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グランメゾン東京の楽しみ方。6

今回は2回目の投稿です。

料理について少し専門的な話をしてみようと思います。

テーマは魚で、グランメゾン東京は寒鰆、gakuはアンコウでした。どちらも同じ魚ですが焼き方も合わせ方も違いましたね。

物語りの中でもありましたが、鰆は冬の方が脂がのってうまいです。そして出来るならば4~5kgアップの大きい個体の方がさらに美味い。魚は生でも焼いても美味しいので、そのどちらも引き出すために尾花たちは試作を重ねていました。

魚は肉に比べて加熱のゾーンがめちゃくちゃ狭いので、数度の違いで仕上がりがかなり変化します。そして料理会全体で考えても、肉料理の温度はデータで分析されている事が多いですが、魚は感覚で焼いている人がほとんど。

魚こそしっかりと温度を測り、温度帯別の味や水分量の変化、食感、香りの出かたを調べるべきです。

gakuのアンコウはタイムを乗せてローストしていました。

日本でアンコウといえばあんこう鍋を連想する人が多いかもしれませんが、ヨーロッパではローストする事が多いです。淡白なので旨味をたす事が多く、ベーコンや生ハムで旨味をたすのがヨーロッパ風。

そこを日本風に昆布の旨味で淡白さを補ったのが祥平ですね。


魚に対する日本の力は?


日本は世界的にもかなり特殊な魚の国です。魚種の豊富さも調理の仕方も、魚への仕事も特殊です。神経締めと言われる技法も日本ならでは?と思っています。

とにかく魚への執念に近いものを感じます。

しかし今現在魚はどんどん減っています。昨年このような記事を書きました。

スペインのバルセロナで開かれたサスティナブルシーフードのカンファレンスに、日本のシェフの代表として参加させていただいたものです。

今は今回のドラマを監修されているカンテサンスの岸田シェフがトップとして勢力的に活動をされています。このような日本で一番のレストランのシェフが活動してくださるだけで、業界へのインパクトは大きいです。本当に大好きな尊敬する岸田シェフのこれからの活動にも興味がありますし、僕も少しでも業界に貢献できればと常々考えています。

日常生活の中で魚が減っている事にはほとんど気づけないと思います。でも、このように活動している事を少しでも知ってもらえれば僕たちはもっと頑張れます。

ドラマを通してもこの様な現状を伝えられたら良いのでは?とも思いますね。

そうゆう意味でももっとこのドラマの事を多くの人に知ってもらいたい。


魚の加熱とはなんなのか?


魚はとてもパサつきやすい。もともと水分が多いので、水分のコントロールとタンパク質の変性のタイミングを同時に調整する必要があります。

さらには個体差で脂肪の含有量が違うので、焼く前の段階でそれを判断しなければなりません。もっというと捌かずにそれを判断しなければダメ。

例えばですが内臓を見て脂肪の量を判断するとかもあります。すごい人は肛門を舐めて味を確認し、甲殻類の味がすれば良い餌を食べているという事になるので、そこで判断する人も。

捌いた後の身の見た目や触れた感じ、カットした断面の色なんかでも判断します。

僕は魚を干してから使っていました。

魚を干して表面を乾燥させる事で焼き色を付けやすくしつつ熟成をかけるという理由から。

魚の皮は水分を含んでいるので、焼くときにその水分がなくなるまでは皮の表面温度が100度を超えません。なので水分が抜けるまでは加熱が遅くなるのです。

しかし水分以外はほとんどがゼラチン質なので、水分さえ抜いてしまえばカリッと焼くのは簡単なのです。なので事前に皮の水分を抜く事で、加熱の時間を短縮し、皮と身の加熱の時間を切り分けます。

皮を焼くのに時間がかかると身の方にストレスが増えてパサつく原因になるからです。また、水分が多く新鮮な状態だと身が反るので、上から押し付けないといけません。その押し付けがまたストレスになるのでよくない。

ただ乾燥していれば反ることもなければ焼き時間も短縮されているので良いことばかりです。(体感ですが2倍以上早く皮が焼ききれます30秒かかるところが15秒くらい)

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(こうやって干していた)


こんな風に自分なりに魚の仕込みや焼き方を考えていました。(僕の知っている限りこのやり方をしている人はいなかったと思います2017年時点で)

アンコウも同じ様に干してから使う事で味を凝縮し、表面が乾いている事で普段つかない焼き色をしっかり付けることで肉の様な味わいになります。

良い状態の魚は虹色に輝きます(これもカンテサンスの岸田さんが発信した事で業界全体で魚料理のクオリティーが上がりました)

僕の焼いていたアンコウもこの様な状態に仕上げていました。

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作中のgakuのアンコウも一瞬でしたがこの輝きを確認できる場所がありましたね!よく見てみると面白いと思います。

魚の加熱に関しては、こんな記事を書いています。さらに詳しく温度帯やどの様な状態にすると魚を美味しく感じてもらえるかなどを書いてます。一般的には使いずらい知識、かつかなり専門的なデータなので、しっかりとお金をいただく感じになっていますが、一読の価値は十二分にあると思っています。


ちなみに肉版もありますし、セットのものもあります!



ますます面白くなるグランメゾン東京。今日はどんな展開になるのか楽しみです。少しでも多くの人にレストランやシェフのことを知ってもらえれば幸いです。


そしてグランメゾン東京の後の初耳学ではチーズスイーツ特集らしいです。チーズスイーツといえばミスチですが、もしかしてもしかするかもしれませんので、ぜひ見てくださいね✨







皆様の優しさに救われてます泣