スクリーンショット_2019-10-28_13

グランメゾン東京の楽しみ方。8


祥平の今後がめちゃくちゃ気になる展開が来週を楽しみにさせてくれるグラメですが、今回も料理人あるあるが沢山の回でした。

今一流と呼ばれるシェフ達も最初はみんな見習いです。初めて入るレストランがその人の基礎を作り、いわゆる師匠という存在になるシェフと出会う。

この師匠がその後の人生を決めるといっても過言ではないくらい大切です。

右も左も分からない時期に叩き込まれるベースがその後数十年の料理人人生に活かされるのに、この選択はほとんど知識がない中で行われる。運と実力が両方求められる大きな機会です。


師匠の味


尾花の師匠は小さな洋食屋で牛タンシチューを作っています。とても丁寧に誠実な仕事をする人だと見受けられます。僕の師匠は六本木一丁目にある『Edition Koji Shimomura』というレストランの下村浩司シェフです。

完璧主義者の職人で、最初はその厳しさに圧倒されました。仕事にはスピードも繊細さも両方求められ、野菜を一ミリ角に切る事や真っ直ぐ切る事などを本当に何んども怒られました。

垂直に食材をカットする。当たり前です。でもそれを当たり前にさっとできる人って意外と少ないんです。

自分の体の動かし方の癖や、包丁の刃の付き方、垂直に刃が入っているかを確認する目、綺麗に切るための技術。これらを高度に持った上での速さ。

言うのは簡単ですが、これをイレギュラーが常に起こる営業中の忙しい時に普通にこなせるかで技術が問われます。

当時の僕からするとなんでここまで拘るのかが不思議でしたが、それはこのお店をやめて新しいところで働き始めてすぐに理由がわかりました。

一つ一つの仕事の積み重ねが全てに繋がるという事です。

めちゃくちゃ当たり前なんですけど。これが本当に難しい。そして妥協しやすい。これくらい良いか、と思ってしまう。ここを突き詰められる人は何をやっても丁寧で安定感の仕事ができる。これは最初の自分の基準をどこに設定するかで変わるのですが、これは自分で設定するというよりも、設定されたかによるものが大きい。

だからこそ最初に厳しいところで働くのは大切な事だと考えています。

だから芹田も5mの野菜カットを指示されていたんですね。


顧客ごとに変える料理


これは本当に難しい。何故ならば自分の料理を好きになってくれたからお店にきてくれている、と認識する場合が多いからです。これは顧客との関係性にもよるのですが、調節する事で変化を痛がられる事もあります。なのでどんな風にコミュニケーションをとっているかで対応も変わる。

料理人とはエゴな生き物なので、自分の世界を表現する事でその真価を発揮しています。それを変えないことが良い面に結びついている事も忘れてはいけません。

ただ、やはり見るべきは皿ではなく人であり、皿は手段であり目的ではない、と言う大前提は間違えてはいけないと思います。(自分が作りたいものを作るのが目的の人もいるかもしれませんが)

自分のやっている事がアートなのかビジネスなのかは0:100ではなくグラデーションだと思うので、自分なりの濃度を決めれば良いと思います。

僕は自分のやりたい事と多くの人に受け入れてもらえる物の重なる部分で出来る事を考えています。エゴだけにならぬ様に、たべた人に幸せになってもらえる様に。

そして自分の伝えたい事を共有する事で、ありのままの自分を受け入れてもらえる様にとコミニケーションも努力しています。これからの時代絶対に必要だと思っているからです。


師匠の影響を受ける


味覚も仕事も立ち振る舞いも師匠に影響を受けます。尾花が芹田にペティーを買ったシーンは、尾花が師匠にそれをしてもらった事が嬉しくて自分も同じ事をしたのでしょう。

師匠は本当に厳しいです。基本は褒めない。なぜならばできて当たり前だと思っているからです。それは厳しい要求かもしれませんが、同じ目線で見てくれているという愛なのかもしれません。(良すぎる解釈かもw)

見習いだからとかではなく、同じ目線で職人として見てくれるからこそ厳しくもなり、クオリティーを求められる。そしてその期待を超える仕事をする事で初めて褒めてもらえる。

賄いや仕込みの味の調整を褒めてもらえた時の喜びは今でも鮮明に覚えています。お客さん扱いではなく、同じ目線で、肩を並べて仕事ができる。そんな関係が僕は素敵だと思います。

あくまでもそれを目指して求めている人とは、ですが。


次回は祥平がグランメゾン東京にくるかもしれません。一番影響を受け、尊敬している尾花と働く事でお互いにいろんな感情が生まれる事でしょう。そんな熱い展開をいまから期待しています。




皆様の優しさに救われてます泣