2021年12月の記事一覧
短編【蛍光灯のノイズ】小説
客の出入りを知らせる軽快なチャイムの音。
温めますか?袋はご利用ですか?
という店員の声。
お願いします。いえ、結構です。
という客の声。
トイレを使うためだけに急ぎ足で駆け込んでくる足音。
新商品を何度も繰り返し宣伝する店内放送。
商品を手に取りカゴに入れる摩擦音。
そして、コピー機の電子音。
コンビニエンスストア『リトルエレファント』では、そういった音が同時に、あるいは間をあけて溢れている
短編【街灯の明かり】小説
気がつけば40を越えていた。
いや、気がつかないフリをしていた。
というのが正しい。
小説家になりたい。
そんな事を百回以上口に出していたし千回以上心に描いていた。
それだけで行動に移すことはなかった。
ラジオを聴いた。
口のたつ陽気な芸人がいろいろな業界で活躍する“旬な”人をゲストに呼んで軽妙な語り口で彼らの魅力を引きだす。
そんなラジオ番組を何気なく聴いていた。
ホスト役の芸人が好きだった