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【意義】私がヒノキを使う理由

木工をする際に樹種に何を選ぶかは適材適所、目的によって検討します。
完璧な木材は無く、それぞれの長所を活かして製造をします。

例えば
1.硬さ→積み木のような製品に多いブナ材などありますが、とても硬く赤ちゃんの場合、落としたり踏んだりした際のケガのリスクが高いです。 ヒノキは比較的やわらかく、そのぶん傷が付いたり見た目が悪くなりがちですが、出産祝いとしての需要が大半を占める当社のおなまえ積み木としてはヒノキの硬さが適切です。

2.手触り→握った時の手触りがすべすべしており、赤ちゃんのやわらかい手でも気持ちいいと感じてもらえると思っています。手触り良くするためには、木の性質だけでなく人の手間も当然必要なのですが、その意味においても加工がしやすいというのがヒノキのメリットです。

3.香り→なんとなく、ある香りを嗅いだ時に懐かしい気持ちになったことありませんか?
畳の香りとか線香の香りとか、何なら少しカビ臭い部屋の香りでもいいですが、そんな体験が一度はあるのではないかと思います。
香りに関してアロマテラピーの分野では科学的根拠に基づく癒し効果などあるようですが、それよりも何よりも私は記憶が大切だと思っています。
私たちは普段からほとんど視覚から情報を得ていますので、嗅覚のことを忘れがちですが大人ほど視覚に頼らない赤ちゃんにとっては甘く優しいヒノキの香りは効果が高いのではないかと期待します。

人にとって愛情を感じた時間というのはかけがえのないものです。
その大切な体験を時間の経過で忘れるのはもったいない。
うちのものづくりが心安らぐ瞬間のお手伝いができるように願っています。

思えば亡き父の香りの記憶は木の匂いです。
ヒノキでは無く、紅松ですね。
それが紅松と知ったのはこの仕事に就いてからです。
今では紅松を使う機会は減りましたが、香りを感じると幼少期の私を見てニコニコしていた父を思い出します。


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