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妄想風味

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#詩

冬の到来

冬の到来

花は枯れて沈んでいる
僕のかつての幸福は葬られた
空が泣いている
孤独な星々が青白くまたたき
それもやがて灰色の中に沈んでゆく
もう僕は歌う事もできない
黄金の弦は損なわれた
冬の初めのひどい寒さに
僕の心は耐えられなかった
黒い木々は悲しげに揺れ
美しい小鳥たちは飛び去った

影法師

影法師

太陽は暗く病み
すでに薔薇の季節は過ぎ去った
晩夏の夜は蒸し暑い
長く寂しい旅から戻っても
僕を迎えてくれる者は誰もいない
僕の心は陰鬱に語りかける
また旅へ出ようと
ここは僕の場所では無いと
家の中は静まり返り
死神が歩き回るかのよう
旅を続ける時が来た
ただ僕の心がためらっている
夜の風は木々を揺らし
他には死んだ沈黙があるばかり

私は記憶を手繰る度…

私は記憶を手繰る度…

私はなんでも、思い出します
オタマジャクシの足、トンボの赤茶けたいろ、
図書館の外で、シロツメクサを見ていたあの時
みんな、みんな、思い出します

そして、その度、淋しくなります
もう二度と、あの時は訪れないから
もう二度と、あのしあわせは来ないのだから
あの幸福は、去ってしまったのだから

私には、もう幸せなんて、訪れないでしょう
私には、もう人を愛する時は、来ないでしょう
全ては、悪い、夢のよ

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