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Road to the Sky

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レッドスピネル空軍基地にスクランブル発進の要請。第一戦闘配備に備えていた第一飛行戦隊・デスサーカスは即時応答していた。不穏な奇襲を仕掛けるローレンツ空軍の未確認機体。夜間戦闘とな… もっと読む
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2021年10月の記事一覧

26 スカイ・ロード

 オラーシオに案内されたロッカールームで着替えていると、オラーシオが突然席を外した。すぐに戻って来たと思ったら、突然オラーシオ自身も着替えだした。 「俺にも飛べってさ。ドッグファイトしようぜ! 他のやつと飛ぶの久しぶり。楽しみだなぁ」  着ている作業用のつなぎを脱いでいくと、自分が使用しているロッカーに放り込む。  この場所は開発設計局ということもあり、テストパイロット以外のパイロットは存在しない。  少佐という階級からして、そこそこ長い飛行歴がある。どうしたらテストパイロッ

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27 スカイ・ロード

 自分の未熟さなど理解しているつもりだ。しかしそれを馬鹿にされたくもないという気持ちもどこかにあった。  一定距離を取ったオラーシオが仕掛けてきた。今しがた背後を取られたばかりのジルは、後ろを取られたくないがために、常にオラーシオのいる方角を意識しながら旋回する。どうやったら後ろを取れるのか? オラーシオが距離を詰めてきた。逃げればまた後ろをロックされる。ぎりぎりまで悩んだ挙句、ジルは距離を取るために逃げに転じる。 「おいおい、フランク。撃ってこいよ。つまんねぇぞ」  オラー

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28 スカイ・ロード

「さて、そろそろいいか。FCOS戦闘を開始する。時間は十分。それを過ぎたら結果に関わらずに基地に帰投する」 「アイ・サー。じゃぁ行きますよ」  オラーシオの飛行技術は高い。今すぐにでも前線が欲するくらいにずば抜けている。もしも可能ならば、カイザーがいなくなった第一飛行隊へ行ってもらいたい程だ。オラーシオがエースの座に収まったとしても、第一飛行隊の連中はその技術を認めるだろう。それほどにオラーシオの技術は優れていた。精神的なタフさも鷹揚さもパイロット適正がある。  カイザーは一

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25 スカイ・ロード

 このオペレータールームは西側の技能棟にあり、管制塔のすぐ近くにある。開発設計のためのオペレータールームなので、実際戦闘には関わらない。UAVの機体の調整や、新型のUAVの飛行実験のために使われている。 「ほぉ! 初めて見た」  どの基地でもUAVは運用されている。しかし早期警戒基地として建設されたエリア54のような小規模な場所では、UAVが設置されていないところもある。  現在オペレーターはカイザーの他に二人いるが、専属ではなく兼任しているだけだ。普段は管制塔の仕事と、開発

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