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この基地に来て半年にもなるというのに、ハイスクール時代の親友が配属されていると知ったのは、つい三週間前のことだった。 親友であるオルフェオ・パルトニフェリとの付き合いは、ジュニアスクール時代からはじまる。俺もオルフェオも隣りのクラスの赤毛のルイージャが好きで、ルイージャのハートを射止めるのは俺だ! と競い合っていたのだが、当のルイージャが好きなのは秀才で名をはせたヴィットーリオだったというのが俺たち二人の初恋のオチ。ダブル初失恋を機にさらに俺たちは友情を深め、何をするのも
たまたま、外へ出ようと考えたのは数十分前のことだ。 家の外へ一歩出ると、ねっとりとした熱い空気が全身にまとわりついた。これから季節は涼しくなっていくというのに、まだ暑苦しさが残っている。 額から頬にかけて流れ落ちる汗を乱暴に手の甲で拭う。 そのまま手を下ろすと、少し先に誰かが立っているのに気付いた。 「リーンハルト……?」 声をかけると口に煙草を咥えて、ぼんやりと海を眺めていた長身の男は、ゆっくりと振り返り口角を吊り上げてニヤリと笑った。どこか楽しそうなそれでいて悪
僕の母親はジプシーだった。ゆえに安住の地はなく、家という概念を持たない生活をしてきた。 街から街へ、時には小さな村へと渡り歩く日々。そんな生活の中で、母はどこの誰とも知らない、名前すら名乗ることのなかった一夜の相手の子を産んだ。それが僕だ。 母は快活に笑い、「あんたのパパは妖精だったのよ」という日もあれば、「あんたの父親はとある国の国王様だったの」と、ありもしない嘘を謳うように言い続けていた。いつしか僕は本当の父親を尋ねる事をしなくなった。 僕が六歳になった頃、母に