現役美容師僕は癌になり人生観が変わりました4

続きからです

先生に言われた内容が全く頭に入ってこなかったのですが、とりあえず明日しこりの下を切り細胞検査をする手術をする予約を取ってその日は帰りました。

病院から出た後、歩いて帰っていましたがもう放心状態で。

この時まだ、誰にも病気の事は話していなかった。

親にも彼女にも。

先生から言われたのは一応周りの人には現状を伝えておいた方が良いとの事。

まずは、職場に電話。

手術もあるので2、3日お休みを頂きました。

それ以外の人には何も言わずにしておこうと思いました。

特に親には変な心配をかけたくなくて、まだ結果が出てないのに伝えるのは控えました。

そして翌日

手術の日

緊張して病院に向かう

青いパジャマの様な手術用のパジャマみたいなのに着替えた。

こんなのドラマでしか見たことないと思い鏡に映る自分を写真に撮る。

そこまでは余裕があった。

そして、看護師さんに呼ばれ中へ。

始まった。

首のところにメスが入って切られている感覚がありめちゃくちゃ怖かった。

何をしているのかは分からないが、シコリの奥の方をガリガリやっている。

局部麻酔をしているはずなのに、これが痛い。

例えるなら、歯医者さんで神経をいじると痛い時みたいな感覚。

我慢していると、看護師さんが優しく声を掛けてきた。

なんか音楽好きなのありますか?

CDケースを持ってやってきて選んでくれとの事。

気分的に盛り上がる感じでは全く無いので、いりませんと伝えると

では適当に流しますとの事

こんな手術中に悠長に音楽聴いてる余裕ないわ とか思ったけど目瞑ってると入ってくる

サザンの希望の轍だった

なんだか切ない音で染みた

何故、自分はここにいるのか

何でこんな事になったとか

考えて泣きそうになったけど堪えた

というより痛みが先行して無理だった

ガリガリやられているのを堪える事約45分くらいでしょうか

やっと終わり

3週間前後で結果が分かるのでまたご連絡致しますとの事

地獄の様な3週間だと思った

首に包帯を巻き2、3日は動かさないで安静にと言われました

しかし2日後に大事なお客様が入っていたのでそこだけ出勤することに。

首の包帯がバレない様にシャツを着て首を隠してやっていた

なるべく普通に振る舞い平然と過ごしてるつもりだったが、白シャツだったのもあるがお客様からつっこまれて気付く

血が出てます!

まだ完全に塞がってはいないみたいで。ちょっとなら大丈夫かなとか思ったが甘かった

そこで慌てて止血して血は止まったけどドン引きしているお客様

この際だからと全てを話してみた

ウチの母親くらいの年齢の方で号泣してくれた

なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、最後は笑顔で頑張ってと言って帰って行かれました。

そのお客様はありがたい事に未だに担当させていただいてます。

その日から1週間ほどお休みして、結果が分かる2週間までの間働く事に。

美容師の仕事はやらないとお金にならない。

1かける1の仕事なので対価をもろに得られるがやらなければ0

とはいえ、癌の確率90%と言われて2週間結果を待っていると言う状況が精神的にキツすぎて発狂しそうな感じ

接客にも出てしまいお客様とまともに向き合えて無かったと思います。

この時美容師を10年していてはじめてクレームを貰ってしまいました。

接客態度でした。

本当に申し訳なかったと思います

しかし一日中家にいてるのもおかしくなりそうで、少しでも気を紛らわす事をしないとダメでした。

その2週間の絶望は未だに忘れられません。

調べれば調べるほどマイナス思考に陥るし、出来る限り今後の準備とお金の管理をしておきたかったけどやっぱり精神的にそんな状態ではなく何にも手がつきませんでした。

まず今後の見通しもつかないし、どんな感じで治療していくのか病気のレベルはどのくらいなのか全く見当つきませんでした。

ただ、様子がおかしくなってる僕に彼女は気付いていていつも大丈夫?と声をかけてくれていましたが、

大丈夫

しか言えなかった

全く大丈夫ではないが、心身共に疲れ果てていました。

そして約3週間後の前日

病院からの電話

明日来れますか?結果が出ましたので

‥‥‥‥‥‥はい

手術をした日から計算してちょうど3週間の日でした

とても、本当にすごく嫌な予感がしていたけれども間違い無かった

5月の3週間後

僕の誕生日当日に、結果発表でした

そんなサプライズありますか

当時29歳でした。

そして病院へ。

続きます


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