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周囲の意見を押さえつけるのではなく、耳を傾ける度量を持とう【教養を深める中国古典のお便り#16】

皆様、こんにちは!

メンバーシップ向け特典記事の「古典のお便り」16通目になります。

こちらのシリーズでは、普段の記事では取り扱っていない古典・史書から、さまざまな名言をお届けします。

前回は『新唐書』からお届けしました。

今回は司馬遷の『史記』を取り上げます。

『史記』の概要説明は以下の記事で行っていますので、確認したい方はこちらの記事をご覧ください。

というわけで、今回は周の厲王(れいおう)に関するお話から、周囲の意見や不満に耳を傾けることの大切さについて、学んでいきましょう。


『史記』周本紀に学ぶ

今回取り上げるのは『史記』周本紀からの言葉。

民の口を防ぐは、水を防ぐよりも甚だし
(読み:タミのクチをフセぐは、ミズをフセぐよりもハナハだし)

『史記』周本紀

民衆の口を塞ぐのは、水を堰き止めることよりも危険なことである、という意味。

民衆の言論を弾圧して調子に乗っている厲王(れいおう)に対して、家臣の召公が諫めた際の言葉です。

つまり、人々の不満を無理やり押さえ込むことはできない、ということですね。

この召公は、周王朝を建国する際、周公旦とともに武王を支えた名臣・召公奭(しょうこうせき)の子孫にあたります。

周公旦の活躍については、以前のメンバーシップ向けの記事でご紹介しましたね。

さて、そんな召公が諫めた厲王ですが、いったい何をやらかしたのでしょうか?

次の章で順に見ていきましょう。


周の厲王、利益を好み、悪代官を重用す

厲王(れいおう)は周王朝の10代目の王様です。

この頃になると、栄華を誇った周王朝も次第に屋台骨が傾いてきます。

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