を投稿して広告のエンカウント率を増やす、ブロックや通報をされても生き残るようにするような施策が行われ始めているように思う。
 元から異なるアカウントで似たような広告を出している例はあったが、それにしてもメンズクリアは確認出来る範囲で5アカウントから似たような広告を投稿していたし、借金減額診断も動画リンク取得可能な広告と取得不可能な広告を混ぜて投稿している時点で複数アカウントから似たような広告を複数投稿している事は明らかである。
 先述したショッピング広告も似たような商品を多数のアカウントから投稿しているのは、やはりブロックや通報されてなお告知出来る、あるいは複数アカウントで投稿するとエンカウント率を上げられるかもしれないというメリットがデメリットを上回っているのだろう。広告ブロックや通報される事も見越して多数のアカウントから同じような広告を出すのは一定の合理性がある。プラットフォームとしては複数アカウントで複数広告費を払ってくれる分には別に悪い話では無いだろうし、そうそう規制もされなさそう。
 現状広告に使用するアカウントに関するルールも明文化されていないだろうし、複垢戦法を取るなら今のうちである。個人的にはやめてほしいですけどね。

・マッチングアプリ広告の隆盛

 4月という始まりの季節に出会いを求めるだろうという需要を見越してか、マッチングアプリの広告もやたら多かった。
 AI美女を活用しているオタ恋、AI二次元イラストの出来では一日の長があるオーネット、アイデア勝負と面白イラストのセンスが光るPairs、○○好きで~のキーワードでバラエティ勝負するタップル。以上四名はマッチング広告四天王と呼称しても良いだけの安定感がある。
 とはいえ四天王を追いかけるOmiai、With、ゴージャスなどもそれぞれ個性を前面に出した広告をリリースしており、4月、1月などの節目の時期ではマッチングアプリの広告をチェックするのが旬な広告の楽しみ方であると言えるだろう。
 これらの広告はAIの活用が進んでいるジャンルであるが、人と人が出会うビジネスである都合上生身のモデルを採用している広告も「実在の人間がいる可能性が高いかもしれない」という事を暗に提示できる点であながちAIに代替することが正解に見えないのも興味深い点。生成AIが話題になっている今こそAIイラストを活用した広告は話題を集めやすいメリットがあるが、生成AIが一般化した後もAIモデルを広告に活用し続けるのかは注目すべきポイントだ。メタが回った後はAI不使用証明をしているような広告に需要が出てくる可能性まである。

・ルーキー級の注目タイトル

・アース:リバイバル

 4月に勢いのあった広告としてはアース:リバイバル。確認、取り上げた範囲では25作もの広告があったけども、通し番号を見るに100種以上の広告がある、あるいは準備されている可能性があります。過去最大の物量!
 芸能人を起用した広告、呂布カルマを起用したMV、渋谷駅ハチ公口前に掲示された巨大広告など、リアル広告からデジタル広告まで非常に幅広い広告を見せてくれた。
 ジャンル自体も茶番系からアバター作成、実況切り抜きやストーリー紹介などバラエティ豊か過ぎる。広告の宝石箱、満漢全席とはこの事です。

・ダークテイルズ

 懐かしの変な広告感がすごいのがダークテイルズ。こんなビジュアルながらきゃりーぱみゅぱみゅ&中田ヤスタカとコラボしてオシャレなテーマソングをリリースしており、これも必聴の出来です。
 3月時点では事前登録特有の1001連ガチャを擦りまくっていたが、シンプルな広告の面白さという意味では4月の方が好きです。1000連ガチャも慣れちゃえばインパクトが薄れますからね。ガチャ自慢以外の広告もしっかり色々やっているのが好き。

・Xヒーロー:みんなを助けろ!

 1月までは犬を助ける広告で話題を獲得していたXヒーローであるが、4月から「みんなを助けろ!」というタイトルに転身。犬を助けるゲーム以外のカジュアルゲーム広告も出来るようにしてきた。
 絵面自体は以前からしばしば見かけるカジュアルゲームの広告のまんまであるが、まずは犬を助ける広告以外も出来るようにしてきたのが要チェックポイント。ここまで軽やかに他ジャンルの広告に乗り換えつつ、Youtubeウケする内容に変えてきたのはさすが。
 しれっと集合体恐怖症的な広告にも手を出しており、そういう生理的嫌悪感から印象を残すという悪いテクを使っているのも特徴。自分は気にならなかったが、苦手な人はキツイかもしれない。

