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広告振り返り:~12月総括編~


・12月の広告のあらすじ

・同一タイトルの広告物量作戦が目立った

 12月は年末期なので様々な種類の広告が入り乱れる大広告時代だったが、その中でも星矢ジャスティスやモリノファンタジーなど、異様に広告を見かけるタイトルがあった。後述する星矢ジャスティスは71作、モリノファンタジーは33作で、それらの広告がとっかえひっかえ出てくるんだから大変です。
 もちろんターゲティングの都合上自分にそういう広告がガンガン回ってくるという所はあるけども、それにしても年末最後の物量戦を挑んできた星矢ジャスティスとモリノファンタジーの印象は特に強かった月だったなあという印象でした。
 その上数が少ない広告だって有名人コラボをしていたり、独自路線開拓の集大成を見せてきたりするんだから、さながら年末の格闘技特番のようなオールスター大集合という感じで楽しかったです。

・怪しい広告が再度ネット上で増加

 根拠不明な台風の警告を行う広告とか、どこに雇われるか分からない求人広告とか、変な情報商材の広告とか、ヤバい広告が多かったのも印象的でした。ダメそうな広告はクリックしたり、LINEの友達登録をしたりするのはやめようね!
 やっぱり年末年始はヤバそうな広告にとってもかきいれ時のようです。こういう広告はAdblockだの有料会員以前に最初から弾いておいてほしいもんだけども、中々そうはいかないみたいです。

・同一人物が多数出てくるタイプの広告が一般広告で流行

 一名の有名芸能人をたくさん出して、芸能人を雇う数を減らしつつ絵面の強さを出すタイプの広告が妙に多かった。同じ見た目の人間がたくさんいるのに妙にデカかったり、小さかったり、変な踊りをしてたり、棒立ちだったり。とにかく絵面の強さだけを追い求める上で同じ人をたくさん出すという答えに多くの広告が至ったのは興味深い。
 リクナビNEXTのカズレーザー、洋服の青山のなかやまきんに君、パルコの松平健、BIGLOBE光のバイきんぐ……見せ方は違えど、同じ人間がたくさん出てくる中で一人くらい別の動きをしていたり、別人が混じっていたりするところも大体一緒。同じ人が考案しましたか?

・ルーキー級の注目タイトル

・三国合戦ラッシュ

 三国合戦ラッシュはゲーム本編がタワーディフェンス風の放置ゲームになっており、そのゲーム的都合からタワーディフェンスゲームのように広告出来るという有利を活かした広告になっていたのが印象的。
 それだけでなくLINEフレンズのコニー(LINEのウサギみたいなやつ)らしきキャラが広告に登場したり、もらえるか分からないけどとりあえず広告にiphoneの画像を置いていたり、とりあえずドット絵の広告があったりと、独自性を出しながらブームに乗ってパクリもしちまおうという欲張り感にめまいがしそうなボリュームが見逃せないタイトルになりました。貪欲であれ!

・聖闘士星矢レジェンドオブジャスティス

 星矢ジャスティスがすごいのは先述の通りその広告数。71作もの広告を1ヶ月にリリースしたのは、2023年5月に爆沸きしたショッピング広告に迫る勢いの物量だと言える。
 しかもこれ、おそらく戦略的に同じような広告を大量に出しているのがポイント。星矢ジャスティスは12月6日~7日に投稿した広告と、12月22日~26日の間に投稿した広告に大別されるんだけども、12月前半の広告で人気だったところを後半で再投稿して効果があった広告をクリスマス付近に出そう、という市場調査を行っているっぽいんですよね。
 さらに注目すべきポイントとして、星矢ジャスティス自体は現状アウトなラインを踏んだ広告やiphoneやPS5プレゼントを行う懸賞広告、1000連以上の大量ガチャなど、2023年に流行した広告パターンをやっていないのも特徴的。聖闘士星矢という有名作品パワーをどう擦れば成功するか? という所を戦略的に分析して、知名度を高めようとしている創意工夫が光るタイトルでした。

・ミドル級の注目タイトル

・借金減額診断

 借金するほど残高アップ! 100万円以上の現金が0.2秒で手に入る! と制度の悪用を推奨するような広告が登場。国に認められた裏技! みたいなノリで借金を踏み倒そうという広告はさすがに衝撃を受けました。
 確かこの広告自体は7月くらいから見ていた記憶があるんだけども、公式アカウントから出ているナマの限定公開リンクを取れたのが初。挑発的な広告はやめようね。

