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日本で撮影された80年代洋楽PV集

今では決して珍しくない(?)日本撮影の洋楽PVですが、PV(=ミュージックビデオ)が本格的に作られ始めた80年代から既に幾つかの歌手やグループがPVを日本で撮影している事も有り、今回はそれらを取り上げていきます。

1.The Police「So Lonely」(1980)

なんで70年代(1978)の曲を挙げるんだ、と思われるかもしれませんがPVは1980年に撮影されたもの。スティング率いるザ・ポリスの軽快な曲のPVですが東京の地下鉄・浅草線と香港が登場(乗客の反応を見るとおそらくゲリラ撮影)、メンバー三人がトランシーバー片手で歌う姿はSEKAI NO OWARI「Dragon Night」の先駆けといった所でしょうか。香港パートではドラマーのスチュワート・コープランドが商品をスティックで叩いて注意されてます(笑)。

2.INXS「Original Sin」(1983)

オーストラリアのロックバンド、INXSのスマッシュヒット曲のPV。晴海埠頭で撮影が行われ、メンバーが「トラック野郎」みたいなデコレーショントラック(デコトラ)前でバイクに乗ったり歌って演奏し、中盤には夜店が登場、全員でお面を一瞬被るちょっとシュールな内容で、デコトラの「死んでたまるかおっ母さん」という表示に個人的に島倉千代子さんを思い出しました。

3.INXS「I Send A Message」(1984)

連続でINXS、しかも上記の曲と同じアルバムの収録曲のPV。冒頭からいきなりお坊さんが登場、そして寺院の中でテレビを置き歌って演奏する彼ら。謎の白塗りの着物女性含めまたまたシュールな内容ですが当時の彼らはオリエンタリズムに凝っていたのでしょうか。撮影は護国寺で行なわれ、上記の「Original Sin」と共に監督はYasuhiko Yamamotoとなっていますが、Imdb等を参照するとCMディレクターで有名な山本泰彦さんのようです。

4.Scorpions「No One Like You」(1985)

ドイツを代表するハードロックグループ、スコーピオンズのライブアルバム「World Wide Live」からのシングルカットになった曲のPV(オリジナルはアルバム「Blackout」収録)。アメリカ、ドイツ、フランスでの公演を録音したアルバムの為、音源は日本公演のものではないみたいですが、映像は85年の武道館公演含む来日時のもののようでファンに囲まれたり(意外と女性ファンが多い!)雪合戦したり観光したりと彼らのユーモラスな面も垣間見れます。

5.Bob Dylan「Tight Connection To My Heart」(1985)

大ベテランフォークロックシンガー、ボブ・ディランの比較的ポップな曲のPV。当時極秘来日して撮影されたPVで、ボブが写真週刊誌FOCUSを読んだり警察に尋問されたり、あの倍賞美津子さんやヤクザに歩行者天国のパンキッシュな若者が登場(特に気になるのはライブハウスのコーラス隊の一人である外国人女性の「必勝」Tシャツですが)。日本人キャストには倍賞さん以外にも沢田研二さんや佐野元春さん、岩崎宏美さん(!)らも起用されたようですがカットとなり、沢田さんの起用に関してはPVを監督したポール・シュレイダーが監督し同年欧米で公開された「Mishima: A Life In Four Chapters」にも沢田さんが出演している事も関係しているかもしれません。冒頭にはかつてあったレコード店六本木WAVEが映ってます。

6.Phil Collins「Take Me Home」(1985)

ジェネシスの活動と並行しソロ活動も行っている歌って叩けるフィル・コリンズのPV。フィルがPV内で観光旅行と言わんばかりにロンドン、パリ、ロサンゼルス等世界各国の様々な都市を回る内容で、その中に日本の東京や京都も混じっており、新幹線から富士山を眺めたり仏像の前で歌ったりするのですが、中盤の「カメラのさくらや」の前の横断歩道を渡るシーンからは新宿で撮影された事が伺えます。ちなみにこの「カメラのさくらや」はジョン・ライドン率いるPIL(パブリック・イメージ・リミテッド)のライブアルバム「ライヴ・イン・TOKYO」(1983)のジャケット↓にも登場しています。

7.Love & Money「Halleluiah Man」(1988)

スコットランド出身のブルーアイドソウル系グループらしい、洗練された曲のPV。「はとバスのりば」という表示が見えるのでおそらく東京だと思いますが、メンバーが大型ビジョンに映ったりパチンコ店の中を歩いたり屋上で演奏する映像の所々に日本人の典型的なサラリーマンの姿が挟まれ、最後は山に登るのですがその後の彼の行動を見ると「24時間戦えますか」というキャッチコピーも流行ったバブル絶頂期の頃だけに「働き過ぎる日本人」に対する批判も込められてそうです。

8.Europe「Let The Goodtimes Rock」(1989)

スウェーデンのハードロックバンド、ヨーロッパの日本武道館公演をフィーチャーした爽快感溢れる曲のPV。彼らは1988年の12月8日・9日に武道館で公演しているのでその時の映像と思われます。上記のスコーピオンズのPV同様、所々にファンとの交流やメンバーの観光も挟まれているのですが、中には浅草やネオン煌めく渋谷辺りの映像も有り(映画のポスターで黒木瞳さんも一瞬登場)。また、ここでも新幹線が登場していますがやはり外国人にとっては特に興味を惹くものだったりするのでしょうか。

番外編・Sigue Sigue Sputnik「21st Century Boy」(1986)

強烈なビジュアルが印象的なイギリスのニューウェイブグループのPV。はっきりとメンバー達が日本の街を歩いたりしている映像が登場するわけではないのでおそらく日本では撮影されていないPVですが、冒頭から所々に夜の銀座と思われる街と日本語が表示され、70年代のロボットアニメ風のイラストと日本語が書いてある上記の収録アルバムのジャケット含め彼らの日本びいきぶりが伺えます。

他にも有れば教えてください!

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