・ドラゴンスケープス

 自分はなるべく「クソ広告」というカテゴリをしたくないんだけども、そんな自分でもさすがにクソ広告認定をしないのはウソだろうと思ってしまったクソ広告です。Xヒーローは比較的気にならないかもしれないが、ドラゴンスケープスはさすがにかゆみを覚えるレベルの絵面のきつさがあります。
 音楽もひどければ映像もひどく、これでGOを出せる人間は相当Youtubeで広告テロをしたかったと見える。さすがにずっと見ていれば慣れてきたところはあるけども、こんなんがトレンドになったらそりゃあ広告も皆嫌いになりますよねって内容。
 Xヒーローの虫に関してはかなりデフォルメされている分マシなんだけど、ドラゴンスケープスは妙にリアルな白い小虫が蠢いているのもきつい。当分は見たくないです。

・ミドル級の注目タイトル

・メンズクリア

 Youtubeを見ていると無限に流れてくる印象があるメンズクリアだけども、自ら「広告しつこい」と自称するくらいには確かに登場する印象があったのが4月広告でした。
 その原因の一つがアカウントを多数用意して様々なアカウントから広告を発信することであり、これにより一つのチャンネルをブロック、あるいは報告しても流れるような事態に陥っている事に今更気付きました。というのも、今回見つけたメンズクリアの広告は全て別のチャンネルから似たような広告を発信していたせいなんですけどね。
 広告の内容としてはほぼ変わらないんだけども、定点観測しているとちょっとずつ文言を変えているので面白いです。ちなみにこのテクは借金減額診断系の広告もやっているようなので、どうしても広告単位でのブロックを嫌がるなら試すような企業も少なからずいそう。

・商人放浪記

 腐敗と発酵の違いが分かっていなさそうな不潔な広告を多数出していたのが商人放浪記の特徴。
 ちなみに商人放浪記自体は2021年1月から存在が確認されている古参であり、2022年は全く姿を見かけなかったが2023年からYoutubeでにわかに動きを活発化させてきた経緯がある点を抑えておきたい。
 近頃のおねがい社長はスケベ方面に振り切っているので、昔ながらの茶番感を味わいたいなら商人放浪記がオススメです。とはいえ社長と違って隠し10連ガチャで逆転するようなくだりは無いので、正確には社長チルドレンというワケでも無いんだよな。

・ライト級の注目タイトル

・花王アタック

 洗剤の広告ながらFPS風の画面構成を採用し、洗濯時は音ハメを活用して癖になる映像を見事に作り上げた傑作広告。インターネットの広告ではこういうのが一番話題が取れそう、という広告をちゃんと完遂してくれました。
 海外のゲームでありがちな偽ゲーム広告よりよっぽどUIがしっかりしていて、画面の動きが細かいのも見どころ。一発ネタのためにここまで丁寧にやっているのは本当にすごいです。

・マクドナルド

 勢いでゴリ押すタイプのワンピースパロディ広告でかなり好き。原作で言いそうで言わないラインのセリフが目白押しなのが面白いんですよね。
 というかワンピースコラボで、ワンピースのキャラがよく分からん事を言っているだけで良いに決まってるだろ!

・ハイポネックス

 「レトロ風広告」をよくもここまで丁寧にやってくれたなあ、という内容です。有名人の人選もパンサー尾形という一番楽しい所をピックアップしており、10~20年前のテレビCMでこういうのやってなかった? と感じるような不思議な懐かしさがある令和の広告。
 最近のレトロ系広告と言うとビデオテープに録画されたような画質や音質をわざと再現するとか、喋り方をわざと古くするとかって「レトロ風演出」をやる事によってレトロ風味を出している広告が多い気がするんですよ。そこで画質や音質自体は落としていないにも関わらず、どこかレトロさを感じるのに新しい広告という絶妙なラインを突いてくるバランス感覚に感嘆しました。
 注目度は低いような気がするけど、これもまたレトロ風広告の新機軸を打ち出した傑作広告なんじゃないでしょうか。

・陰の実力者になりたくて! マスターオブガーデン

 2022年11月から広告を始めていたカゲマスは「映像が小さいが真面目な広告」という個性が目立っていたが、ハーフアニバーサリーというタイミングでニコ動風広告という大昔の広告ジャンルを掘り起こした上に一定の好評を集めるという離れ業をやってのけた。
 ニコ動風広告と言えば3年前は悪評の方が目立っていた形式だったにも関わらずそれにチャレンジし、かつこのアニメ本編にも同じようなコメントの流れがあるという一点から「公式がネタにするのかよw」という好評を獲得したのは大きな発見だと言えるのではないか。
 結局この形式が受け入れられなかったのはニコニコ動画を知らない層が見るような広告に無理矢理オタク文化を持ち込もうとした事、そしてネット民の毒気を抜きながらキャッチーにしようとした広告の歪みが受け入れられなかった原因であると分かったのは大きな進歩である。
 ニコニコ動画で配信しているアニメが原作で、かつ人気のソシャゲはニコ動風広告を考慮する余地がある。今後ニコ動風広告が増える可能性を示唆した傑作広告です。