・パートタイム募集

 Xをうんざりさせたスパムリプライ、バイト募集のDMであるが、広告にも進出。LINEリンクが思いっきり見えているが、くれぐれも友達追加はしないでくださいよ。俺は警告したからな。
 そもそもこんな怪しい広告に申し込みしちゃうような人はYoutuberくらいのもんだと思うんだけども、もっと巧妙になってきたらもっと健全そうな闇バイトの広告とか出てくる可能性が充分あると思うんですよね。怪しい広告で笑ってられるうちが華だぞ。

・ライト級の注目タイトル

・家計簿プリカ B/43ペアカード

 正統派のヤバい広告。ヤバい広告なのに悪い事はしていないし、なのにインパクトが一億点くらいある。何でクロちゃんの赤ちゃんプレイを広告で見なければならないのか?
 成人男性が赤ちゃんになりたくなる時はある。とはいえそれを広告にしようという判断は並大抵の度胸じゃあ出来ないよ。10年前でもその気になれば出来る広告だったし、小難しい広告戦略も無いと思うけど、実行に移すのは非常に難しいタイプの広告です。
 これをやったのは本当に尊敬する。よく踏み切ったね。

・原神

 原神は案件動画を投げ、広告でのおふざけを外部委託したのが特徴。いわゆる案件動画というのはどうしても堅苦しく、配信者自身の個性を殺してしまう場合もあり得るものだが、むしろふざけてもらって他の変な海外広告でやっているようなインパクト成分を補充しているのはありそうで無かった発想です。
 原神本家から出す広告は引き続き普通のキャラ紹介メインなので、原神自身が怪しい広告をやって「せっかく神ゲーなのにこんな広告しないでくれ」とファンがガッカリするようなことを避けているのは素直に賢いなと思いました。
 初期パニグレやメメントモリがふざけた広告をやって失望される事件がかつてあったのだが、ひょっとしたらそこから学んでいるのかもしれません。良い発想でした。

・マスター級の注目タイトル

・ザ・アンツ

 アンツは突然PIXAR風の凝った3DCGアニメーションを出してきたのが印象的。もはやアリ以外の存在もたくさん登場しているんだけども、これほど普通のアニメを広告で出してくるのは中々に粋な真似をしてきたなあと思います。
 広告自体も初めて人間が明確に広告に絡んできたり、アリクイを初めて広告に登場させたりと見飽きさせない工夫をたくさん仕掛けてきたのが良かったですね。シンプルに広告にかけている力のこもり方が違うなあと感じさせてくれました。
 もちろんクリスマススペシャルという所はあるだろうけども、それにしても良い広告です。

・Hero wars

 Hero Warsは黙ってdungeonstory2a_h_all_136を見て欲しい。これはウソ広告におけるドラマの到達点ですよ。
 
たかが広告と言われたらそうなんだけど、ここまで存在しないゲームをドラマチックに描いた広告は中々無いですよ。狼を助け、ハゲタカを追いかけてステージを攻略しようとして、結局失敗して終わる。広告特有の失敗を踏襲しつつも、ちゃんと見ごたえのある映像作品に仕上げているのはHerowars3年間の歴史を感じました。
 2024年になってなお精力的に広告を続けているHerowars、今後の活躍にも期待がかかります。

・モリノファンタジー

 モリノファンタジーは10000連ガチャという2023年のガチャインフレを象徴する広告を出し、その上でデジモンコラボ用にテーマソングを作る、デジモンの素材は使い回すという八面六臂の活躍を見せたのが印象的だった。
 2023年の広告ってやっぱりガチャがインフレしたとか、広告を大量に出すのがエライとか、特徴的なテーマソングが欲しいとか、色々あったじゃないですか。その中でもコラボしていて怪しい広告をやれない中でも、出来る流行を全部取り入れてベストな広告をやったんだなあ、という事を伺える内容でした。
 これほどの内容を見せてくれると、進化し続ける広告界隈の古豪の力量を否応なく感じましたね。

・2023年12月のMVP

 2023年12月のMVPはモリノファンタジーです。
 12月という物を売りたいタイミングでそれぞれ独自路線を見出して広告していた激戦区だったんだけども、ネット広告でのトレンドを取り入れつつ発展させたこと、さらに独自の味を出してきた所が響きましたね。
 絵面の強さという意味では家計簿プリカ、広告自体の完成度ではザ・アンツとHerowars、次世代の案件や新しい広告の形を提示するという意味では星矢ジャスティスや原神も光る所があったので、2024年の広告も楽しみになるような良い広告ラッシュだったと思います。
 2024年も広告を見ような!!

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