![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/131128602/rectangle_large_type_2_ac3e655f0f40583536f81b0a03f1ee66.jpeg?width=1200)
【書評】20歳の自分に受けさせたい文章講義
話すことはできるのに、いざ書くとなると文章が書けない
思っていることはあるのに、なかなかそれを上手く文章にできない
という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
そんな書くことに関する悩みを根本から解決してくれるのが
古賀史健さんの「20歳の自分に受けさせたい文章講義」です。
本書では、文章を書くということは伝わる言葉に翻訳することであるとして書く技術について紹介しています。
文章が上手く書けないのは話し言葉を書き言葉に翻訳するという意識が足りていない、もしくはその技術が足りていないせいだと言います。
文章が上手く書けないという人は本書から書く技術やその心がまえについて学びましょう。
ここでは、文章を書くときに大事な基本的な要素について3つ紹介します。
はじめに
なぜ、話すことはできるのに書くことができないのか
話すときは、表情や声の高さなど他の要素を使って伝えることができます。
しかし
書くとなるとこれらの情報が一切、抜け落ちてしまうことになります。
それらの情報を補強しないことには伝わる文章は書けないのです。
話し言葉を書き言葉に翻訳してあげないといけないのです。
文章を書くことの意味は誰かに何かを伝えることです。
自分だけが理解できても相手に理解されなければ伝わる文章にはならないのです。
その翻訳技術を本書で紹介しています。
1 文章の読みやすさは「リズム」で決まる
読みづらい文章は論理破綻している
読みづらい文章というのは、なぜ生まれてしまうのでしょうか。
それは、文章の「リズム」が悪くなってしまっているからです。
筆者は、文体を決定づけているのは「リズム」だと言います。
では、その「リズム」はどうすれば良くなるのでしょうか。
それは文章の論理展開によって決まります。
つまり、文と文の繋げ方によって「リズム」は生まれるのです。
「リズム」の悪い文章というのは、文の繋げ方を間違った文章ということです。
「リズム」を良くするためには、接続詞に注目し、接続詞が入るかどうかで判断できます。
つまり、接続詞を間違えると文と文が繋がらなくなり「リズム」の悪い、読みづらい文章になってしまうのです。
読みやすい文章を書くためには、まず接続詞を意識しましょう。
2 文章の面白さは論理展開で決まる
文章の個性は話の順番
この人の文章が好きだなと感じさせる要因は何なのでしょうか。
それは文章の展開の仕方だと言います。
同じ話を10人のライターに書かせたとして、
出来上がる原稿は10通りになります。書く人によって話の論理展開が違ってくるからです。これが文章の個性となるのです。ここに正解はありません。
文章に必要な3つの要素
文章の展開の仕方に正解はありませんが、間違っている文章というのはあります。
それは、ひとつの文章に「主張」「理由」「事実」の3つのどれかが欠けていることです。
論理的な文章とは「論が理にかなっている文章」のことを言います。
つまり、論(主張)が確かな理(理由)によって裏付けられたときに論理的になるのです。
すべての文章には主張が絶対に必要です。
伝えたいこと=メッセージ(主張)となるからです。
主張を伝えるためには、理由が必要になります。
下記は理由が抜けた文章です。
大相撲の人気回復策として、ナイター制の導入を提案したい。なぜなら、プロ野球もナイター制をとっている。
ナイター制を導入したいという主張と、プロ野球もナイター制を導入しているという事実をつなぐ理由が欠けています。こうなると読み手には納得してもらえません。
なぜ導入する必要があるのかという理由がないからです。
大相撲の人気回復策として、ナイター制の導入を提案したい(主張)。なぜなら、平日の昼間に取組を行っても、会場に足を運べるファンはかぎられるからだ(理由)。事実、プロ野球も平日開催のゲームはナイター制をとっている(事実)。
こうして理由をいれることによって、言いたいことがはっきりします。
理由が主張を補強し、事実が理由を補強するという文章の骨組みを守らないと、伝わる文章は書けないのです。
3 読者の目線になる
伝えたい相手を明確にしよう
どんな文章にも必ず読者は存在します。
誰にも見せないつもりで書いた文章にも自分という読者がいます。
読み手がいるから文章を書くのです。
まずは、誰に向けて書くのかはっきりさせましょう。
10年前の自分を想像する
筆者は読者と同じ椅子に座って文章を書こうと言います。
つまり、同じ椅子に座り、同じ景色を見るということです。
そうすることで本当の意味で読者を理解できるようになります。
では、その椅子に座るにはどうすればいいのでしょうか。
筆者は本当の意味で座れる椅子は二つしかないと言います。
①10年前の自分
②特定の”あの人”
の二つです。
ここでは、10年前の自分の椅子に座る方法について考えることにします。
10年前としていますが、いつでも大丈夫です。
過去の自分に向けて、その時に抱えていた悩みを思い描いて書くのです。
過去の自分であれば、実際に経験していることなので具体的に悩みの解決法について書くことができます。
「〜を10年前に知っていたら!!」と思うことを自分に語りかけるようにするのです。
こうして書かれた文章は伝えたいという思いが明確なため、言葉の強度が強くなります。
人間が抱える悩みというのは、どの時代においても普遍的です。
つまり、同じようなことを悩み、苦しむようにできています。
過去に自分が悩んできたことは、今この瞬間も同じような悩みを抱えている人がいることになります。
過去に悩んできたことの解決策を書くことで、誰かの悩みを解消することにつながるのです。
過去の自分に思いを寄せて文章を書いてみましょう。
まとめ
本書では、「話し言葉」を「書き言葉」に変える心がまえとその具体的な技術について数多く紹介されています。
文章を書くことは考えること
すなわち、思考のプロセスだと著者は言います。
分からないことは自分の言葉に翻訳していくことで解を見つけることができます。
書く技術を身につけて、同時に考える技術も磨いていきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?