いくつになっても悩みは尽きない?

「女30歳、悩みますよね〜」

お、なんだか興味深い話だぞ、と思い耳をすませる、ランチタイムのお洒落カフェ。一人ランチの隣、オーバー30らしい3人組。職場の先輩後輩かな?なんて思いながら、目の前の熱々のハンバーグを頬張る。

A「このままでいいのかなぁって思うんですけど、今更動けないっていうか。キャリアも積みたいけど結婚もしたいし〜」
B「わかるわかる!悩み多き年頃だよね〜」

内心"わかる〜!このお年頃は人生に迷うよね〜"と激しく同意していた。やっぱりみんな迷ったり悩んだりしてるんだなぁと思うと、全く知らない彼女らに、謎の仲間意識が芽生えた。
黙々とハンバーグを食べながらも、私の意識は彼女たちの輪の中にいるようだった。

B「私なんてこの2年くらいずっと悩んでて。幾つになったら人生に悩まなくなるんだろうって。早く人生設計決めて不安から抜け出したいですよ〜」

すると、この二人より年上であろう方が静かに話し出した。

C「私も30歳になった頃は自分の人生について悩んだり不安になったりしたけど、たぶんさぁ、いくつになっても悩むと思うよ。30歳には30歳の悩みがあるし、35歳には35歳の悩みが生まれるし、39歳には39歳の悩みが出てきて、そんなふうにずっと悩みは尽きないと思うんだよね。夢のない話であれだけどさ。人生設計なんてしたところでその通りになるわけでもなくて、その度に悩んで変えて、迷いながら生きてくんだよね。けどさ、悩まなくなったら終わりじゃん?考えなくなったらそこまでじゃん?そんなもんなんだろうなって思うよ、この歳になったら。なんかマジ話になっちゃってごめんね!ほら!ミスチルも歌ってたじゃん!終わりなき旅って。あれだよあれ!」

その人が幾つなのかはわからないが、彼女も30歳の頃に同じように悩み、それからいくつか歳を重ね、「人生について悩むことに、終わりはない」と思ったのだろう。なんだかとても、ずしりときた。素敵な先輩だなと思った。(実際先輩なのかどうかは知らないが。)

今現在、悩む歳だなぁと感じていた先には、「この歳だから悩んでいるんだ」という意識があったかもしれない。そして、自分の中で何かが決まれば、迷いの人生から脱出できるのだと。

そうじゃない。

おそらく、40代でも50代でも60代でも、悩みはあるだろう。悩みとの向き合い方には長けてくるかもしれないが、悩みは尽きないと思う。

それは、自分の人生にしっかり向き合って生きているからこそ出てくる悩みであって、決してマイナスではないような気がする。

そう思うと、今の自分の悩みも必要なもので、悩みと向き合う練習のような気がした。そしてあの先輩(仮)のように、その経験をしたからこそ、同じように悩む後輩たちに伝えてあげられるようになるのではないかと。


見ず知らずの先輩(仮)の言葉に深く頷きながら、アイスコーヒーを飲み干し、店を後にした。ハンバーグの味は覚えていないが、とても美味しかったような気がする。


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