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25 スカイ・ロード

 このオペレータールームは西側の技能棟にあり、管制塔のすぐ近くにある。開発設計のためのオペレータールームなので、実際戦闘には関わらない。UAVの機体の調整や、新型のUAVの飛行実験のために使われている。
「ほぉ! 初めて見た」
 どの基地でもUAVは運用されている。しかし早期警戒基地として建設されたエリア54のような小規模な場所では、UAVが設置されていないところもある。
 現在オペレーターはカイザーの他に二人いるが、専属ではなく兼任しているだけだ。普段は管制塔の仕事と、開発部の仕事を兼務している。
 カイザーだけは開発に関する知識もなく、また技術屋でもないことから、一人で専属オペレーターという役割を果たしていた。
 だが元エースパイロットとしての知識や経験から、意見が欲しいといわれ会議に出席を求められることも多い。
 まだ錆びついていないうちに、現場の声を開発元へ届けることは有意義なことだとカイザーは思う。普通のパイロットは承認され配備されて初めて戦闘機や周辺の備品に触れる。たまにテストを依頼されるが、細かな調整のための仕上げのテストであり、配備の予算が組まれた後だ。
 その前にパイロットが何を望んでいるのか、技術屋に伝えることは双方にとっていいことだった。

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