わたしの詞『ぜんぶ自分だった』
嫌いな人はいますか 好きな人はいますか
階段を滑り落ちるように 弱い心を打つ
教室の隅で聞こえる 誰かの噂
何の興味もない その人の悪口を聞いていたよ
にぎやかに見える 静かな部屋の空気を伝って
鼓膜を通り抜けて 僕の中にとどまった
授業中のペン先の行方は ノートの一番最後のページ
もう今は覚えてないけれど 無心で何かを綴っていた
愛想笑いが得意になった あの頃あの席で僕は
わざと足かせをつけて 動けないふりをしていたよ
あたまの中に浮かんだ ヒーローと悪役の顔
目をこすってよく見たら ぜんぶ自分だった
端末ごしに飛び交う 大きな笑い声
ふいに滑り込んでしまった 心にもある一言
跳ね返ったその言葉は 電波を伝って
鼓膜を通り抜けて 僕の中に焦げ付いた
画面を閉じた後の目線は 曇ったガラスの向こう
もう今は覚えてないけれど 何かを取り戻そうとしていたよ
守ることがクセになった あの頃あの部屋で僕は
分厚いメガネをかけて 見えないふりをしていたよ
窓の落書きに見えた 勝者と敗者の顔
目をこすってよく見たら ぜんぶ自分だった
嫌いな人はいますか 好きな人はいますか
弱い心の行方は 今も遠くの空
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