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あのときの苦労や困難を糧にして、自分だけの強みにしよう【教養を深める中国古典のお便り#14】

皆様、こんにちは!

メンバーシップ向け特典記事の「古典のお便り」14通目になります。

こちらのシリーズでは、普段の記事では取り扱っていない古典・史書から、さまざまな名言を、その背景と共にお届けしています。

前回は『史記』からお届けしました。

今回は范曄(はんよう)の『後漢書』を取り上げます。

『後漢書』の概要説明は以下の記事で行っていますので、確認したい方はこちらの記事をご覧ください。

というわけで、今回は『後漢書』の名言から、とある苦労人の皇帝のお話をご紹介します。

記事の最後には、漢文に関する学びも記載していますので、最後まで読んでいただけますと嬉しいです。


『後漢書』に学ぶ

今回取り上げるのは『後漢書』張衡伝からの言葉。

親しく艱難を履む者は下情を知り、備に険易を経る者は物の偽りに達す
(読み:シタしくカンナンをフむモノはカジョウをシり、ツブサにケンイをフるモノはモノのイツワりにタッす)

『後漢書』張衡伝

自身で艱難辛苦を経験してきた者は人々の実情をよく知っており、世の中の良い面と悪い面をことごとく経験してきた者は物事の真偽を見通すことができる、という意味。

後漢の文人・発明家・天文学者でもある張衡(ちょうこう)が、時の皇帝である順帝に上疏した文章の言葉です。

つまり、苦労をしてきた人は、その苦労があるからこそ、世の人々に寄り添った行動ができる、ということですね。

苦労した経験が自身の器を広げ、深みを与えてくれるのです。

それでは、この言葉の背景と合わせて、もう少し詳しく学んでいきましょう。

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