・マスター級の注目タイトル

・トップウォー

 トップウォーは偽ゲーム広告のクオリティがあからさまに高くなってきて、もうこれでゲーム一本出しちゃえよって思うくらいの内容になってきた。
 元々島合体広告の時点でオリジナリティはあったんだけども、そのオリジナリティに加えて演出、内容のクオリティの高さまで伴ってきたらもう鬼に金棒です。元のアイデア自体は他のゲームでも見かける物なんだけど、それをよくもここまで練り上げたなと感動する。
 存在しないゲームでもここまで完成度を高く出来るなら大したもんです。

・最強でんでん

 ピックアップしただけでも35本もの広告を一気に放出し、大攻勢を仕掛けてきたのが最強でんでん。中身がさして変わらないよね、という理由で省略したのも含めればざっと40~50くらいは1ヶ月でリリースしたんじゃないじゃないだろうか。
 広告の物量だけを自慢するのであればナンボでも出来るが、注目すべきはその種類の多さと新規開拓力。アンツをパクった実写カタツムリ広告、実写茶番広告、数字のトリックを活用した雰囲気だけ立派な広告、テキスト面を活用した画像広告。ざっと挙げるだけでこれだけあるし、テキストを工夫した広告に関してはでんでんならではの着眼点なんですよね。
 ヤバい広告トップランカーならでは充実した広告数とアイデアの濁流に飲み込まれる体験をしたい方はぜひ。

・Hero Wars

 4月のHero Warsはかなり強めの性癖をガンガンにぶつけてくるタイプの広告が多く、見ていて飽きない広告のラッシュを楽しめた。
 丸飲み、獣姦、巨女、刀を磨いて興奮するソードフィリアと言ったマニアック性癖の濁流はかなり刺激が強いが、そういう多様な性癖を全て受け入れられるのであればぜひ見て欲しい広告の一つ。オススメです。

・2023年4月のMVP

 2023年4月のMVPは最強でんでんです。
 新作の数がすごいのもそうだけど、カタツムリの実写広告やTwitter広告のテキストに工夫を加えた広告、オーソドックスな偽ゲームまでバラエティが広すぎるんですよね。王道の広告から邪道の広告まで、最強でんでんがしきりに紹介する「多様な進化」を思わせる工夫を感じました。
 ただ4月は激戦区だったので、映像単体の出来を見るならハイポネックスや花王アタックがトップであるという見方もあるし、大量に動画広告を見せる工夫を評価するならメンズクリアも強いんですよ。単にクソ広告を突き詰めた広告がMVPであるとするならドラゴンスケープスの一強になるし、ショッピング広告の一番槍を評価するならnonnotooも熱い。あと個人的にはHero Warsで剣をシコってた主人公はめちゃくちゃ笑ってしまったし、トップウォーの偽ゲームのクオリティはもはや新作ゲームですよ。カゲマスはクソジャンルと呼ばれたニコ動風広告の再開拓を行ったのは天才的であるし、単に変な広告を見たいなら商人放浪記のお手軽な不潔さも捨てがたい。
 それだけの強豪がひしめく中で最強でんでんを評価したいのは、やっぱり広告の中身の工夫をして、その実験の物量で他の広告を凌駕しようという強い意志を感じてしまったからだと思います。
 最強でんでんは5月以降もかなり斬新な広告をリリースしているので、いよいよ2023年の頂上を獲る可能性が出てきました。最強でんでんは最強の広告になれるのか? 今後も広告から目が離せない。

・総括付録:4月広告の新規タイトル一覧

ドラゴンスケープス
デミアンサガ
パペットマスター
ミスティックアビス:遺失海域
アルケランド
Shipping manager
BodyFast Intermittent Fasting
エターナルエンバー
ハムスターの里
Infinity Clan
Immortal titan
Viking Rise
Tap Dragon:Little Knight Luna
Whiteout Survival
F1 Clash
KOF:サバイバルシティ
ウェブフリ
シェアフル
B/43 家計簿プリカ
FXなび
Pisco
Picture bird
ピカチュウ加藤純一VSイシツブテ加藤純一
三国志Pocket
Blind
ラムの泉とダンジョン
となりのガールフレンド

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